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ドクオの背骨

35 ◆hmIR/WZ3dM:2016/04/03(日) 21:31:33 ID:LBDXupdA0
(´・ω・`)「もちろん抵抗などいたしません。
       船内に設置した映像データを拝見して頂ければ、穏便に済むのはわかっておりますので」

  宇宙船の入り口からどたどたと騒がしい足音が押し寄せてくる。
さすが宇宙に名の知れた警備種族だけあり、連携の取れた動きで油断せず危険に備えている。
客室内に彼らがたどり着いた際、粘り気ある水色の欠片が四方八方に飛び散っているにも関わらず冷静そのものだった。

ミ,,゚Д゚彡「隊長。我々の見立てによると、このスライムはドクオ様のもので間違いありません」

ミ,,゚Д゚彡「ショボン船長。両手を上に、うつ伏せになってください。ブーンさんは足を畳んで床に座って手のひらを見せて」

ミ,,゚Д゚彡「今から質問をします。余計なことは言わずに返事だけをお願いします」

ミ,,゚Д゚彡「入港時の資料と照らしあわせますので、嘘偽りのないように」

ミ,,゚Д゚彡「そうだそうだ!」

  フッサール人は精神を共有しているため、“一人称を持たない”。
同調の深浅や上下の関係は互いの調整により可能で、現在の彼らは取り調べにおいて完璧に同調していた。

  やがで強固な自我を獲得し、精神同一体から完全に抜けだした存在が産まれ、
フッサール人全体の集合精神を乱すことになり彼らの存亡をかけた戦いが始まるが……
けれどもこれは別の物語、いつかまた、別の時に話すことにしよう。

  正義と天秤を信条とする彼らは完璧に平等に判断を下すため、
ショボンは争いごとになる心配はしていなかった。映像データを見せさえすれば正当防衛が認められるのだ。

  容姿がまったく同じ彼らが、何度も何度も訓練された見世物のように動き回っていた。
【天翔ける生の証】号を手際よく調査――危険・毒性物質が撒き散らされないか。刃物や爆発物がないか――し、
順序よく矢継ぎ早に質問――船体識別番号。名前、種族。<マンドクセ>への寄港理由。ドクオの逃走の理由――した。

ミ,,゚Д゚彡『貴様らがいくらモディフィカ・スライムを連れだそうとしたところで、絶対に不可能である。
        現存する全モディフィカ・スライムの細胞を採取し、通過時に検知する完璧なるセンサーに加え、
        恐怖や不安などの感情を察知して反応するセンサーも、この宇宙港には設置されているのだからな』

  画面に映ったフッサール人が鼻息荒く犬歯をむき出しにすると、取調中のフッサール人も同じ表情をしていた。
  その様子を見てブーンが怯えていた。個人主義の種族・文化で育ってきた彼に充分な恐怖を与える光景だった。

:: ( ;゚ω゚) ::

  ショボンはうつ伏せになっているのをいいことに、腕を枕にして目を閉じていた。

(´-ω-`)(商品が予想以上に捌けませんが、ドクオ殿の件は……うまくいきそうですね。
      これから先は少しの失敗も許されません。今のうちにゆっくりと休息をとっておきましょう)

  少々の眠気を感じる。安らかな顔で意識を沈めていく。そのうちに、誰かが起こしてくれるだろう……。


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