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海のひつじを忘れないようです

136名無しさん:2017/08/20(日) 21:40:36 ID:sRmmAC9s0
やるべき仕事は山程あった。
長い間ろくにスタッフも雇わず店を切り盛りしていた父が、
俺の“通過儀礼”を機に引退、隠居してしまったから。

ここ数年父を手伝っていたとはいえまだまだ不慣れな兄と、
ずぶの素人同然である俺たちでは勝手の分からぬことも多く、
毎日が手探りの状態で効率化を図る域にも達してはいなかった。

兄と共に父に助言を仰ごうともしたが、無駄だった。
仕事から離れた父は退屈にやられたのか、早々に痴呆を発症してしまった。
俺の恐れた怪物は、そこにはもう、いなかった。役目を果たした父を切り捨てたのだろう。
次の世代へと乗り移ることによって、消えた。

そんなわけで、俺達はなにもかもを自力で果たさなければならなかった。
俺と兄は業務形態を流動化させるため、仕事を分担することに決めた。
父について回っていたため多少は顔の利く兄が主に外勤を、
兄の手が回らない内仕事を俺が担当することに自然と分かれていった。


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