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三日月転じて君を成す

219 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:26:04 ID:5wZQzcCE0
吹成大学の物々しい正門は、ビル街に面している。
しかつめらしい顔をした大人たちが行き過ぎる中で、
異分子のように出てきた学生たちは概ね真っ直ぐ最寄の駅へ向い、
十分もあれば到着できる、遊びや休憩に適した場所へと引き寄せられていく。

電車が走っているのは、大昔のお濠の跡だ。
お濠の両脇には整備された歩道があり、先の先の駅まで続いている。
遊歩道には花壇や街路樹が並び立つ。

広いところには運動場も敷設されていた。
スポーツ系の部活動やサークルが練習するのもこのあたりだ。

この道を歩こうと提案すると、
キュートは大袈裟なくらいの「ありがとう」をよこしてくれた。

木漏れ日が遊歩道を照らす。
枝が揺らいで、光の粒を絶え間なく泳がせている。

220 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:27:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ー゚)「風が気持ちよさそう」

キュートは深呼吸をしたようだった。

( ,,^Д^)「どう?」

川*゚ー゚)「ん、なんかちょっと甘い香りがする」

強めの風が枝を撓らせ、
先に群がる紅い花弁をちらつかせる。

( ,,^Д^)「百日紅だな」

川*゚ー゚)「あらよくご存じで」

( ,,^Д^)「昔、人から聞きまして」

221 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:28:04 ID:5wZQzcCE0
キュートの実家の庭に百日紅の木があるのだと言う。
その話を聞いたときから、意識するようになった。

元より花には疎いのに、
その見た目に明るい花だけは
今でもしっかり見分けられる。

蝉の声は言わずもがな、
運動公園を走る陸上部の掛け声や、
テニスコートから聞こえてくる打球音などの
音が、歩道に溢れていた。

自分に関係のない音が延々と響くのは
無心になるのにちょうどいい。

時間をかけて、ゆっくり歩き続けた。

222 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:29:04 ID:5wZQzcCE0
一つ目の駅のそばには、壕を横切る鉄橋が架かっていた。
遠くには吹成とはまた別の私立大学が背を伸ばしていた。

遊歩道は細くなったが、カーブを描きながら延びている。

喋ることも少なくなってきたので、
スマートフォンで一昔前の曲を選び
イヤホンには差さず、耳元に近づけた。

いくつかの曲をそのまま流す。
歩くには変わった姿勢だったが
幸い邪魔は入らなかった。


川*゚ー゚)「あ、ここ」

223 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:30:04 ID:5wZQzcCE0
キュートの声の意図するところはすぐに俺にも伝わった。
木漏れ日の途切れた瀟洒なベンチが目の前にあった。

( ,,^Д^)「……よく憶えているな」

川*゚ー゚)「当たり前だよ」

三年前、
俺はここでキュートの手を掴んだ。

振り返ったキュートは

川*゚ -゚)『タカラ君?』

と小首を傾げた。

( ,,^Д^)「ん? なに?」

川#゚ー゚)「ちっがーう、思い出してるの! 二年前を」

224 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:31:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「ああ、そういうことか」

川*゚ー゚)「ほら、タカラ君も」

(;,,^Д^)「……俺も?」

口を挟んだのが気にくわなかったようで、
キュートは俺をひたすら急いた。

ひとつ咳をして、前を向く。

(;,,^Д^)『待ってください』

川*゚ -゚)『放してよ。痛いんだけど』

225 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:32:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)『……嫌です』

俺は、空を掴んだ掌に、力を込めた。

あのとき、彼女の服の裾に少し皺ができてしまっていた。

( ,,^Д^)『話、最後まで聞いてください。
      演劇部の友達が部員を探しているんです。
      それで俺、キュートさんを紹介したいんですよ。
      俺、高校のときに、あなたの演技を見たことがあって』

川*゚ー゚)「ほんと、唐突すぎ」

(;,,^Д^)「し、しかたねえだろ。気持ち先行型だったんだよ」

川*゚ー゚)「はいはい、次、いくね」

川*゚ -゚)『何言ってるの? あたし、演劇部やめたんだけど?』

226 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:33:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ -゚)『ていうか、あたしの友達とかそういうのじゃないよね?
      ほぼ今日初めて会ったんじゃないっけ。
      いきなりすぎてどう反応していいんだか……わかんないんだけど』

冷たい視線が俺を刺していた。

彼女の言っていることは至極もっともだった。
当時の俺は彼女と親しくはなかった。

ただ、

( ,,^Д^)『ずっと憧れだったんです。一年生のときに、
      ステージにいたキュートさんが、すごく真剣で、かっこよくて』

当時、演劇についての知識はほとんどなかった。
技術的なことは何も言えず、見たままを彼女に伝えた。

勢い込んでいる俺にキュートは顔を引きつらせていたけれど
身体を引いたりはせずに、立ちつくしていた。

川*゚ -゚)『……本気で言ってるの?』

( ,,^Д^)『もちろんです』

227 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:34:04 ID:5wZQzcCE0
大きく頷くと、彼女はしばらく、口元に指をあてて思案していた。

川*゚ -゚)『台詞、何か憶えている?』

(;,,^Д^)『え? あのときの、ですか?』

川*゚ -゚)『そう。感動したんならひとつくらい憶えているでしょ』

キュートの双眸は俺を掴んで離さなかった。
俺はキュートから手を離して、頭を抱えた。

いきなり思い出せと言われても、思い出せるものではなくて
たっぷり三分は唸っていたと思う。
頭の中で記憶が錯綜し、浮かんでは消えていく。

228 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:35:04 ID:5wZQzcCE0
(;,,^Д^)『……月』

