したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

海のひつじを忘れないようです

128名無しさん:2017/08/19(土) 22:59:10 ID:rN6ohdMg0


鐘の音が、鳴り響いた。


ぼくを取り囲んでいたこどもたちが、一斉に輪を崩した。
小さい子も、大きい子も、誰もが等しく同じ方角に身体を向け、
両手を組み合わせていた。目を閉じ、まるで祈りを捧げる聖者のような格好をして
――そして、歌いだした。

歌は、みなみな好き勝手に歌ってばらばらだった。
歌は、まるでひとつの調べを奏でているかのように調和していた。
独唱でもあり、合唱でもある、不思議な響き。
歌のための、歌。
その根幹を成す、鐘の音の律動。

意識ではない。
ぼくの内の無意識が、周りの彼らと同じ行動を取らせた。
手を組み、目を閉じ、歌を思う。

“自己”ではない。
大勢の中の、意味を持たない一。
口を開き、ぼくはそれになろうとする――。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板