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ドクオの背骨

27 ◆hmIR/WZ3dM:2016/04/03(日) 20:59:04 ID:LBDXupdA0
(´・ω・`)「まず第一に、誘拐になってしまいます。私は宇宙を舞台に商売しているのですから、指名手配は困ります。
        ドクオ殿は父親――スカルチノフ殿――の許可を得ていませんね?
        我々が<マンドクセ>で一番の御曹司を攫うなんて、とてもとても……。私、平穏を好んでいますので」

(´・ω・`)「第二に、この【天翔ける生の証】号に残った燃料と酸素。
        燃料はまあ大目に見ましょう。ですがドクオ殿を載せた場合に消費される酸素量。
        これは無視できません。三人分となると、計算では次の目的地である<オールド・ヴィップ>にまで辿りつけません」

(´・ω・`)「第三に、足手まといです。
        知識も経験もまったくありませんので、船外作業はおろか船内作業すら何も出来ないでしょう?
        手取り足取り教える時間も余裕もありません。なにより、私、無償の奉仕が大嫌いなものでして」

(´・ω・`)「第四に、他の惑星での商売の邪魔でございますな。
        先の飲食店のように自己主張で騒ぎ立てるのは論外だとしても、“ドクオ殿の存在そのものが邪魔”ですね。
        改めて問いかけておきます。これは私にしては本当に珍しく、純粋な善意からの言葉です。“自分の価値を理解しなさい”」

(´・ω・`)「第五に、金銭。いつの時代も最も巨大な障害は時と金なのは変わらないようだ。
        宇宙というものは消費されていく一方の無慈悲な暗黒空間でございます。
        一時の浅はかな同情で積載量を増やす宇宙船の長はおりません。
        生存は無料ではないのです。これも同じく、決して破られ得ぬ宇宙の秩序」

(´・ω・`)「最後に、あなたには“背骨”がない。明確な目的地。進むべき羅針盤。歪まぬ信念。それを持っていない。
        ただただ恵まれた毎日をつまらない、退屈だ、どこか別の場所へ行きたいという漠然とした憧憬。
        現実逃避に我々を利用しないで頂きたい。はっきり申し上げますと迷惑以外の何物でもございません」

(´・ω・`)「これ以上手を煩わせないでくれませんか。速やかに自宅へと帰りなさい」

(#゚A゚)「う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

  ショボンの冷徹な宣言に、ドクオは叫ばずにはいられなかった。
憧れの人から受けた徹底的な拒絶。入り込む余地のない鉄の壁。理知騒然と並べられた紛れも無い真実……。

  積もり積もった怒りが脳内を占領し、ドクオは反射的に身体を変化させていた。
五体を揃えたドクオが椅子から飛び上がり、ショボンに殴りかかる。
体中から質量を寄せ集めて大きく隆起させた右腕を、脳天から叩きつけるように振り下ろした。

(´・ω・`)

  ショボンはソファーにもたれかかったまま、微動だにしなかった。
眉一つ動かさず、襲いかかって来るドクオを眺めている。
ショボンには激情に駆られたドクオが暴力に訴えるのが予測できていたし、
さっと身をかわして手痛い反撃を与えるのも簡単に行えた。

  しかし、ショボンは動かない。


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