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ドクオの背骨
12
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◆hmIR/WZ3dM
:2016/04/03(日) 19:58:51 ID:LBDXupdA0
(//‰ ゚)(とりあえずは、ドクオ様のお部屋から掃除を開始しましょうか)
ヨコホリは掃除用具を取りに倉庫に向かって歩き出した。
一歩、一歩と進むたびに、ドクオの手で切り裂かれた人工皮膚の隙間をくぐり抜けて風が入り込む。
新たに切り刻まれた顔面の皮膚が揺れて視界の隅でちらついた。動作に異常はないが、推奨される状況でもない。
自らに異変があれば主人へと報告する防衛本能がヨコホリには備わっており、
ドクオの蛮行が始まってから幾度と無くスカルチノフへ報告し、傷の修繕を頼んでいたが、願いが叶えられたことはない。
それどころか、スカルチノフから返事が返ってきたこともなく、目を通しているのかすら不明であった。
ヨコホリが歩き続けて数分。
膨大な数の空き部屋――これらの空き部屋は制御室の操作にて完全な真空状態を維持しているため、
積もる埃や腐敗の心配がないので立ち入る必要はない――の前を通り過ぎ、倉庫にたどり着いた。
(//‰ ゚)(……)
優れた人工知能による豊かな感情を誇示するような多色の配線と、
所詮は機械とヒューマノイドの本質を象徴するような入り組む灰色の鋼鉄が、倉庫の闇に紛れ込む。
近頃、ヨコホリは気分――便宜的にこう表現したが、正確かどうかはわからない――が優れなかった。
常日頃、とにかく不快感を覚えていた。
優秀なヒューマノイドは原因を理解していた。感情だ。
愛情、親近、友情、尊重……スカルチノフからもドクオからも、あたたかな感情をもう長い間向けられていない。
しかし内心がどうあろうと決め事を破ることはない。ヨコホリは稼働している。雑務の遂行には決して支障はないのだ……。
ヒューマノイドはまだ、倉庫の闇に埋もれている。
新しい知識を伝えると目を輝かせ、料理を次から次へと笑顔で頬張り、
気分が高揚すると勢い良く飛びついてくる、幼いころのドクオの姿が、ヨコホリのメモリには記録されている。
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