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ドクオの背骨

59 ◆hmIR/WZ3dM:2016/04/03(日) 22:18:14 ID:LBDXupdA0
          十五  見送り


(´・ω・`)『こちら【天翔ける生の証】号。出港許可を求めます』

ミ,,゚Д゚彡『こちら管制塔。【天翔ける生の証】号の出港を認めます。……ドッキング解除、完了しました』

  【天翔ける生の証】号のエンジン音が宇宙港に響く。
スカルチノフとヨコホリにとって、永訣の音。もう二度と、ドクオに出会うことはなくなるのだ。
宇宙港のドームは開け放たれており、暗黒に煌めく星々に続く道筋へと誘導していた。

/ ,' 3「……」

(*゚ー゚)「……」

  スカルチノフは今でも次第に前進していく宇宙船を引き止めたくて仕方がなかった。
声を荒らげれば【天翔ける生の証】号の加速シークエンスを中断させることも可能だろう。
宇宙に飛び出して行った後も、種の保身を考えず権力を最大限に使えば顔くらいは拝めるかもしれない。
しかしそれは、息子であるドクオに対する冒涜だと理解していた。どのような形であれ、強い意思を持ったのを喜ぶべきなのだ。

  とうとう、【天翔ける生の証】号の黒い船体は見えなくなった。

(*;ー;)「あぁ……」

  ヨコホリが膝から崩れ落ちた。そして頭を垂れた。
まるで心が折れてしまった人間のように。大事なものが二度と戻らない現実に耐えられないと言うように。

/ ,' 3「……」

  スカルチノフはヨコホリの肩に手を置き、ずっとずっと、【天翔ける生の証】号が出て行ったドームを眺めていた。


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