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海のひつじを忘れないようです
120
:
名無しさん
:2017/08/19(土) 22:55:52 ID:rN6ohdMg0
光り輝くあの存在の、レプリカがあった。
俺の思い描いていた顔と、劇的に変わっていたわけではない。
そいつはモララーだった。
聖句を謳い両の腕を広げたこの人物が、モララーであることは間違いなかった。
ただ、モララーの顔は、薄い燐光を放っていた。
牧師のそれと比べれば柔く抑えたものでこそあるが、
本質的なその輝きを鑑みれば、その二者の間に差を見つけることは俺にはできなかった。
よくよく見れば、光を放っているのは顔面だけではなく、
広げた両腕の先、ローブからはみ出した手も同様だった。
あるいは全身がそうなのかもしれない。
光そのものとなりかけている、生。
「惑う者である限り、失しものは見つからない」
モララーが指先でつまんだベルを鳴らす。
「きみが外から持ち込んだ執着を、一度手放してみることだ。
それがきっと、遠き海路の第一歩へとつながるだろうから」
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