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海のひつじを忘れないようです

111名無しさん:2017/08/19(土) 22:51:33 ID:rN6ohdMg0
誰かに呼ばれたジョルジュは、飛び跳ねながらぼくの上から去っていった。
ぼくは、立ち上がった。そして、気づく。
首からかけたハーモニカを、無意識の内に握っていたことに。

壇上ではワタナベとハインが、いまも踊っていた。
相変わらずの洗練されたキレのある動き、息のあったコンビネーション。
そしてなによりも、その全身から発せられた
“生きている”という力をまざまざと見せつけてくる躍動。

ハーモニカを握る手に、力がこもっていた。
ぼくは一本一本、丁寧に、丹念に、ハーモニカから指を剥がしていく。
力を込めすぎて赤く充血していた指を、折るようにして剥がしていく。
そして残された二本、親指と小指へと手を伸ばす。最後の支えを奪おうとして。
小指が、ハーモニカから剥がれかけた。

その時だった。その声が聞こえたのは。
その声はモララーが通ってきた大扉の方角から聞こえてきた。
まさか。ぼくはそう思いながら、反射的に声のした方へと身体を向けていた。


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