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海のひつじを忘れないようです
138
:
名無しさん
:2017/08/20(日) 21:42:02 ID:sRmmAC9s0
その日は商品の定期検診が行われる日だった。
腕は良いが愛想のない街の医師が、一日掛けてすべての商品を検診する。
問題が見つかった商品は一匹。いつもなら三匹ないし四匹ほどは引っかかるので、
今回はむしろ運の良い方だった。それも病気ではなく、栄養失調とのことらしい。
検診の結果に胸をなでおろしつつも、
問題が発見された商品の処分について検討を始める。
それは一ヶ月前ここへ来たばかりの、まだ年若い商品だった。
初めて目にしたときから、気にはなっていた。
多くの商品は、ここへ連れてこられる時大きく泣きわめくか、暴れるか、
あるいはそのまま死んでしまいそうなほど沈鬱な表情を見せる。
態度は様々であるが、ここへ送られてきたという事実に対するマイナスの感情を、
行為や言葉において発散させているという一点においては変わりない。
そういった者たちは初めのうちこそ衰弱したりもするが、
そのうちに順応して他の商品同様、売買に適した陳列物となるものだ。
だが、この商品は違った。
この商品には初めから、感情というものが見受けられなかった。
何をされても反応を示さず、生きながらに死んでいるようだった。
生きていなかった。
こういったタイプには、稀に遭遇する。そしてその末路は、どれも同じ。
商品として不適格であるとの烙印を押され、檻から出されることになる。
すべてがすべて、そうであった。
とはいえ百回続いたものが、百一回目も同じであるという確証はない。
なによりもいまの我が店に、可能性を考慮せぬまま商品を廃棄する余裕などない。
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