一言だけ、ひねり出せた。

川*゚ -゚)『……』

彼女はまだ俺を見据えていた。

(;,,^Д^)『月が、ええと』

月、月と、何度も繰り返しても、言葉はまとまらなくて
藻掻いているうちに、仁王立ちだったキュートの脚が肩幅に広がった。

229 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:36:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ -゚)『たとえ輝く太陽が、私達を見捨てても』


川* - )『夜の月さえあればいい』


川* ー )『あれは私の心の理想』


川*゚ヮ゚)『姿形が変わっても、いつかは元へと戻るもの』



( ,,^Д^)『あ、それです』

川#゚ー゚)『遅いよ!』

230 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:37:04 ID:5wZQzcCE0
(;,,^Д^)『すいません! 今思い出して』

川*゚ー゚)『ったく』

風が強い日だった。

枝葉とともに髪が靡いて、
ふわりと膨らむそれらを右手の指に絡めながら、
キュートは頬を綻ばせた。

川*゚ー゚)『でも、ありがとう。あたしもそこ、お気に入りなんだ』

壕の底を電車が次の駅へと走って行った。
逆巻く風も落ち着いて、百日紅がまた佇む。

( ,,^Д^)「そういって、お前は俺を信用してくれたんだ」

231 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:38:04 ID:5wZQzcCE0
自転車に乗った異国の人が俺を一瞥し、通り過ぎていった。
気怠そうな、薄着の後ろ姿を見つめていると、少し眩んだ。

陽射しを遮るものはない。

ベンチに腰掛けて、買っておいたペットボトルのお茶をひとくち。
すでにぬるくなっていたけれど、喉を通るとそれなりに清涼感がある。

( ,,^Д^)「なあ、キュート」

川*゚ー゚)「なに?」

( ,,^Д^)「俺を信じて、良かったって思うか?」

232 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:39:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ー゚)「もちろん」

弾むように返事をしてくれた。

( ,,^Д^)「……俺と、会ったことも?」

川*゚ー゚)「そのあと、付き合うようになったこともだよ」

俺が小刻みに問い掛けているうちに先手を打たれた。
見透かされているようで、ちょっと申し訳なくなる。

でもおかげで、次を訊く後押しをされた気がした。

( ,, Д )「俺がいなかったら、事故に遭うこともなかった」

もう演技をする必要はない。
それでも声は自然、力が籠もった。

233 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:40:04 ID:5wZQzcCE0
( ,, Д )「俺がいなかったら、まだキュートはこの世界のどこかにいて」

( ,, Д )「自分の身体で演技でも、何でも、
     好きなことができて、自由にどこへでも行くことができて」

( ,, Д )「歩き回ることができた」


震え始めた俺の声を、


川*゚ー゚)「でも、その世界のあたしは、独り」

キュートの声が遮ってくれた。


俺が彼女に手をさしのべたのは、結局最初のときだけだ。
あとはいつでも、彼女の方から俺に手を伸ばしてくれた。

川*^ー^)「そんなのあたしは嫌だもの。だからこれでいいんだよ」

234 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:41:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)


( ,, Д )


( ,, Д)



      「そっか」





今、はっきりとわかった。

235 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:42:04 ID:5wZQzcCE0
キュートは


嘘をついていない。





そして、たったひとつのことを



ずっと俺に隠している。







( ,, Д )「キュート」

236 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:43:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ー゚)「うん?」

( ,, Д )「体調はどう?」

川*゚ー゚)「うーん、たぶんね、よくない」

声がやはり歪んでいる。
チューナーのずれかけたラジオのようだ。

川*^ー^)「でもね、今日一日タカラくんとすごせたら
      あたしはそれで十分だよ」

朗らかに言う彼女を前に、

酷だとは思いながら、言う。

( ,, Д )「あと一カ所だけにしたいんだ」

237 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:44:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ー゚)「……そこだけでも行くべきだと、タカラくんは思うんでしょ?」

( ,,^Д^)「ああ」

川*^ー^)「それなら、何も、心配ない」

ほころぶ彼女の口元には笑窪があった、はずだ。

微かな光のような安堵に縋って、意を決する。

( ,,^Д^)「じゃ、行こう」

238 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:45:04 ID:5wZQzcCE0
立ち上がって伸びをする。

それなりに歩いた。
乳酸が若干溜っている。
とはいえまだ、俺は動ける。
動ける俺が止まるわけにはいかない。

川*゚ー゚)「で、どこにいくの?」

隠すほどのことじゃない。
俺は素直に口を開いた。

( ,,^Д^)「俺の部屋だよ」

太陽は傾き始めている。



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239 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:46:04 ID:5wZQzcCE0
帰路の途中、ファーストフード店に立ち寄り、早めの夕食に取りかかった。
食べ終わった頃にちょうど夕立が降り始めた。
朝空に見た積乱雲がこちらまで勢力を伸ばしてきたらしい。

予想外の出来事に気持ちは焦ったが、
外に出ようと腰を浮かす俺をキュートが制した。
濡れちゃうから、と彼女はしきりに説いてくれた。

店の中は、雨から逃げ込んできた人が増えるばかりで、一向に減らず
雨具から気化する水気が湿度を上げた。

不安そうに空を見つめる人々に囲まれて、
俺はコーヒーを少しずつ啜り、苦みの種を一つずつ噛みしめていた。

ようやく雲間から覗いた夕陽はすでに色濃く空を焼いていた。

240 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:47:04 ID:5wZQzcCE0
電車に乗ってビル街を離れ、見慣れた住宅街へと降りる。
大安売りの旗を掲げたスーパーを尻目に、坂道を登る。
国道沿いを折れれば錆のついたアパートは目の前だ。

