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三日月転じて君を成す

1 ◆3XA49WdHCM:2017/08/19(土) 03:00:04 ID:BS0GLIuI0
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¢スケジュール¢

  第一幕  ………… 8/19  21時

  第二幕  ………… 8/21  21時

  第三幕  ………… 8/23  21時

  第四幕  ………… 8/25  21時


※状況により日付、時間を変更する場合があります。


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270 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:18:04 ID:5wZQzcCE0
┌─────────────────────────┐
│                                      │
│                                      │
│                                      │
│知ってたよ┃                              │
│                                      │
│                                      │
│                                      │
│                                      │
│                                      │
│                                      │
└─────────────────────────┘

271 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:19:04 ID:5wZQzcCE0
俺の書いた文だと、すぐにわかった。


なぜだろうか。
それ以外にどんな可能性があるのだろうか。


まだ寝惚けているみたいだ。

俺は脚本を書いていたはずだ。
この部屋で、ずっと独りで。

眠い目を擦りながら、読み返す。

272 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:20:04 ID:5wZQzcCE0
(;,,^Д^)「……なんだこの、すげえ展開」

はっきり言って、よくない。
何を目指して書いていたのかわからない。
今まで書いたどの作品よりも破天荒で、順序も盛り上げ方も可笑しい。

普通なら、覚めた頭で要らないところを消したくなる。

( ,,^Д^)「……」

でも、今回は何故か違う。

273 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:21:12 ID:5wZQzcCE0
なるべくなら削りたくもない。

どの描写も、どの台詞も、
たとえどんなに不自然でも、
できる限り、このまま残したい。



何故か強く、そう思った。

274 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 22:22:04 ID:5wZQzcCE0
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Please wait for the epilogue....



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¢スケジュール¢

  エピローグ  ………… 8/25  23時


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275 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:00:04 ID:5wZQzcCE0
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                   開幕


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276 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:01:04 ID:5wZQzcCE0
┌─────────────────────
│Goldfisch                         
│                 Ch.Meckel        
│                               
│Seit ich den Mond und das Wasser liebe,      
│Lebt ein Goldfisch in meinem Haar,         
│Das verbluefft mich und ich bemerke,        
│Dass das Bei keinem anderen Menschen        
│Der Fall ist.                          
│                               
│Seither bin ich durch viele Fluesse geschwommen,
│Aber das Wasser sagte ihm nicht zu.         
│Ich bot ihn dem Mann im Mond als Geschenk,   
│Doch er weigerte sich, im Licht der Sterne    
│Zwischen den Wolken und Voegeln zu schwimmem;
│Ich fuehrte ihn an das Rote Meer,          
│Aber er besteht darauf                 
│In der Daemmerung meines Haars zu altern.    
│                               
│Ich werde ihn weitertragen,              
│Bis seine Schuppen broecheln,            
│Bis er schwarz wird                    
│und tot in eine graue Pfuetze faellt.         
└─────────────────────

277 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:02:04 ID:5wZQzcCE0
─────────────────────┐
  金魚                           .│
                  メッケル       ....│
                              ....│
  月と水が好きになってから              .│
  髪に金魚が棲んでいる。               .│
  あきれた話で、気がつくと、             .│
  ほかのだれひとり                 .....│
  こんなことはおこっていない。           ..│
                              ....│
  あれからたくさん川を泳ぎ抜けたが、        │
  水は金魚の気に入らなかった。         ....│
  月の男に贈ろうとしたが、            ......│
  金魚は、星のひかりをあびて          ......│
  雲と鳥のあいだを泳ぐのはいやだ、という。  ....│
  紅海へ連れていった、              ......│
  だが金魚は、この髪の薄くらがりで       ....│
  年をとりたい、と言い張る。            ...│
                              ....│
  こいつをぼくはずっと載せてゆくのだろう、     │
  こいつの鱗がぼろぼろ剥がれ、          │
  身体が黒くなって                   .│
  灰いろの水溜りに死んで落ちるまで。      ..│
─────────────────────┘
     (『ドイツ名詩選』/生野幸吉・檜山哲彦編)

278 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:03:04 ID:5wZQzcCE0

( ,,^Д^)
ヽ_っ⌒/⌒c


     '_
( ,,^Д^) 、
ヽ_っ⌒/⌒c bbb...


