[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
夢見る人に之聴く人のようです
263
:
名無しさん
:2017/10/13(金) 14:47:10 ID:i2sO3u4w0
やっと追いついた
続き待ってます
264
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:52:37 ID:Pddo/.m.0
「――これよりプールの点検を始めます。
終了予定時刻は三十分後となります。
皆さん、プールサイドへ上がってください」
古ぼけたスピーカーから、ざりざりとした言葉が飛び出した。
聞き取りにくかったけど、大人も子どもも一斉に
プールサイドへと向かっているから、わたしたちもそれにならった。
ミセ*;゚ー゚)リ「ひゃー、あついあつい」
かんかん照りの下、タイルは鉄板のように熱かった。
ミセリはぴょんこぴょんことはねている。
('、`*川(すべって頭をぶつけたりしないといいな)
ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、お昼ご飯にしない?」
ツインテールのうち一つを掴んで、ぞうきんのようにぎゅうぎゅと絞るツンの一言に、
ζ(゚ヮ゚*ζ「さんせー、お腹ぺっこぺこだよぉ」
と、デレが手を叩く。
今日は、みんなでプールに来た。
ゴミの焼却場の隣にある温水プールで、ちょっと家からは遠かった。
だけどみんなで待ち合わせをして、電車に乗って、
お弁当を持たずにお昼を選べるなんて、すっごく楽しいに決まっていた。
ミセ*゚ー゚)リ「あたし焼きそばがいいなー」
相変わらず跳ねているミセリは、頭をかたむけている。
どうやら耳に水が入ったらしい。
265
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:53:08 ID:Pddo/.m.0
ξ゚⊿゚)ξ「たこ焼きも食べたいし、アイスもいいよね」
ペンギンの絵が描いてあるのぼりを見てのつぶやきに、
ζ(゚、゚*ζ「いけないんだー、お姉ちゃん
ちゃんとご飯食べなさいって兄者さんに言われてたでしょう」
すかさずデレはつっこんだ。
兄者さん、というのは二人の家にいるお手伝いさんだ。
おじさんというよりおじいちゃんと言った方がいい年で、
だけど家のことはなんでもこなせるスーパーおじいちゃんなのだ。
何度か会ったことがあるけれど、とっても親切にしてくれるいい人だった。
ξ゚⊿゚)ξ「いいじゃん、たまには」
ζ(゚、゚*ζ「ダメだよう」
口を尖らせている二人は、本当にそっくりだ。
二人の間に透明な板をはさんだら、きっとそれを鏡だとかん違いするだろう。
ミセ*゚ー゚)リ「ペニサスは何食べたい?」
('、`*川「へ?」
ミセ*゚ー゚)リ「お昼だよ、おーひーる!」
ぼんやりと考えていたわたしに、ミセリはニコニコと話しかけてくる。
すっとぼけた声をあげてしまったけれど、気をわるくした様子はない。
266
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:53:36 ID:Pddo/.m.0
('、`*川「うーん、わたしも焼きそばかなあ」
遠くから行列をながめる限り、一番空いているのは焼きそば屋さんだった。
逆に混み合っているのはホットドッグとラーメン屋さんだった。
あの調子だと注文する前に、先にプールの点検が終わってしまいそうだった。
ζ(゚、゚*ζ「ねーえ、焼きそばにしようよ」
ξ゚⊿゚)ξ「……しょうがないわね」
焼きそば対たこ焼きのあらそいは、めずらしくデレの勝利だったらしい。
いつもならツンの言い分に、デレがおとなしく従うパターンが多かった。
('、`*川(でも、たしかにたこ焼きだけじゃお腹すくよねえ)
ぎゅぎゅーと鳴ったおなかの音を聞きながら、わたしは大盛りにしようかまよっていた。
けれどもやっぱり、ツンはたこ焼きをあきらめることが出来なかったらしい。
267
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:54:07 ID:Pddo/.m.0
ξ゚⊿゚)ξ「デレ、あんたは焼きそば買っておいて」
ζ(゚ー゚*ζ「どこ行くの?」
不安げなデレの声に、ツンはとなり三つ先にある列を指した。
ξ゚⊿゚)ξ「たこ焼き、半分こしよ」
ζ(゚ー゚;*ζ「で、でもお」
ミセ*゚ー゚)リ「二人の分も買っておこうか?」
ξ゚⊿゚)ξ「んーん、平気」
ζ(゚ー゚;*ζ「お姉ちゃん……」
('、`*川「だいじょうぶだよ」
なだめながらも、やっぱりデレはツンの背中を見つめている。
返事も聞かずに遠ざかって行くそれは、あっという間に人混みにまぎれていった。
ミセ*゚ー゚)リ「あ、じゃあさ、一番先に注文していいよ」
さっとミセリは体をずらして、デレを前にと追いやった。
すんなりと気を利かせてくれるから、本当に
ミセリは優しいんだなあとわたしはのんきに構えていた。