ガンガンと音を立てて階段を上る頃には、
太陽は都会のビルの際に沈んでいた。
オレンジ色の残光も瞬く間に紺色へと染まっていく。

部屋に入り、蛍光灯をつけた。

電源コードの繋がったパソコンが、
卓袱台の上で蓋を開けて待っていた。
昨晩、使用したときのままだ。

川*゚ー゚)「ずっと書いてたの?」

( ,,^Д^)「ああ。頑張らないと」

241 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:48:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ー゚)「進捗どう?」

( ,,^Д^)「順調」

川*゚ ヮ゚)「ほんと!? すごいじゃん。早く続き書こ」

( ,,^Д^)「待てよ、その前に」

鞄を降ろす。
襟のボタンを外して、シャツの裾に手を伸ばす。

川*゚ー゚)「部屋着、出そうか」

着替えだと思ったのだろう。

( ,,^Д^)「いや」

首を軽く横に振った。

242 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:49:04 ID:5wZQzcCE0
上半身を裸にして、窓の前に立った。
カーテンを開けば、すでに夜の闇が外に降りていた。

川*゚ー゚)「外に見えちゃうよ〜」

甲高い声でキュートが言う。
笑いそうになりながら、「すぐ終わるから」と、
俺はその場で振り返った。

スマートフォンを操作する。



川*゚ー゚)「……待ってるね」

キュートはやっぱり察しがいい。
ずっと前からそう思っている。

何が起こるかわかっていても、最後まで、見届けてくれる。

少なくともその性格は、この場ではありがたかった。

243 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:50:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「三日前に、でぃさんをこの部屋に呼んだんだ」

川;゚ー゚)「え、そうだったの?」

( ,,^Д^)「うん。そのときは、彼女の方から帰ったんだけど」

川;゚ー゚)「え、え、なんで? 怒らせたの? どうなの?」

( ,,^Д^)「まあまあ、話はここから」

スマートフォンの画面には俺の顔が映っている。
いわゆる自撮りモードだ。

それを少し、斜め上にずらしていく。

244 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:51:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「昨日、でぃさんからメールが来たんだ」

朝の、早い時間だった。

(#゚;;-゚)『先日はとても楽しいひとときをありがとう。
     それから、急に帰ってしまってごめんなさい』

今になってしまったことを、続けてでぃさんは謝っていた。
何も謝ることはないと返事をしたかったが、その前に文章の続きが目に入った。

(#゚;;-゚)『これから先に書くことは、私のエゴ。
     もしかしたらキュートさんは、これを望まないかもしれない。
     いえ、きっと意図的に隠している。
     でも私は、君が知っているべきだと思う。
     それがキュートさんのためだとも思う』

(#゚;;-゚)『もしも君が、全てを知る覚悟があるのなら、
     この続きを読んで』

メールはそのあと、数行続いていた。

245 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:52:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「でぃさんは俺と初めて会ったとき」

あのレストランは薄暗くて、足下に気をつけなければいけなかった。

( ,,^Д^)「――俯く俺の後ろ姿を見て、あることに気づいたんだ」

今日俺は、一日メールを開かなかった。
キュートにメールを見られたくなかったからだ。

ずらしたスマホの画面には、窓ガラスが見えている。
外はすっかり真っ暗で、部屋の中が反射して映っていた。

つまり俺の背中が見えた。

うなじに、痣。



その形はまるで、

246 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:53:04 ID:5wZQzcCE0




           -ニ三=ー
           -ニ三ニ=
          ニ三ニ―
        -ニ三ニ-
       -ニ三三ニ-
       -ニ三三ニ-
      -ニ三三ニ-
       -ニ三三ニ-
        -ニ三三ニ-
          -ニ三ニ-
             -ニ三ニ--



.

247 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:54:05 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「逆さまの三日月」

しかと見届けたのち、スマートフォンを降ろす。
振り返ってカーテンを引く。

これでもう、外からは見えない。

川*゚ー゚)「バレちゃったか」

ノイズ混じりの、刻むような声でキュートは言った。

( ,,^Д^)「もともと俺にもこの痣があったとか、そういうことはない?」

川*゚ー゚)「ないよ。何にもなかった」

自信たっぷりにキュートが言った。

248 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:55:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「そっか」

冷や汗が俺の背中を伝っていた。
わかっていても、ショックはある。
脚から力が抜けて、畳の上にくずおれた。

のけぞって蛍光灯を見上げたら
、どこからか入ってきた蛾が笠に体当たりを繰り返していた。

事実は、じわりと身体を巡る。

( ,,^Д^)「身体を失ったのは、俺の方だったんだな」

最初に顔がまるで別人に見えたことも、
縮んだと言われたことも、
部屋がいやに広く感じたことも、
決して勘違いではなかった。

249 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:56:04 ID:5wZQzcCE0
編み出した結論はあまりにも理解を超えていて
それでも身体の内側から、肯定が躙り寄っていた。


川*゚ー゚)「そうだよ」


キュートは笑っているはずだ。
笑わないまま笑うのが、彼女は何より得意だった。


そんな彼女の姿が、俺はずっと怖かったんだ。

250 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:57:06 ID:5wZQzcCE0
川*゚ -゚)「熱気と煙があたりいっぱいに広がっていたの。まだ憶えているよ」

