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ドクオの背骨

39 ◆hmIR/WZ3dM:2016/04/03(日) 21:42:28 ID:LBDXupdA0
          九  来訪


  翌朝、ドクオはヒューマノイドがスカルチノフの伝言を再生するよりも早く家を出た。
私物を纏めて――ありったけの金目の物と、自分がかき集められるだけの現金を懐に持ち――宇宙港を訪れる。

  宇宙港の管制塔に【天翔ける生の証】号と連絡がとりたいと告げると、
警備員のフッサール人達が諌めるような発言をしてきたが、個人的な商談と告げると呆気無く引き下がった。
犯罪行為が確定していない今、彼らが動くことはない。正義と天秤は融通が利かないのだ。

  管制塔から呼び出しをかけると、すぐに反応があった。
スクリーンに椅子に座ったショボンが映る。ドクオには見覚えのない背景だった。

('A`)(コントロールルームか? ……今日しくじれば、俺が一生入れない場所)

  早朝だというのに、眠たげな様子ひとつ見せずにショボンは話し始めた。

(´・ω・`)『昨日あれだけ拒絶しましたのに、すぐさまやってくるとは……。
        この私、感服致しました。不屈の闘志をお持ちですね、ドクオ殿。たいしたものです」

  ショボンの相変わらずの大仰な動作と台詞がしばらく続いたが、割愛する。
昨日、フッサール人に強制的に宇宙船に押し入られた件についても何も言及することはなかった。ドクオは首を捻ったが、
とにかくドクオは面会の資格を得た。何かを言ってくるフッサール人を無視して足早に管制塔を出た。

  ドクオが宇宙船の停泊位置にやってくると、ひとりでにハッチが開いた。
商船である【天翔ける生の証】号には他にいくつも、大小様々な――搬入物に応じて使い分ける――ハッチがあったが、
ドクオが通ったのは比較的小さなハッチだった。昨日、ショボンとブーンと通ったものとは別の場所。

(´・ω・`)『殺菌を致します。少々お持ち下さい。簡易的なものですので、ご安心を』

  奥にはもう一枚扉があった。二重扉構造だ。
ドクオの背後でハッチが閉じるとスピーカーからショボンの声が流れてきた。次に、壁から清潔な香りの霧が。

  ドクオは興奮が高まるのを感じていた。ひとりで、宇宙船に乗り込んでいる。
エアロックは狭かったがそれが余計に鼓動を加速させていた。現実に、非日常の空間に身を置いているのだ。


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