     ....pi


( ,,^Д^)∩「もしもし」
ヾ_ヽ  
  ⌒’⌒
  _
( ゚∀゚)『やあやあタカラ、元気しとっとー?』


( ,,^Д^)「早く用件を言え」

279 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:04:04 ID:5wZQzcCE0
 、_,
( ;゚∀゚)『ちょ、いきなりすぎない? もうちょっとじゃれようぜ』

( ,,^Д^)「嫌な予感がしたからな」
  _
(  -∀)『ふふ……その予感ってのはそんなに信頼できるものなのかい?』

( ,,^Д^)「わりと当たるぜ」
  _,
(. ;-∀)『……そう』

( ,,^Д^)「さ、早くしてくれ」
  _,
(. ;-∀)『うーーーーー』

280 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:05:04 ID:5wZQzcCE0
. _,
(;-∀-)『すまねえ! 今日も用事が立て込んじまって!
      ちょっとこれは抜け出せそうにないんだ。悪いけど』

( ,,^Д^)「了解した」
  _  '_
( ゚∀゚)、『え、いいの?』

( ,,^Д^)「予想はしてたよ。毎度のことだし」
.  _
( *゚∀゚)『うおお! さすがタカラ! 話がわかる』

( ,,^Д^)「向こう一週間の昼飯、な」
.  _
( ;゚∀゚)「……うー」

281 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:06:04 ID:5wZQzcCE0
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            ¢エピローグ¢



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282 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:07:04 ID:5wZQzcCE0
居酒屋の奥座敷で受信したジョルジュからの電話は
彼の唸り声と渋々の承諾の後に切られた。

ビールの香りが鼻をつく。
この席にお酒は置かれていないので
どうやら周りからただよってくるらしい。

スマートフォンで時刻を見ると、宵の口に入っていた。
店に入ってから一時間しか経っていないのだが、
窓から見える景色はもう夜そのものだ。
日の沈むのが早くなったのに、まだ身体が慣れていない。

(#゚;;-゚)「ジョルジュくん?」
っ⌒/⌒c

向かいにいるでぃさんが、顔を上げて小首を傾げた。

283 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:08:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「ああ、今日来られないって」

(#゚;;-゚)「なるほど、それで『毎度のこと』か」

  ⌒’⌒
読んでいた本――脚本を置いて
でぃさんは深々と頷いた。

( ,,^Д^)「訊きたいところとか、ある?」

(#゚;;-゚)「ん、いろいろあるけど
      やってみたらわかるかもしれない」

(#゚;;-゚)「だから、これで、あたしはいいよ」

284 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:09:04 ID:5wZQzcCE0
ニトロさんの登場は、テマエミ荘の公演には間に合わなかった。

秋公演は無難に始まり、無難に終わった。

オリジナルの脚本についての評判はぼちぼちだった。
ニトロさんがいれば、と最初は思っていたが
演じてくれたテマエミ荘の面々を見ているうちに、
不満を口にするのは失礼な気がして、何も言えなくなった。

あの脚本はもうテマエミ荘のものだ。
俺にできることはもうない――はずだった。

285 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:10:04 ID:5wZQzcCE0
(#゚;;-゚)「ニトロさんって不思議な人だね」

でぃさんの声に、俺は回想するのをやめた。

( ,,^Д^)「不思議?」

(#゚;;-゚)「何でも壊そうとするのに、元に戻りたいなんて、矛盾していない?」

秩序を壊すニトロさん。
彼女は月に憧れる。
月は必ず、元に戻るから。

( ,,^Д^)「確かになあ」

(#゚;;-゚)「気づいてなかった?」

( ,,^Д^)「言われて初めて」

286 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:11:04 ID:5wZQzcCE0
執筆していた脚本は、ほとんど完成していた。
九月に入る直前に、ジョルジュには渡すことができたが
練習時間のなさ等の理由で、テマエミ荘の団員からの反発が強く
結局は元の脚本を使用することとなった。

それから俺は、脚本をブラッシュアップし続けている。


( ,,^Д^)「でぃさんは気になる?」

(#゚;;-゚)「ちょっとね。ニトロさんの気持ちがわからないし」

ニトロさんには、でぃさんを想定している。
何度も、何度も考えて、もう一度お願いすることにした。

(#゚;;-゚)『やるよ』

と、言わせてしまったみたいで、少し気が引けたけど
とにもかくにも、でぃさんは頷いてくれた。
だからこうして、脚本を読んで、一緒に悩んでくれている。

287 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:12:04 ID:5wZQzcCE0
今日は俺とジョルジュとでぃさんの三人で集まる予定だった。
秋公演の私的な打ち上げ、というのが名目だ。

そんな場所に俺は自分の脚本を持ってきて、
でぃさんは当たり前のようにそれを読んでくれている。

(#゚;;ー゚)「でも、派手なところは好きだよ」

でぃさんはそう言って、脚本を閉じた。

( ,,^Д^)「出ようか」

待ち人は来ないとわかってしまった。

(#゚;;-゚)「あとで半額、ジョルジュくんに請求しよう」

カランと出口のベルが鳴れば、
飲食店から漏れる橙の光が細長く延びていた。



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288 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:13:06 ID:5wZQzcCE0
ここは吹成大学からほど近い場所だ。
ビルの合間に蔓延るように
安い飲み屋が建ち並んでいる。

