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海のひつじを忘れないようです

101名無しさん:2017/08/19(土) 22:47:05 ID:rN6ohdMg0
「ナベから聞いたよ、知りたいことがあるんだって?
 お姉ちゃんにわかることなら、なんでも答えてやろう!」

ハインはそういって突き出した胸を叩く。今度はその姿がきちんと見える距離で。
しかしハインに問われたぼくはそうして胸を叩く彼女ではなく、その後ろ、
広間の出口へと知らず知らず視線を向けていた。
そこにはすでに、車輪の後も、あの冷たい気配もなくなっていた。

「魔女……」

「うん?」

ぼくの独り言をハインが拾った。
声にするつもりではなかった言葉を聞かれてぼくは少々焦りながら、
けれどいい機会かもしれないとそのまま質問した。

「車椅子の女の子のことが、ちょっと、気になって」

「なんだ、女の子のことを知りたいなんて、ギコはおませだな!」

「ち、ちがっ……!」

狼狽するぼくを見て、ハインが快活に笑う。
ぼくは彼女の誤解を否定しようと、先ほどとは比べ物にならないレベルで焦燥した。
しかし誤解を解消するその機会を、ぼくは逸した。
ハインの顔は困ったことを聞いてしまった、とでもいうように見る間に曇り、
その口も目も閉じてしまったから。その様子にぼくは、不安を覚える。


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