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雨中の彼が消えてしまう瞬間に。

10まかろん:2015/04/14(火) 15:09:46



-相馬奏太(そうまかなた)



生まれた時から、俺は”雨人”という第三種の人間だった。


第一種の普通の人間の父と、雨人の母から生まれ、母は幼き頃重い病気で亡くなってしまった。


今は父と自分、そして第一種の中学の弟の、男三人暮らしをしている。


むさ苦しいよな。




「ありがとうございました、またお越し下さいませ」



この日は放課後から、24時間営業のドラッグストアのアルバイトで、夜10時までレジに立ちっぱなしだ。


自分と弟のお小遣いくらいどうにかしよう、と始めたのはもう一年前。


店長やバイト仲間、正社員さんとは良い信頼関係を築き、気持ちの良い環境の中で働けている。



――だが、二週間前のことだった。


その日は人手が足りないからと、深夜のシフトに入っていたのに。


夕方、突如パタリと雨があがってしまい、俺はこの世界から音もなく消えてしまった。



”雨人”という人種なのは、事前に説明したため理解してもらえたものの、自分の中では申し訳なさいっぱいだった。




本当に面倒だ、”雨人”というのは。



「相馬君、ビールの補充お願いできる?」



「分かりました、じゃあバックヤード行ってきます」




晴れ渡る空、というものを見たことがない。


美しい夕日に感動したことがない。


知っているのは、心地悪い曇天か、暗い空から滴り落ちる雨か。



テレビや写真でしか感じれない綺麗なそれらは、どんなに願っても一生見ることのできない光景なのだろう。


俺は雨人で、どんなに足掻いてもここから逃げ出せない。


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