歩いていれば、自然、賑やかな声が聞こえてくる。
暇を持てあまして屯する大学生の連中に、
仕事上がりの大人たちが脱力気味に混ざり始めていた。

駅へと向う、短い道の途中で

(#゚;;-゚)「なんか聞こえるね」

と、でぃさんは立ち止まった。

耳を澄ませば、太鼓や笛の音がした。

289 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:14:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「これかな」

飲み屋の壁にある、秋祭りのポスターを差した。
身の丈の倍はある万灯を、振りかざして歩く画だ。
由来も何も知らないが、地域の祭りであるらしい。

太鼓の音はほど近い。

(#゚;;-゚)「見てみたい」

断る理由は特になく
耳に響く音を頼りに、夜道を歩いた。

290 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:15:04 ID:5wZQzcCE0
万灯はすぐに見つけることができた。
旧街道というのだろうか、細めの道は車を通行止めにしてある。
法被を着た人たちが片手で持てる太鼓を打ち鳴らしながら
ゆっくりと歩みを進めていた。

思ったよりもずっと質素に並ぶ出店から
ソースの焼ける匂いが漏れていた。

( ,,^Д^)「なんか買う?」

(#゚;;-゚)「いいよ。お腹いっぱい」

それもそうだとわかっていつつも
手持ち無沙汰はちょっと気になった。

291 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:16:04 ID:5wZQzcCE0
万灯の行き先も気になったが
敢えて人の流れに逆らい、
法被の彼らの来た方向を目指した。

疎らになりつつも、人は途切れることがなく
やがて長い階段が現われた。
頂上では、色づき始めたイチョウが街灯に照らされている。

幟があり、神社の文字が見えた。

( ,,^Д^)「は〜、こんなところに神社」

(#゚;;-゚)「知らなかったの?」

( ,,^Д^)ゝ「まったく」

都会の中は都会でしかないと
勝手に思い込んでいたようだ。

292 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:17:06 ID:5wZQzcCE0
階段を登ってみると、賑わいの音が一気に膨らんだ。
イチョウで囲まれた参道には、人が大勢溢れていた。

浴衣姿が目の前を横切っていく。
遠ざかりつつあった夏に、ふと引き戻された思いがした。

街灯が照らす道の先に神社はあった。
今まで気づかなかったのが不思議なくらい立派な社だ。
小高い丘の、森に隠れていなければ
もっと早くに気づいていたことだろう。
 _,
(#゚;;-゚)「……ふう」

( ,,^Д^)「休もうか」

歩き進めるのは諦めて
イチョウの下にあったベンチに腰掛けた。

293 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:18:04 ID:5wZQzcCE0
柔らかい秋の風は心地よかったが
ぼうっとしていると時折、棘のような冷えを感じた。

脚の短いベンチだったけど
でぃさんはパンプスに足の指を引っ掛けて
ぶらぶらと揺すっていた。

その揺れる影を眼で追いながら

( ,,^Д^)「さっきの質問なんだけど」

と、声に出した。

(#゚;;-゚)「ニトロさんのこと?」

( ,,^Д^)「そうそう」

294 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:19:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「壊すのは、変わりたいからだと思う」

自分で生み出したキャラクターだけど
心の内まで読み解くのには時間が要る。

そもそも一言で説明がつくならば
それはとても、人とは呼べない。

(#゚;;-゚)「でも、変わっちゃったら元には戻れないよ?」

( ,,^Д^)「いやいや、変わった末に、戻るんだよ」
 _,
(#゚;;A゚)

(;,,^Д^)「そんな顔されても困る」

295 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:20:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)「とりあえず、ぶっ壊せばいいってわけじゃない。いい?」

(#゚;;-゚)「まあ、それはわかる」

( ,,^Д^)「うん……」

何かを言おうとしているうちに、時間が経ち、
何も思いつかなかったので、肩を竦めた。


( ,,^Д^)「あとは好きに演っていいよ」



(#゚;;ー゚)「その言葉を待っていたよ」

296 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:21:04 ID:5wZQzcCE0
言うと同時に、でぃさんは立ち上がった。

(#゚;;-゚)「降りよっか」

( ,,^Д^)「ああ」

でぃさんが先に行き、階段へ向う。
すぐに姿が見えなくなった。

後を追っていくと、
でぃさんは振り向いて、俺を待ち構えていた。

(#゚;;-゚)「タカラくん」

297 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:22:04 ID:5wZQzcCE0
(#゚;;-゚)「改めて言わせて」

黒い双眸が強く、俺を捉えていた。

(#゚;;-゚)「あたし、ニトロさんを演じるよ」

真っ直ぐな宣言に俺は、言葉を詰まらせ、


(;,,^Д^)