川*゚ -゚)「あたしは傷だらけで、その傷も焼かれて、切り刻まれているみたいだった」

川*゚ -゚)「身体中痺れて、でも必死に這って、芋虫みたいに身を捩って、ひしゃげたドアから出たの」

川*゚ -゚)「大きなタンクが転がってるのとか、見てたら、身体が動かなくなっちゃった」

川*゚ -゚)「あのタンクが少しでも転がれば死んじゃうんだろうなって。車もないし、逃げるような体力もないし」

川*゚ -゚)「もうね、そのままずばり、火の海だったよ。炎の光が目をつついてきてね」

川*゚ -゚)「目を閉じたら、涙が零れて、それもすぐ蒸発して消えちゃった」

川*゚ -゚)「喉にも灰がきて、息が苦しくて」

川*゚ -゚)「無理矢理叫んだの。爆発でかき消えちゃうけど、何度も何度も」

――タカラくん。

川*゚ -゚)「結局返事は、一度も聞こえてこなかったな」

251 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:58:04 ID:5wZQzcCE0
キュートはなるべく淡々と喋るように努力してくれていた。
言葉の端々が震えたり、早まったり、揺らぎはいくつもあったけれど
途切れることなく言い終えると、深呼吸をした。

川*゚ -゚)「何も見えなくなって、時間が経った」

川*゚ -゚)「私は生きていたけれど、何も感じなかった。肌も、目もみんなやられて」

川*゚ -゚)「耳だけが残っていたの。声だけ聞くことが出来て、それで」

川* - )「お医者さんたちの会話から、たまたま、タカラくんが死んだってわかっちゃったの」

川* - )「あたし、叫ぶことも泣くこともできなかった。顔の筋ひとつ動かせないで、植物みたいに横たわって」

川* - )「ずっと、タカラくんの無事を祈ってた。お医者さんの言っていたことも全部嘘であってほしかった」

川* - )「私が憶えているのはここまで」

252 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 21:59:07 ID:5wZQzcCE0
具体的なことは何もない。
キュートは自嘲気味に笑った。

川*゚ ー゚)「だから、もしも理由をつけるとするなら、
      神様に祈りが通じたってことになるのかな」

( ,,^Д^)「……人智を超えてるな」

川*゚ー゚)「うん。あたしもそう思う」

随分と遠くなった声で、キュートは言った。

( ,, Д )「……なんでだよ」

俺は頭を抱えた。
膝と膝の間に顔が入りこむ。

( ,, Д )「お前さあ」

253 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:00:04 ID:5wZQzcCE0
( ,, Д )「高校の演劇部のときも、自分から役降りたよな。
     争わないのが一番いいって、そうして選んだ先で、
     嫌な目に遭ったんじゃないのかよ」

川*゚ー゚)「うん。あった。ショックだった」

目をきつく閉じた。
瞼の裏を絞って、声が途切れる前に怒鳴った。

)└
(⌒,, Д )「じゃあなんで、また自分を犠牲にするんだよ!」

窓の外で雨音がする。
天気がまた崩れたらしい。

どこか遠くで、雷の疼く音が聞こえた。

川* ー )「あたし、不器用だから、バランス取るの難しいんだよ」

254 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:01:04 ID:5wZQzcCE0
キュートは掠れた声で続けた。

川* ー )「それでも、タカラくんには生きていてほしかった」




     「だって」



      ・
川* ー )「君は、あたしをまた舞台に立たせてくれたんだもの。
      あたしを救ってくれたんだよ。
      そんな人、死なせたくないじゃない」

降り始めた雨はまだまだ絶えそうにない。

啜り泣く声。
それが彼女のか、俺のだったのか、判然とはしない。
同じことをしていると考える方が、いくらか良かった。

255 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:02:04 ID:5wZQzcCE0
( ,, Д )


( つД )


( ,, Д )「……よし」


俺は顔を上げた。
目を拭うと、クローゼットから寝間着を取り出し、羽織る。
そのままパソコンの前に座る。

256 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:03:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ー゚)「寝るんじゃないの?」

( ,, Д )「そんな暇はないな。今日は徹夜する」

川;゚ー゚)「ええ……無理しちゃダメだよ」

( ,, Д )「大丈夫」

( ,,^Д^)b「倒れる前に寝るから」

パソコンの電源を入れる。
テキストエディタで真新しいファイルを開く。

257 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:04:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「さっきメールを開いたら、ジョルジュから指示が来ていた。
     忙しくなる前に、もう一本ってさ」

川*゚ー゚)「働かせるねえ」

( ,,^Д^)「大丈夫、アイデアはある」

書き始める。


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シーン1
 深夜・お城の外れ・崩れかけた塀の傍

 お姫様、悪漢(二人)から逃げている。石に転んでつまずく。
 悪漢、前後に立ち、ナイフを構える。

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258 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:05:04 ID:5wZQzcCE0
川;゚ー゚)「……これ」

( ,,^Д^)「うん」

川;゚ー゚)「怒られない?」

( ,,^Д^)「大丈夫、この物語の主人公は村娘じゃない。このお姫様だ」

川*゚ー゚)「え、それじゃこの人、生き残るの? どうやって」

( ,,^Д^)「それを今から考える」



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 お姫様、石を手にとり身構える。

 ( 姫 )『こんなことをしても無駄よ。お父様があなたたちを許さない』

 ( 悪漢)『構うもんか。国を変えようとしないあの男にお灸を据えるのが俺たちの目的よ。
       慌てふためけば思惑通り。そのためには、聡明なあんたには消えてもらう』

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259 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:06:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ー゚)「地味にお姫様の株を上げてる!」

( ,,^Д^)「何か文句ついたらそのとき消すよ」

ここまで書いて、指を止める。

( ,,^Д^)「さて、次はどうしよう」

川*゚ー゚)「考えてないの?」

( ,,^Д^)「うーん、何が一番いいか悩む」

俺が顎をさすっている合間に、
テキストファイルに一文字「あ」とだけ打ち込まれる。
俺は押していない。

260 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:07:04 ID:5wZQzcCE0
川*゚ー゚)「お、まだ押せる」

