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海のひつじを忘れないようです

141名無しさん:2017/08/20(日) 21:43:32 ID:sRmmAC9s0



俺は件の不良商品を、まっとうな商品にする方法がないか検討した。
寝る間も惜しんで考えた。考えないために、考えた。そして、思いつく。
不良商品が連れてこられた時に没収したハーモニカを吹かせてみてはどうか、と。
何かの切っ掛けにでもなればいい。その程度の気持で。

不良商品は感情らしきものを、その時初めて露わにした。
不良商品は俺の命令を拒絶した。予想外に激しい抵抗を受け面食らいつつも、
このいままでにない反応に俺は、何がしかの成果を
得られるかもしれないという期待を抱いた。

事態は根比べの様相を呈していた。
そいつは頑なにハーモニカを吹くこと――いや触れることすら拒み、逃げようとした。
檻からは出ようとしないくせに、このハーモニカからは逃げた。
何か恐ろしいものでも見ているかのような目つきで。

しかし俺も、その時にはもう後には引けなくなっていた。
他に片付けなければならない仕事はいくらでもあったが、
躍起になった俺はそれでも不良商品に迫り、何時間でもその前に座った。
一睡もせずにほぼ一日座ったままだったこともあった。


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