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海のひつじを忘れないようです

146名無しさん:2017/08/20(日) 21:46:17 ID:sRmmAC9s0
           二章 笑うひつじ


              1

平穏を持て余していた。
ここ、『ひつじの教会』は、その名が示す通り
ひつじのようにふわふわと平和な場所だった。

やんちゃが盛りのこどもたちは四六時中飛び回っていたけれど、
それを強く咎める者はいない。何をしても、何をしなくても許される。
ここはそんな場所だった。

ぼくは概ね、ここの住人に受け入れられた。
特に年齢の低いこどもたちはぼくの口癖が大層お気に召したらしく、
いつの間にかぼくは彼らの面倒を見るという役どころに立たされていた。
そのこと自体は苦痛ではなかったし、全力で挑んでくる
彼らの相手をするのは長い自由を紛らわせるのに適していた。

自由。そう、ぼくは自由に晒されていた。
小旦那様は相変わらず何かを探っている様子だったけれど、
詳細を話してくることはなかった。ぼくはただ、待てとだけ命じられていた。
だからぼくは、その命令を忠実に守っていた。


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