268
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:54:38 ID:Pddo/.m.0
ζ(゚、゚*ζ「……ごめんね、ありがと」
気まずそうにつぶやきながらも、デレは焼きそばを注文した。
そしてパックを手にするやいなや、
ζ(゚ー゚*ζ「お姉ちゃんのところ、行ってくるね!」
なんて、かけ出した。
ミセ*゚ー゚)リ「お姉ちゃん大好きなんだねー」
('、`*川「ねー」
ミセ*゚ー゚)リ「わたし一人っ子だからわかんないなあ」
うんうん、とうなずくわたしも、やっぱり焼きそばを頼んだ。
けれどここからが大変だった。
ζ(゚、゚*ζ「…………」
まもなくわたし達と合流したデレのそばには、ツンがいない。
ミセ*゚ー゚)リ「おかえりー、ツンは?」
トイレに行ったのかしら、と考えるわたしをうらぎって、
ζ(゚、゚*ζ「……お姉ちゃん、いないの」
ミセ*;゚ー゚)リ「……え?」
ζ(゚、゚*ζ「どこにもいない」
269
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:55:05 ID:Pddo/.m.0
ようやくことの重大さを理解できたのは、デレの顔から
血の気が引いていることに気付いた時だった。
( 、 ;川(誘拐だ……!)
ζ( ー *ζ「たこ焼き屋さんにも聞いたけど、そもそもそんな子見なかったって……」
ミセ*;゚ー゚)リ「まって、ヤバイじゃんそれ」
( 、 ;川「どうしよう……」
ざわざわと心が寒くなるような感覚に、むねがいたくなる。
だけど、
ミセ*;゚ー゚)リ「トイレは探した?」
ζ( ー ;ζ「うん……」
ミセ*;゚ー゚)リ「入れ違いかもしれないから、もっかい探そ」
ミセリは、やっぱり強かった。
ζ( ー ;ζ「お姉ちゃん……」
ミセ*;゚ー゚)リ「大丈夫だから。探そ?」
('、`*川「……大人に言った方がいい?」
ミセ*;゚ー゚)リ「そうだね、うん。
それ、ペニサスに任せていい?」
270
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:56:18 ID:Pddo/.m.0
うなずくと同時に、わたし達はちりぢりになった。
監視員さんに伝えると、まもなくプールの出入り口は閉鎖された。
間に合えば犯人はプールから出ることができなくなる。
そうすれば捕まえることができるかもしれないから、と監視員さんは言っていた。
('、`;川(いつから居なくなっちゃったんだろう)
ひょっとしたら、とっくに連れ去られて外にいるのかもしれない。
心細くなる一方で、わたしはミセリたちをさがしていた。
ひょっとすると合流しているかもしれない、と希望すら持っていた。
だけど、
ミセ*;゚ー゚)リ「やっぱり、見つかんない」
ζ( ー *ζ「お姉ちゃん……」
へたり込んでいるデレに、ミセリはさまざまな言葉ではげましていた。
それだって限界があった。
271
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:56:59 ID:Pddo/.m.0
('、`*川「……もう一回、探してみる」
ミセリたちと合流したら、迷子センターに来るように、と監視員さんは言っていた。
だけどやっぱり、その場でじっとなんかしていられなかった。
ζ(゚ー゚*ζ「わたしも行く」
ミセ*゚ー゚)リ「……じゃあ、わたし迷子センターでツンのこと待ってるよ」
本当はミセリだって探しに行きたいんだろう。
ぎゅっと手をにぎりこんで、ミセリは苦しそうにそう言った。
('、`*川「ごめんね、ミセリの分もいっしょうけんめい探すから」
ζ(゚ー゚*ζ「きっと連れてこれるようにするから、待ってて」
そうして三人ともうなずいた。
わたしとデレはもう一度、人混みの中へと向かった。
ζ(゚ー゚*ζ「おねえーちゃーん!!」
('、`*川「ツンちゃんー!」
大声で呼んでも、周りにはけげんそうな顔をして通りすがる大人だけだ。
それもやっぱり、誰も手伝ってはくれない。
('、`*川(こんな時、先生がいたらなぁ)
きっといたらツンのことを見つけてくれただろうし、変な人にさらわれないように守ってくれるはずだった。
272
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:57:24 ID:Pddo/.m.0
ζ(゚ー゚*ζ「……プールになんか行きたいって言わなきゃよかった」
ぽつとつぶやかれたその言葉に、わたしはハッとする。
そういえば今日のお出かけは、デレが言い出しっぺだった。
だけどわたしだってプールに行きたいと思っていた。
ミセリだって、ツンだって、きっとそれはおんなじに違いなかった。
('、`*川「デレちゃんのせいじゃないよ」
人混みにまぎれそうになるデレの手を取って、わたしは引き止める。
このままはぐれてしまったら、また一人いなくなってしまう気がした。
