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SSスレ「マーサー王物語-拳士たち」第三部

31 ◆V9ncA8v9YI:2021/10/17(日) 03:07:30

アヤノが軍隊式格闘術コマンドサンボを扱うように、
ノム・リーカーはプロレスの技を戦闘に取り入れていた。
これはノムがかつてプロレス道場に世話になった経験から来ており、
その団体の名称を自身の戦闘スタイルの名にも流用していた。
ノムのプロレス「WNC」は拳士屈指の力強さを誇る。
今まで立っていたタンスの上からダイブし、キシモンにボディープレスを喰らわせる。

「そりゃあ!!」
「な、なんや!?」

爆音を全く気にせず突っ込んできたので、キシモンは驚き、直撃を受けてしまう。
しかし、ノムの身体はかなり軽い方だ。
キシモンは腕に力を入れて、ちゃぶ台を返すようにノムをぶん投げた。

「そんなん効かんわ!増量してから出直してこいっ!!」

ファクトリーで力強く造り変えられた腕で投げ飛ばされたのだから、落下時のダメージは相当のものだろう。
だが、ファクトリーの力を利用できるのはノムだって同じだ。
下半身を強化して難なく着地したかと思えば、その勢いのまま猪突猛進の如くキシモンに突っ込んでいった。
そして右腕全体を鋼鉄のように硬くし、キシモンの首に強烈なラリアットをぶつけるのだった。

「ぐうっ……!」
「まだ終わらないよ!」

呼吸が出来ず苦しむキシモンに対して、ノムが大きく振りかぶった平手打ちをバシンを打ち込んでいく。
脳をも揺さぶる殺人ビンタをまともに受けたためキシモンは平衡感覚を失ってしまう。

(アカン……拳士は全員が格闘技の達人と聞いとったけど、これほどとは……)

ノムとキシモンのどちらも肉体を造り変えて強化しているとは言え、プロレス技術で戦える分だけノムの方が有利だった。
言うならばプロレスラーと素人が喧嘩をしているようなもの。
キシモンが接近戦をするのは分が悪すぎる。ここは退くのが得策だろう。

「いや!ここで退いてたまるか!!むしろガチンコで勝負したるわ!!」

ファクトリーの感染がもう1段階進んだ椿姫たちには、殺気をコントロールする術がある。
キシモンは音のオーラを長い脚に集中させて、ノムのお腹に蹴りを入れた。
蹴り自体は凡庸かもしれないが、その脚にはキシモンの殺気がこれでもかという程に込められている。
ノムは音の爆弾を体内に直接ブチ込まれたため、大ボリュームに耐えきれず意識が吹っ飛びそうになる。
……が、まだ堪えている。二本の脚で立ち続けていた。

「しぶといな!せやったらもう一発!!!」

キシモンは先ほどと同じように爆音を集めた脚でノムの鳩尾を蹴りあげた。
これでノムの体内では爆音と爆音がぶつかり合い、更なる轟音を産んでいった。
実際ノムは爆撃を受けたかのような苦悶の表情を浮かべているし、血反吐だって吐いている。
だと言うのに、
ノム・リーカーは倒れたりせず、未だに立ち続けていた。

「な、なんで倒れへんのや!おかしいやろ自分!」
「私は……レスラーだからね……」
「は?……」
「どんな攻撃も……全部受け止める覚悟があるから……我慢できるんだ……」
「アホか!100発喰らってくたばれ!!!」


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