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海のひつじを忘れないようです

149名無しさん:2017/08/20(日) 21:48:15 ID:sRmmAC9s0



「それ、ちょうだい」

箒を棄てたジョルジュが、当然顔で手を伸ばしてきた。

その日ぼくは、裏庭で掃除をしていた。
別に何か当番が決まっているというわけではない。
おそらくはぼくらが手を加えなくともここは綺麗なままなのだろうし、
実際ほとんどの子は掃除などしたことがないといっていた。

だからこれは、ぼくの我侭からでた行いだ。
落ち着かなかったのだ。ただ住まわせてもらっているという、その事実が。

そんなわけでぼくは、存在しない塵を
かき集めようと裏庭に伸びた石畳を箒で掃いていた。ジョルジュと一緒に。

ジョルジュはふだん、掃除などしない。
箒など、扱ったこともないのかもしれない。
その証拠に彼の箒さばきは、床を掃くというより地面を
くしゃくしゃにかき回しているといった風情だ。
ジョルジュには初めから、掃除などするつもりはなかったのだ。

用事は他にある。
それは何か。
決まっている。

そして、ジョルジュが箒を棄てた。


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