ζ(゚ー゚*ζ「……ううん、いっつもわたしのせいなんだ」
となりに追いついても、デレはわたしの目を見ない。
のぞきこむと、まっくらなほら穴のような色の目が前を見すえていた。
ζ(゚ー゚*ζ「ツンのママが死んだのも、わたしのせいだよ」
('、`*川「え……」
それってどういう、とは聞けなかった。
('、`;川「ひゃあ!?」
273
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:58:30 ID:Pddo/.m.0
背後から頭をわしわしとされて、振り返る。
そこには、
从 ゚∀从「こんちゃー、ペニサス」
ジーンズ柄の海パンにラッシュガードという変わった格好のハインくんがきた。
(;-_-)「ちょっと待ってよ、ハイン」
遅れてその後にはヒッキーくんもやってきた。
キョトンとしているデレに、わたしはそれぞれ先生の知り合いだと説明をした。
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあペニサスちゃんのお友達だね」
(-_-)「まあね」
いつものゆううつそうな声ではなく、どこか照れたような調子でヒッキーくんは答えた。
('、`*川「二人でいるなんてめずらしいね」
でぃさんをふくめた三人で行動しているようなイメージを
持っていたから、思わず口に出してしまった。
ハインくんにはそれが分かったみたいで、すましたように笑った。
274
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:59:03 ID:Pddo/.m.0
从 ゚∀从「あの子の体じゃあ、プールになんか来れないからね」
('、`*川「そうなの?」
从 ゚∀从「色々あるんだよ、色々」
(-_-)「気遣いしいだしね、桐崎さん」
ほがらかに笑う一方で、深くは聞くなと言われているような気がした。
わたしはなんとも答えられずに、だまって笑うばかりだった。
ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスちゃん……」
('、`*川「デレちゃん?」
ほんの少し背伸びして、デレは耳元に口を寄せた。
ζ(゚ー゚*ζ「おねがい、一生のおねがい。
ペニサスちゃんのお友達にもお姉ちゃん探すの、手伝ってほしいの」
('、`*川「もちろん」
むしろその考えにいたらなかったことに、わたしは歯がゆくなっていた。
デレからすれば、今までのやり取りなんかどうでもいいに決まっていた。
275
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 20:59:35 ID:Pddo/.m.0
('、`*川(ミセリちゃんみたいになれないな)
自分で自分にガッカリしながら、わたしはことを説明した。
从 ゚∀从「……大事件じゃん」
聞き終わったハインくんは開口一番に、ポツリと呟いた。
(-_-)「デレちゃんだっけ、その子とまるっきり
おんなじ顔の子を探せばいいんだね?」
ζ(゚ー゚*ζ「うん。わたしとお姉ちゃんは鏡で見たみたいにそっくりなんだ」
从 ゚∀从「一卵性双生児ってやつだ」
ζ(゚ー゚*ζ「ほんとは二卵性だよ」
よくわかんない会話を広げながら、その場は一旦離れることにした。
もし見つけたら、迷子センターまで送ってくれると二人は約束してくれた。
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとう、ペニサスちゃん」
('、`*川「そんな、わたしなんにもしてないよ」
ζ(゚ー゚*ζ「ううん、だって大人のお知り合いがいるなんてすごいもの」
ゆるゆると笑うデレは、一転して暗い顔になる。
ζ(゚ー゚*ζ「……大人っていいものなんだよ、本当に」
('、`*川「デレちゃん……?」
まるでその言い方は、昔大人だったから知っている、という風だった。
276
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:00:07 ID:Pddo/.m.0
ζ(゚ー゚*ζ「パパが帰ってこないのは、大人でいるのが楽しいからなんだよ」
('、`*川「楽しいと帰りたくなくなるの?」
ζ(゚ー゚*ζ「だって大人になると出来る事が沢山あるんだよ」
('、`*川「デレちゃん、」
人混みにはばまれて、わたしは慌てて背伸びする。
幸いにもデレちゃんはそう遠くもないところにいた。
彼女めがけてかけだそうとした時だった。
('、`;川「きゃっ!」
「; ⊿ )「っ」
ケープのようなタオルを被った子どもと、正面しょう突。
しりもちをお互いについてしまった。
(#’e’)「気をつけろクソガキ!」
側にいた父親らしき人にどなられて、わたしは何もいえなくなる。
277
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:01:01 ID:Pddo/.m.0
こわかった。
あやまることも何も出来なくて、ただそこにへたり込んでしまう。
