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SSスレ「マーサー王物語-拳士たち」第三部

25 ◆V9ncA8v9YI:2021/10/14(木) 23:59:14

キシモンの発言を聞いた瞬間、アヤノはパンチを出していた。
"食卓の騎士を倒す"……そんな考えを聞いただけで敵とみなしたのである。
しかしその攻撃を黙って受けるキシモンではなかった。
机を蹴っ飛ばして後方へと跳びあがり、アヤノの攻撃を回避する。

「あれ?話し合いは決別ですか?」
「あったりまえだろっっ!お前なんか敵だ敵!」

ベリーズを尊敬するアヤノが特に激怒しているが、他の拳士だって同じ考えだ。
自分たちがこうして人間らしく暮らしているのはベリーズとキュートのおかげだ。
そんな恩人をぶっ倒すだなんて、同調できるワケがない。
そんな中、ノムが大きな声で叫び出した。

「あ!思い出した!!」
「どうしたの?」
「このキシモンって人、マーサー王国の研修生にいたよ!
 研修生はたくさんいるからすぐには分からなかったけど、ベリーズ様の大ファンで有名だった子だ!
 それこそ、アヤノに匹敵するくらいベリーズ様を尊敬していたはず……」

それほどの者がベリーズを軽視するなんておかしな話だ。
マーサー王国の研修生であれば食卓の騎士の強さ、偉大さは十二分に分かっているはず。

「尊敬?そりゃ今も尊敬はしてますよ。ただな、こっちは事実を言っとんねん。
 定年が近い食卓の騎士様は日に日に弱体化していっている。
 対して、ウチら椿姫(つばき)と拳士(こぶし)は力を暴走させれば食卓の騎士様をも超える。
 となれば……2組が力を合わせれば本気で天下を取れそうやろ?」

ブチ切れたアヤノが今度こそキシモンの息の根を止めようとしたが、それをアヤパンが制した。

「なんで止めるの!」
「ねぇ、あの子の目、おかしいと思わない?……」

キシモンの瞳は真っ黒に染まっていた。人間ではありえない色だ。
同時にファクトリー感染者が暴走した時のような、禍々しいオーラが発せられているのも感じ取ることが出来る。
そこでアヤパンが1つの仮説を導き出した。

「ひょっとして……感染がもう1段階進んでいるんじゃない?」
「「「「「「「!?」」」」」」」

拳士たちは暴走のリスクこそあるものの、基本的には正気を保っている。
日常会話だって感染前と同じように行うことが出来ていた。
だが、瞳が真っ黒に染まったキシモンはそれすら出来ない状態にあるのではないだろうか。
尊敬するベリーズさえも軽く見るように、精神そのものが汚染されているのかもしれない。

「へぇ……リーダーさん、なかなか頭ええなぁ」
「あなた、自覚をしているの?……」
「私たちはなぁ、いつの日からか目に見えるものがすべて真夜中みたいに真っ暗になったんや。
 日の沈んだこの世界、楽しいものなんて破壊しか無いんやで……」

彼女らの名乗る"椿姫"とは、実在するオペラ作品の名前だ。
その作品の原題は「道を踏み外した女」。
日の出を見ることの叶わない彼女らは、もう、既に、道を踏み外している。


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