( ,,^Д^)「キュート?」

川*゚ー゚)「まかせて」

カタカタと音を立てて、キーボードが打ち込まれていく。
書かれていく文章に不安を抱きつつも、突っ込むのは最後に回しておいた。

川*゚ー゚)「ふいー」

満足げな声がする。

261 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:08:03 ID:5wZQzcCE0
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 ステージ上より、照明が落下。

 悪漢達、下敷きになる。

 お姫様、塀から逃げる。

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(;,,^Д^)「まさかのメタ演劇」

川*゚ー゚)「わかりやすく驚かせられるよ」

(;,,^Д^)「しくじったときの反応が怖いぞ」

続きはまた、俺が考える。
度々キュートに手伝ってもらって、
そのたびに想定外の展開が待ち受ける。
それらを一つ一つ、均していくのが俺の仕事になっていった。

262 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:09:04 ID:5wZQzcCE0
夜が次第に更けていく。
外で降り続く雨は止みそうにない。
天気予報を確認すると、前線が停滞し、
明日の朝まで降り続くとのことだった。

途切れない雨音が、却って俺を集中させた。

時間が経つ。

買ってきておいた缶コーヒーを二本消費した。

甘ったるい味が舌に残る。

263 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:10:04 ID:5wZQzcCE0
目がさえた気がして、
また原稿に向き合った。

続きは思い浮かぶ。
ただ、振り返るだけの余裕がない。

何を書いているのか、読み返す時間が多くなって
疲れで頭が白んでくると、それすらも億劫になった。

率直に言えば眠くなってきた。
徹夜すると豪語しておきながら、体力が続いてくれない。

264 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:11:04 ID:5wZQzcCE0
キーボードにしたたかに額を打ち付けると、

 ;゚ー゚)「タカラくん!」

と、声が聞こえた。

霞のような声だ。

それがキュートのものであると、気づくまでに時間を要した。

( ,,-Д+)「ん……や、大丈夫大丈夫」

額を擦りながら、俺はにやりとしてみせた。

( ,,^Д^)「気にするこたない、ぬはは」

265 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:13:04 ID:5wZQzcCE0
 *゚ー゚)「……頑張ろうね」

いつ頃からか、キュートはキーボードを押さなくなった。
力が失われた、とは考えたくなかった。
後ろ向きな考えを紛らわすように、俺は打ち込む力を強めた。

物語は進んでいる。

きっと後で、かなりの量を書き直すことになるけれど
骨組みさえ出来ていれば、
そしてそれが終わりまで続いていれば、
八割方、完成だ。俺はそう思っている。

 *゚ー゚)「ねえ」

266 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:14:04 ID:5wZQzcCE0
( ,, Д )「……おう」

 *゚ー゚)「この前、あたし、幸せになってほしいって、いったよね」

( ,, Д )「ああ」

 *゚ー゚)「あたしのことに早く、踏ん切りをつけて、って意味で」

( ,, Д )「……」

 *゚ー゚)「……ごめんね」

( ,, Д ) ?

267 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:15:04 ID:5wZQzcCE0
 *゚ー゚)


 *^ー^)


     「あたし」




     「嘘、ついちゃってたみたい」

268 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:16:05 ID:5wZQzcCE0
( ,, Д )「……」

( ,, Д )

……


また、キーボードが頭に当たった。
起き上がる気力はわかなかった。



俺は、真っ暗な中にいた。



今までいた世界と、
これからの世界とを
分断するかのように

深くて暗い、何もない世界だった。

269 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:17:04 ID:5wZQzcCE0
窓の外から鳥の声が聞こえてきて、
そのせいで、目が覚めた。

指先で髪を鷲掴みにする。

カーテンの隙間から漏れてくる陽射しが筋となり、俺の目を焼いていた。


目の前にパソコンが開かれている。
スリープ状態だったそれが、マウスを動かしたことで起動する。


画面にはテキストエディタがあり、
カーソルが明滅していた。

270 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:18:04 ID:5wZQzcCE0
┌─────────────────────────┐
│                                      │
│                                      │
│                                      │
│知ってたよ┃                              │
│                                      │
│                                      │
│                                      │
│                                      │
│                                      │
│                                      │
└─────────────────────────┘

271 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:19:04 ID:5wZQzcCE0
俺の書いた文だと、すぐにわかった。


なぜだろうか。
それ以外にどんな可能性があるのだろうか。


まだ寝惚けているみたいだ。

俺は脚本を書いていたはずだ。
この部屋で、ずっと独りで。

眠い目を擦りながら、読み返す。

272 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:20:04 ID:5wZQzcCE0
(;,,^Д^)「……なんだこの、すげえ展開」

はっきり言って、よくない。
何を目指して書いていたのかわからない。
今まで書いたどの作品よりも破天荒で、順序も盛り上げ方も可笑しい。

普通なら、覚めた頭で要らないところを消したくなる。

( ,,^Д^)「……」

でも、今回は何故か違う。

273 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:21:12 ID:5wZQzcCE0
なるべくなら削りたくもない。

どの描写も、どの台詞も、
たとえどんなに不自然でも、
できる限り、このまま残したい。



何故か強く、そう思った。

274 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:22:04 ID:5wZQzcCE0
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Please wait for the epilogue....