言葉を、選んだ。

( ,,^Д^)「ありがとう」

298 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:23:04 ID:5wZQzcCE0
(# ;;д)「――ちっがう!!」

でぃさんが、叫んだ。

あまりにも突然で、
始めのうちそれが彼女の声だとは気づかなかった。

(;,,^Д^)「……」



(#゚;; )「全然……わかってないんだよ。
     タカラ君は、いっつも」

299 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:24:04 ID:5wZQzcCE0
(#゚;; )「これからは……」


(#-;; )


(# ;;д)「これからは!」


(# ;;ο)「――あたしが、演じるんだよ」


人目を引いていた。
それでもでぃさんは、一息に言い終えた。

300 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:25:04 ID:5wZQzcCE0
(# ;;  )

でぃさんは俺の下で、立ちつくしたままでいた。
前髪に顔が隠れている。
表情は読み取れない。

それでも、目は逸らせない。

逸らしちゃいけないことなんだと
考えるよりも先に楔打たれていた。

301 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:26:04 ID:5wZQzcCE0
(# ;;ο)「だから」


(# ;;  )「……」


(# ;;  )


(#゚;;  )





(#゚;;ヮ゚)「見ててよね」

302 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:27:04 ID:5wZQzcCE0
折り曲げた裾の先で、細い腕を揺らしながら
でぃさんは階段を駆け下りていった。

強い風が吹いて
固まっていた俺を我に返らせた。



石段を降りていく途中、
すれ違う人の感嘆らしき声を聞いた。


つられ、振り向いた。

303 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:28:04 ID:5wZQzcCE0
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304 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:29:04 ID:5wZQzcCE0
神社の屋根の上縁から、
それはちょうど全形を露わにしたところだった。

満月。
欠けたところはどこにもない。

深夜に向けて正中すべく、
それは刻々と南天を目指していた。

青白い光が、
鎮守の森も、神社も、人々も、
等しく照らしてくれている。

それはもちろん、俺も同じ。
下にいるでぃさんも、同じだ。

305 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:30:04 ID:5wZQzcCE0
( ,,^Д^)



(Д^,, )



( ,,^Д^)


ふと、腕を
前に伸ばした。



   斥)
( ,,^/.:/)

306 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:31:04 ID:5wZQzcCE0
   斥)
( ,, /.:/)








( ,, Д )




     「呪い、か……」

307 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:32:04 ID:5wZQzcCE0
( ,, Д )



( ,, д )



( ,,   )



そのとき、

308 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:33:04 ID:5wZQzcCE0


次に書きたい物語が、


( ,, ー )


俺の裡を疼かせた。



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309 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:34:05 ID:5wZQzcCE0
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                終幕




                  ¢三日月転じて君を成す¢

        ブーン系紅白2017 ―夏の陣― 参加作品

┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰┰
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310 ◆3XA49WdHCM:2017/08/25(金) 23:36:13 ID:5wZQzcCE0
【目次】

第一幕 >>3-64

第二幕 >>68-118

第三幕 >>121-190

第四幕 >>193-274

エピローグ>>275-309

なお、今年の8/19は月齢26日目、8/25は月齢3日目でした。
それだけです。では。

311名無しさん:2017/08/26(土) 02:07:53 ID:kEeoapi.0
何か言いたいけど何を言っても無粋になる気がするから拍手だけ送る

312名無しさん:2017/08/26(土) 20:25:56 ID:BImKtRj20
乙。

313 ◆TflJu3mvXc:2017/08/27(日) 01:06:20 ID:c/9s/ng20
【業務連絡】

主催より業務連絡です。
只今をもって、こちらの作品の投下を締め切ります。

このレス以降に続きを書いた場合

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となるのでご注意ください。
(投票期間後に続きを投下するのは、問題ありません)

詳細は、こちら
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/257
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1500044449/295

314名無しさん:2017/08/31(木) 18:16:52 ID:IF6Q8Ltw0


名作みっけたよ。
この感じ久しぶりに味わえた。
ありがとう

315名無しさん:2017/09/06(水) 00:40:56 ID:Rngm/C/I0
いいな。
よかった。

316名無しさん:2017/09/07(木) 18:41:28 ID:NfS6g38o0

雰囲気と余韻がすごく好み

317名無しさん:2017/09/07(木) 22:01:26 ID:kQ1M1QKY0
みんないいキャラしてる
面白かったおつ

318名無しさん:2017/09/10(日) 00:25:44 ID:RxJcMFO60
http://i.imgur.com/bs5MncB.jpg
投票絵を少し修正したので、ご報告。

https://i.imgur.com/PDzHxJk.png
左右反転&色反転バージョンも作りました。素敵なお話をありがとう

319名無しさん:2018/09/09(日) 00:12:09 ID:fIwqM7Z20
おつ!いいもんよめた!ありがとう


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