なぐられるのかもしれない。
人目があっても、する人はする。
石のように固まるわたしをしり目に、その人は子供の手をらんぼうに取った。
足早に、逃げるようにして親子は去っていく。
だけど。
ζ( Д ;ζ「お姉ちゃん!!」
デレが、そう叫んだ。
びくりと震える肩。
ケープの子どもはいまだにうつむいている。
その手を無理やり引いていく父親。
違う。
('、`;川「だれか、とめて!!!」
走って追いかけても、追いつかない。
男はツンを小脇に抱えて走っていた。
('、`;川「たすけて、たすけてったら!!」
さけんでも、大人はポカンと見ている。
気付かれない。
見て見ぬふりをされている。
あの時と同じだった。
涙があふれてくる。
昔、わたしが外でいじめられていても、誰もとがめる人はいなかった。
しつけだから、家の事情だから。
だから他人が口を出すのはおこがましい。
だからわたしは、たすけてもらえなくて、でも、だって、
( 、 ;川「だれでもいいからたすけてよぉ……!!!!」
だだをこねる子どもみたいにさけんだ時だった。
278
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:01:39 ID:Pddo/.m.0
バキ、と枝が折れるみたいな音がした。
よろよろとその音がした方向へ、わたしは歩く。
ζ(゚ー゚*ζ「ペニサスちゃん」
追いついたデレは、わたしの体を支えてくれた。
そうしてようやく、
从# ゚∀从「子ども攫って楽しいんか? あ?」
(;’e’)「や、やめ、」
从# ゚∀从「テメーのことなんか聞いてねぇんだよカス。クズ。
社会のゴミってのはテメーみたいな野郎のことを言うんだよ」
わたしは、男がどうなったのかを知った。
279
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:02:10 ID:Pddo/.m.0
('、`;川「あ、あ……」
(;-_-)「やめろってハイン!」
从# ゚∀从「なんで? コイツどーせロリコンってやつだろ」
(;-_-)「だけど……!」
从# ゚∀从「レイプして楽しんだ後に殺っちまうに決まってる!
弱い奴にしか偉ぶれない、どうしようもないこんなクズ……!」
(;-_-)「やりすぎだって言ってんだ!」
ヒッキーくんが、ハインくんを止める。
止めても、ハインくんは男を殴った。
何度も、何度も、何度も。
水を打ったように静まり返った取り巻きたちは、やがて我に返って口々に騒ぎ出す。
从# ゚Д从「離せ! 離せったら!!」
なおも暴れるハインくんを、大人たちは引きはがす。
血まみれの男は、ぐったりとしている。
そのかたわらで、ケープを身につけたままのツンはぼう然と立ちつくしていた。
わたしはやっぱり、泣くことしか出来なかった。
280
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:02:45 ID:Pddo/.m.0
ツンは、無事だった。
無事というのは、写真を撮られたり
体を触られたりしていなかった、ということだ。
('、`*川(ハインくんの言う通り、変なことする気だったのかな)
想像しても、いまいちピンとこない。
ただそれでも、いつかの先生が言った言葉を思い出した。
(´・_ゝ・`)『僕みたいな人ばかりではないからね。
子供を悪い大人から守りたいんだよ』
('、`*川(あの人は、悪い大人だった)
誘拐犯は、警察に連れていかれた。
ハインくんも、それとは別のパトカーに乗ってった。
(-_-)「あーあ、とんだプールになっちゃったね」
迷子センターのすみっこで、ヒッキーくんはラムネを買ってくれた。
お礼を言うと、ほんの少しだけ笑ってくれた。
その手にはコーヒーの缶が握られていた。
281
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:03:34 ID:Pddo/.m.0
('、`*川(先生と同じ名前だ)
缶の名前を目で追うものの、そのうち出来なくなった。
わたしの隣ではなく、背中合わせに座ってしまったからだ。
顔を見られたくなかったのかもしれない。
('、`*川(デミタス)
缶コーヒーの名前を反芻して、
('、`*川(、先生)
やっぱり、そう付け足した。
あと少ししたら、先生が来る。
ミセリちゃんは一足先に、ミセリのママが迎えに来た。
その次には、兄者さんがツンたちを迎えに来た。
ξ゚⊿゚)ξ『……こんな時でも、パパは来ないのね』
悲しそうに目を伏せて、ツンは言った。
デレはそれをなだめながら、兄者さんの運転する車へと乗り込んだ。
('、`*川(デレちゃん)
デレは、変な子だと思った。
ハインくんが犯人を殴っていても、なんともないよという顔をしていた。
もしかしたらショックだったのかもしれないけど、なんだかそうだとは思えなかった。
282
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:04:00 ID:Pddo/.m.0