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¢スケジュール¢

  エピローグ  ………… 8/25  23時


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275 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:00:04 ID:5wZQzcCE0
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                   開幕


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276 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:01:04 ID:5wZQzcCE0
┌─────────────────────
│Goldfisch                         
│                 Ch.Meckel        
│                               
│Seit ich den Mond und das Wasser liebe,      
│Lebt ein Goldfisch in meinem Haar,         
│Das verbluefft mich und ich bemerke,        
│Dass das Bei keinem anderen Menschen        
│Der Fall ist.                          
│                               
│Seither bin ich durch viele Fluesse geschwommen,
│Aber das Wasser sagte ihm nicht zu.         
│Ich bot ihn dem Mann im Mond als Geschenk,   
│Doch er weigerte sich, im Licht der Sterne    
│Zwischen den Wolken und Voegeln zu schwimmem;
│Ich fuehrte ihn an das Rote Meer,          
│Aber er besteht darauf                 
│In der Daemmerung meines Haars zu altern.    
│                               
│Ich werde ihn weitertragen,              
│Bis seine Schuppen broecheln,            
│Bis er schwarz wird                    
│und tot in eine graue Pfuetze faellt.         
└─────────────────────

277 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:02:04 ID:5wZQzcCE0
─────────────────────┐
  金魚                           .│
                  メッケル       ....│
                              ....│
  月と水が好きになってから              .│
  髪に金魚が棲んでいる。               .│
  あきれた話で、気がつくと、             .│
  ほかのだれひとり                 .....│
  こんなことはおこっていない。           ..│
                              ....│
  あれからたくさん川を泳ぎ抜けたが、        │
  水は金魚の気に入らなかった。         ....│
  月の男に贈ろうとしたが、            ......│
  金魚は、星のひかりをあびて          ......│
  雲と鳥のあいだを泳ぐのはいやだ、という。  ....│
  紅海へ連れていった、              ......│
  だが金魚は、この髪の薄くらがりで       ....│
  年をとりたい、と言い張る。            ...│
                              ....│
  こいつをぼくはずっと載せてゆくのだろう、     │
  こいつの鱗がぼろぼろ剥がれ、          │
  身体が黒くなって                   .│
  灰いろの水溜りに死んで落ちるまで。      ..│
─────────────────────┘
     (『ドイツ名詩選』/生野幸吉・檜山哲彦編)

278 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:03:04 ID:5wZQzcCE0

( ,,^Д^)
ヽ_っ⌒/⌒c


     '_
( ,,^Д^) 、
ヽ_っ⌒/⌒c bbb...


     ....pi


( ,,^Д^)∩「もしもし」
ヾ_ヽ  
  ⌒’⌒
  _
( ゚∀゚)『やあやあタカラ、元気しとっとー?』


( ,,^Д^)「早く用件を言え」

279 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:04:04 ID:5wZQzcCE0
 、_,
( ;゚∀゚)『ちょ、いきなりすぎない? もうちょっとじゃれようぜ』

( ,,^Д^)「嫌な予感がしたからな」
  _
(  -∀)『ふふ……その予感ってのはそんなに信頼できるものなのかい?』

( ,,^Д^)「わりと当たるぜ」
  _,
(. ;-∀)『……そう』

( ,,^Д^)「さ、早くしてくれ」
  _,
(. ;-∀)『うーーーーー』

280 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:05:04 ID:5wZQzcCE0
. _,
(;-∀-)『すまねえ! 今日も用事が立て込んじまって!
      ちょっとこれは抜け出せそうにないんだ。悪いけど』

( ,,^Д^)「了解した」
  _  '_
( ゚∀゚)、『え、いいの?』

( ,,^Д^)「予想はしてたよ。毎度のことだし」
.  _
( *゚∀゚)『うおお! さすがタカラ! 話がわかる』

( ,,^Д^)「向こう一週間の昼飯、な」
.  _
( ;゚∀゚)「……うー」

281 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:06:04 ID:5wZQzcCE0
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            ¢エピローグ¢



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282 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:07:04 ID:5wZQzcCE0
居酒屋の奥座敷で受信したジョルジュからの電話は
彼の唸り声と渋々の承諾の後に切られた。

ビールの香りが鼻をつく。
この席にお酒は置かれていないので
どうやら周りからただよってくるらしい。

スマートフォンで時刻を見ると、宵の口に入っていた。
店に入ってから一時間しか経っていないのだが、
窓から見える景色はもう夜そのものだ。
日の沈むのが早くなったのに、まだ身体が慣れていない。

(#゚;;-゚)「ジョルジュくん?」
っ⌒/⌒c

向かいにいるでぃさんが、顔を上げて小首を傾げた。

283 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:08:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「ああ、今日来られないって」

(#゚;;-゚)「なるほど、それで『毎度のこと』か」

  ⌒’⌒
読んでいた本――脚本を置いて
でぃさんは深々と頷いた。

( ,,^Д^)「訊きたいところとか、ある?」

(#゚;;-゚)「ん、いろいろあるけど
      やってみたらわかるかもしれない」

(#゚;;-゚)「だから、これで、あたしはいいよ」

284 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:09:04 ID:5wZQzcCE0
ニトロさんの登場は、テマエミ荘の公演には間に合わなかった。

秋公演は無難に始まり、無難に終わった。

オリジナルの脚本についての評判はぼちぼちだった。
ニトロさんがいれば、と最初は思っていたが
演じてくれたテマエミ荘の面々を見ているうちに、
不満を口にするのは失礼な気がして、何も言えなくなった。

あの脚本はもうテマエミ荘のものだ。
俺にできることはもうない――はずだった。

285 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:10:04 ID:5wZQzcCE0
(#゚;;-゚)「ニトロさんって不思議な人だね」

でぃさんの声に、俺は回想するのをやめた。

( ,,^Д^)「不思議?」

(#゚;;-゚)「何でも壊そうとするのに、元に戻りたいなんて、矛盾していない?」

秩序を壊すニトロさん。
彼女は月に憧れる。
月は必ず、元に戻るから。

( ,,^Д^)「確かになあ」

(#゚;;-゚)「気づいてなかった?」

( ,,^Д^)「言われて初めて」

286 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:11:04 ID:5wZQzcCE0
執筆していた脚本は、ほとんど完成していた。
九月に入る直前に、ジョルジュには渡すことができたが
練習時間のなさ等の理由で、テマエミ荘の団員からの反発が強く
結局は元の脚本を使用することとなった。

