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ドクオの背骨

2 ◆hmIR/WZ3dM:2016/04/01(金) 21:56:33 ID:iWpo9g3E0
  仰向けとなったドクオがはじめに認識したのは、青白い空だ。
雲ひとつない快晴に、二つの恒星が浮かんでいる。背中には、ざりざりとした石の感覚。
わけもわからぬまま周囲に目を走らせると、見渡す限りの緑色――刈り込まれた芝や、
多種多様の生物をかたどった樹木――を縫うように敷き詰められた白と茶の石畳。遠くには、銀色に輝く屋敷。

('A`)(ここはどこだ? おれは、今、なにをしてる? は? はああああ?)

  千切れ飛んだ断面が泡立ち、盛り上がる。同時にドクオの感覚と記憶が蘇っていく。
形が整い、散り散りになった部分にぴったりと埋まった。そして、現在の状況を完全に思い出した。

  スカルチノフはドクオに追い打ちをかけることはせず、怒鳴り声で問いかけた。

/#,' 3「おいドクオ! これでもまだ、出て行くと言うのか!?」

(#'A`)「当たり前だろ!」

  ドクオは全霊で叫んだ。今この瞬間こそ、自分がこれまでに生きてきた時間の中でなによりも大事な場面だと。
ずっと求めていた機会がようやく巡ってきたのだ。今回の好機をものに出来なかったら死んだほうがマシとさえ考えていた。

  家から出て行きたい息子と、引き止めたい父親。
二人の自宅――惑星<マンドクセ>で一番大きな宮殿だ――の庭で、彼らは対峙している。

  ここにいては、決して目にすることはできないものをドクオは求めていた。
このままでは、心を震わせる冒険も夢物語も、決して体験することができない。
そのことがドクオにはどうしても我慢ならなかった。

('A`)(<マンドクセ>には何もねえ。
    俺が好きなもの……俺が心を躍らせる、俺が主役となって活躍する物語の舞台には成り得ない場所だ)

  ドクオの全身に力が漲る。いつまでもいつまでも、自室で読み耽っていた書籍が勇気を与えてくれた。


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