('、`*川(だって、慣れていますよって顔だった)
それは昔のわたしに、とてもそっくりだった。
人間ってとても不思議で、痛くないと思ううちに本当に痛くなくなってしまうのだ。
慣れてしまうとはまた少し違う。
心や頭のどこかが、機能しなくなる感じだった。
('、`*川「ねぇ、ヒッキーくん」
壁に向かってひとり言を言うように、大きな声を出す。
すると、ベンチのきしむ気配。
(-_-)「なに、炭酸は苦手だった?」
('、`*川「ううん、違うの」
なにかを聞こうとして、だけど頭の中はちっともまとまらなかった。
だから結局、
('、`*川「……来年は、先生と一緒にプール行こ?」
(-_-)「……いいね、またハインと一緒に行きたいと思ってたんだ」
('、`*川「うん、みんなで行こう。ぜったいぜったい行こう」
(-_-)「うん、行こうね」
わたしは、言葉にするのをあきらめてしまったんだ。
283
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:04:21 ID:Pddo/.m.0
10.攫われた夏 了
284
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:04:49 ID:Pddo/.m.0
目次
>>1
1.鉄火巻き味の歯磨き粉
>>24
2.底なし穴と熱いお湯
>>49
3.夜泣きとパパ
>>75
4.ピクニックとじゃがいもの小鳥
>>112
5.にせものとかたつむり
>>144
6.まよなかとパンケーキ
>>169
7.まとめてお祝い、幸せな証拠
>>209
8.不安のボトルキープ
>>236
9.ピザの布団と博識な猫
>>264
10.攫われた夏
285
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:05:17 ID:Pddo/.m.0
お題一覧
狐の嫁入り
番狂わせ
パルクール
殺虫剤
踏切
和楽器
中出し義母レイプ
お題を三つ募集します
286
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:14:09 ID:kuyOke6c0
うわぁあああ何ともなくて良かったけど折角の夏の思い出を汚されて悲しいな…乙でした
お題 ネオンテトラ
287
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:40:49 ID:ZMR48PJU0
おつおつ!何事もなくて良かった……
お題・パール
288
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 21:59:09 ID:5HF4m74o0
いろんなキャラの複雑な過去が見え隠してるな 乙
289
:
名無しさん
:2017/11/04(土) 23:12:57 ID:fsKYo1GQ0
お題 鬼灯(ほおずき)
290
:
名無しさん
:2017/11/05(日) 01:49:39 ID:t1aFghHY0
ここんところ不安な展開が多かったせいか、ツンがいなくなったところからめっちゃビビりながら読んでしまった。
デレも闇が深いな……乙。
291
:
名無しさん
:2017/11/06(月) 13:49:51 ID:ifK4Rfcc0
おもしろい
292
:
名無しさん
:2018/03/08(木) 20:18:04 ID:LDJnygJc0
続き待ってる
293
:
作者より
:2018/03/17(土) 14:04:30 ID:VqaGctV60
現在多忙中につき執筆が完全に止まっています
といっても結末までは大まかに考えてあるので逃亡することはありません
ただ年単位で長く長くお待たせすることになるかとは思います
いつになるかはわかりませんがかならず完結できるようにしますので
今しばらくお待ちください
294
:
名無しさん
:2018/03/17(土) 14:42:54 ID:cX5geoo20
何の気なしに更新かけたら生存報告あって嬉しい
いくらでも待つよ! お身体にも気をつけて
295
:
名無しさん
:2018/03/17(土) 19:59:56 ID:VAi5fSd60
wktkを込めて待つ
296
:
名無しさん
:2018/03/18(日) 21:00:45 ID:K6hDAAwI0
現状報告、ありがとうございます。
好きな作品ですので、これからも待ち続けます。
297
:
名無しさん
:2018/04/11(水) 19:23:38 ID:EtNmihVE0
待つよー!
298
:
名無しさん
:2018/08/30(木) 08:23:56 ID:SlZVE3zs0
https://i.imgur.com/rI8PkBy.png
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板