それから俺は、脚本をブラッシュアップし続けている。


( ,,^Д^)「でぃさんは気になる?」

(#゚;;-゚)「ちょっとね。ニトロさんの気持ちがわからないし」

ニトロさんには、でぃさんを想定している。
何度も、何度も考えて、もう一度お願いすることにした。

(#゚;;-゚)『やるよ』

と、言わせてしまったみたいで、少し気が引けたけど
とにもかくにも、でぃさんは頷いてくれた。
だからこうして、脚本を読んで、一緒に悩んでくれている。

287 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:12:04 ID:5wZQzcCE0
今日は俺とジョルジュとでぃさんの三人で集まる予定だった。
秋公演の私的な打ち上げ、というのが名目だ。

そんな場所に俺は自分の脚本を持ってきて、
でぃさんは当たり前のようにそれを読んでくれている。

(#゚;;ー゚)「でも、派手なところは好きだよ」

でぃさんはそう言って、脚本を閉じた。

( ,,^Д^)「出ようか」

待ち人は来ないとわかってしまった。

(#゚;;-゚)「あとで半額、ジョルジュくんに請求しよう」

カランと出口のベルが鳴れば、
飲食店から漏れる橙の光が細長く延びていた。



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288 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:13:06 ID:5wZQzcCE0
ここは吹成大学からほど近い場所だ。
ビルの合間に蔓延るように
安い飲み屋が建ち並んでいる。

歩いていれば、自然、賑やかな声が聞こえてくる。
暇を持てあまして屯する大学生の連中に、
仕事上がりの大人たちが脱力気味に混ざり始めていた。

駅へと向う、短い道の途中で

(#゚;;-゚)「なんか聞こえるね」

と、でぃさんは立ち止まった。

耳を澄ませば、太鼓や笛の音がした。

289 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:14:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「これかな」

飲み屋の壁にある、秋祭りのポスターを差した。
身の丈の倍はある万灯を、振りかざして歩く画だ。
由来も何も知らないが、地域の祭りであるらしい。

太鼓の音はほど近い。

(#゚;;-゚)「見てみたい」

断る理由は特になく
耳に響く音を頼りに、夜道を歩いた。

290 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:15:04 ID:5wZQzcCE0
万灯はすぐに見つけることができた。
旧街道というのだろうか、細めの道は車を通行止めにしてある。
法被を着た人たちが片手で持てる太鼓を打ち鳴らしながら
ゆっくりと歩みを進めていた。

思ったよりもずっと質素に並ぶ出店から
ソースの焼ける匂いが漏れていた。

( ,,^Д^)「なんか買う?」

(#゚;;-゚)「いいよ。お腹いっぱい」

それもそうだとわかっていつつも
手持ち無沙汰はちょっと気になった。

291 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:16:04 ID:5wZQzcCE0
万灯の行き先も気になったが
敢えて人の流れに逆らい、
法被の彼らの来た方向を目指した。

疎らになりつつも、人は途切れることがなく
やがて長い階段が現われた。
頂上では、色づき始めたイチョウが街灯に照らされている。

幟があり、神社の文字が見えた。

( ,,^Д^)「は〜、こんなところに神社」

(#゚;;-゚)「知らなかったの?」

( ,,^Д^)ゝ「まったく」

都会の中は都会でしかないと
勝手に思い込んでいたようだ。

292 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:17:06 ID:5wZQzcCE0
階段を登ってみると、賑わいの音が一気に膨らんだ。
イチョウで囲まれた参道には、人が大勢溢れていた。

浴衣姿が目の前を横切っていく。
遠ざかりつつあった夏に、ふと引き戻された思いがした。

街灯が照らす道の先に神社はあった。
今まで気づかなかったのが不思議なくらい立派な社だ。
小高い丘の、森に隠れていなければ
もっと早くに気づいていたことだろう。
 _,
(#゚;;-゚)「……ふう」

( ,,^Д^)「休もうか」

歩き進めるのは諦めて
イチョウの下にあったベンチに腰掛けた。

293 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:18:04 ID:5wZQzcCE0
柔らかい秋の風は心地よかったが
ぼうっとしていると時折、棘のような冷えを感じた。

脚の短いベンチだったけど
でぃさんはパンプスに足の指を引っ掛けて
ぶらぶらと揺すっていた。

その揺れる影を眼で追いながら

( ,,^Д^)「さっきの質問なんだけど」

と、声に出した。

(#゚;;-゚)「ニトロさんのこと?」

( ,,^Д^)「そうそう」

294 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:19:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「壊すのは、変わりたいからだと思う」

自分で生み出したキャラクターだけど
心の内まで読み解くのには時間が要る。

そもそも一言で説明がつくならば
それはとても、人とは呼べない。

(#゚;;-゚)「でも、変わっちゃったら元には戻れないよ?」

( ,,^Д^)「いやいや、変わった末に、戻るんだよ」
 _,
(#゚;;A゚)

(;,,^Д^)「そんな顔されても困る」

295 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:20:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「とりあえず、ぶっ壊せばいいってわけじゃない。いい?」

(#゚;;-゚)「まあ、それはわかる」

( ,,^Д^)「うん……」

何かを言おうとしているうちに、時間が経ち、
何も思いつかなかったので、肩を竦めた。


( ,,^Д^)「あとは好きに演っていいよ」



(#゚;;ー゚)「その言葉を待っていたよ」

296 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:21:04 ID:5wZQzcCE0
言うと同時に、でぃさんは立ち上がった。

