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(  ゚¥゚)わが赴くは獣の群れのようです

42 ◆d7bMXbKy6Q:2016/04/03(日) 04:46:53 ID:4QLUhYnU0
42
 
 例えば『獣』が「翼が欲しいと願う少女」と同化すれば、翼と少女を複雑に合成した生物を誕生させる。
 記憶から自分の願望を含めた、自分自身だと思う身体を再現するのだ。

 ただし、この複製は大抵一つの生物にならない。再現が不完全かつ支離滅裂なのだ。
 まず手や足、脳と意識を含む頭などパーツ単位で無数に量産され、それらが無茶苦茶に接合される。
 更に同化した生物を無数に混ぜ合わせる。そこに思想によるパーツが合わさり、大抵、原型を留めない。

 また、単なるクローンではなく記憶をコピーする点も厄介だ。

 一定の武技を収めた男をコピーすれば、『獣』はその武技を体得する。
 更に同化された人間は、自身がコピーである自覚も『獣』である自覚も、持っていない。
 稀に完全な人間が生み出され分離した場合、自覚症状がなく触れた人間を同化して突如合成と量産を再開するのだ。

 これら性質が、クシナイアン文明の生体機構技術と相性が最悪に悪く、崩壊の一旦となったと聞く。
 だが、目の前の男は無数に分裂したパーツをかき集め、正常な一人の人間となった。
 通常の『獣』が取るはずのない行動。これは最悪の事態が予想される。

(   ¥゚)「貴様、何者だ? いや、なんなんだ?」

( "ゞ)「VIPの被験体。元の人間は貧民窟の単なるガキだ」

 こいつ自分が『獣』である自覚があるのか? 研究の過程で知らせたか? まるで元の自分を別人のように見做している。
 俺は『獣』が軍事研究に使われているとは知っていたが、どんな研究なのかを知らない。
 だが、いずれにせよ確定した事実がある。こいつは既に何らかの研究を受け、変性しているということだ。

 俺は確保直後の『獣』と戦うと想定していた。研究は月面研究都市に輸送されて行われると踏んでいたのだ。
 だが、既にこいつはケレスで研究。恐らくほぼほぼ完成している、最悪、誘い出された可能性もある。
 『獣』の大敵、辺境の民を打ち破る自負があり、打ち破れるかを試すために半人前の俺を誘い出したのだ。

(   ¥゚)(そうだとしても、俺がやることはただ一つ。)

 『獣』は倒す。これは辺境の民唯一の目的だ。


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