(#゚;;-゚)「降りよっか」

( ,,^Д^)「ああ」

でぃさんが先に行き、階段へ向う。
すぐに姿が見えなくなった。

後を追っていくと、
でぃさんは振り向いて、俺を待ち構えていた。

(#゚;;-゚)「タカラくん」

297 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:22:04 ID:5wZQzcCE0
(#゚;;-゚)「改めて言わせて」

黒い双眸が強く、俺を捉えていた。

(#゚;;-゚)「あたし、ニトロさんを演じるよ」

真っ直ぐな宣言に俺は、言葉を詰まらせ、


(;,,^Д^)


言葉を、選んだ。

( ,,^Д^)「ありがとう」

298 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:23:04 ID:5wZQzcCE0
(# ;;д)「――ちっがう!!」

でぃさんが、叫んだ。

あまりにも突然で、
始めのうちそれが彼女の声だとは気づかなかった。

(;,,^Д^)「……」



(#゚;; )「全然……わかってないんだよ。
     タカラ君は、いっつも」

299 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:24:04 ID:5wZQzcCE0
(#゚;; )「これからは……」


(#-;; )


(# ;;д)「これからは!」


(# ;;ο)「――あたしが、演じるんだよ」


人目を引いていた。
それでもでぃさんは、一息に言い終えた。

300 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:25:04 ID:5wZQzcCE0
(# ;;  )

でぃさんは俺の下で、立ちつくしたままでいた。
前髪に顔が隠れている。
表情は読み取れない。

それでも、目は逸らせない。

逸らしちゃいけないことなんだと
考えるよりも先に楔打たれていた。

301 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:26:04 ID:5wZQzcCE0
(# ;;ο)「だから」


(# ;;  )「……」


(# ;;  )


(#゚;;  )





(#゚;;ヮ゚)「見ててよね」

302 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:27:04 ID:5wZQzcCE0
折り曲げた裾の先で、細い腕を揺らしながら
でぃさんは階段を駆け下りていった。

強い風が吹いて
固まっていた俺を我に返らせた。



石段を降りていく途中、
すれ違う人の感嘆らしき声を聞いた。


つられ、振り向いた。

303 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:28:04 ID:5wZQzcCE0
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        ,. -''"..:;;;;;.:.:゙`゙''-、
       ,.";;;;;.:.:.:.:......::    :.:. ヽ. +     ゚  . +
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     ,':.;;;;;,:...       .:.:.  :..;;;    。+  ゚
     !  .;;;,;,:.:..      .:.:.:.:.:....:;;l  ゚   .  。 
      ', .:.:.:.:.;;;;;.:.:..     .:.:.:.:.:....:: ,' ゚ ,   , 。 .  
      、  :.:.:.:.:.:.   .:.:.::    /。 .  .。   . 。 ゚ 
     丶 ..::.:.:.:.:.:.:.:....     , ' 。 .   +
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304 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:29:04 ID:5wZQzcCE0
神社の屋根の上縁から、
それはちょうど全形を露わにしたところだった。

満月。
欠けたところはどこにもない。

深夜に向けて正中すべく、
それは刻々と南天を目指していた。

青白い光が、
鎮守の森も、神社も、人々も、
等しく照らしてくれている。

それはもちろん、俺も同じ。
下にいるでぃさんも、同じだ。

305 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:30:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)



(Д^,, )



( ,,^Д^)


ふと、腕を
前に伸ばした。



   斥)
( ,,^/.:/)

306 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:31:04 ID:5wZQzcCE0
   斥)
( ,, /.:/)








( ,, Д )




     「呪い、か……」

307 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:32:04 ID:5wZQzcCE0
( ,, Д )



( ,, д )



( ,,   )



そのとき、

308 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:33:04 ID:5wZQzcCE0


次に書きたい物語が、


( ,, ー )


俺の裡を疼かせた。



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309 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:34:05 ID:5wZQzcCE0
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                終幕




                  ¢三日月転じて君を成す¢

        ブーン系紅白2017 ―夏の陣― 参加作品

┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰
┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸┸

310 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:36:13 ID:5wZQzcCE0
【目次】

第一幕 >>3-64

第二幕 >>68-118

第三幕 >>121-190

第四幕 >>193-274

エピローグ>>275-309

なお、今年の8/19は月齢26日目、8/25は月齢3日目でした。
それだけです。では。

311名無しさん:2017/08/26(土) 02:07:53 ID:kEeoapi.0
何か言いたいけど何を言っても無粋になる気がするから拍手だけ送る

312名無しさん:2017/08/26(土) 20:25:56 ID:BImKtRj20
乙。

313 ◆TflJu3mvXc:2017/08/27(日) 01:06:20 ID:c/9s/ng20
【業務連絡】

主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。

このレス以降に続きを書いた場合

◆投票開始前の場合:遅刻作品扱い(全票が半分)
◆投票期間中の場合:失格(全票が0点)

となるのでご注意ください。
(投票期間後に続きを投下するのは、問題ありません)

詳細は、こちら
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/257
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/295

314名無しさん:2017/08/31(木) 18:16:52 ID:IF6Q8Ltw0


名作みっけたよ。
この感じ久しぶりに味わえた。
ありがとう

315名無しさん:2017/09/06(水) 00:40:56 ID:Rngm/C/I0
いいな。
よかった。

316名無しさん:2017/09/07(木) 18:41:28 ID:NfS6g38o0

雰囲気と余韻がすごく好み

317名無しさん:2017/09/07(木) 22:01:26 ID:kQ1M1QKY0
みんないいキャラしてる
面白かったおつ

318名無しさん:2017/09/10(日) 00:25:44 ID:RxJcMFO60
http://i.imgur.com/bs5MncB.jpg
投票絵を少し修正したので、ご報告。

https://i.imgur.com/PDzHxJk.png
左右反転&色反転バージョンも作りました。素敵なお話をありがとう


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