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SSスレ「マーサー王物語-拳士たち」第三部
21
:
◆V9ncA8v9YI
:2021/10/10(日) 09:24:49
マーサー王国の城から離れたところにある、とある施設。
ここではファクトリーに感染した拳士(こぶし)達が生活をしていた。
拳士は書類の上ではマーサー王国の兵士に属しているのだが、
暴走のリスクがあるため隔離されているのである。
「ねぇアヤパン、今日はモモコ様がいらっしゃる日だよね?」
「ええ、そうよ。よく覚えてたね、アヤノ。」
「そりゃあね。司令が無い今、一番の楽しみだもん。」
ベリーズ戦士団は定期的に拳士たちのもとを訪れていた。
ファクトリーの浸食状況を観察するという意味合いもあるが、
いつか彼女たちが元の身体に戻り、本当の意味でマーサー王国兵になった時のために、戦闘技術の指導もしているのである。
それが拳士たちにとってはかけがえのない時間だった。
アヤノはベリーズ全般を尊敬しているが、特にモモコに憧れているため、
今日はいつも以上にテンションが上がっているようだ。
「アンタら、くれぐれも失礼が無いようにしなさいよ!
特にフジー!モモコ様に抱き着きでもしたら息の根を止めるからね。」
「マイミ様以外にはそんなことしないし」
「いや、マイミ様にもしない方がいいからね。」
フジーにドン引きしながらも、アヤノはお次にノムに喰ってかかった。
「ノム!モモコ様がいらっしゃるんだから絶品料理を振る舞うのよ!」
「ふっ……私を誰だと思っているの」
ノムは拳士きっての料理人。
包丁を握ったかと思えば一瞬で目の前の食材を捌き、あっという間に寿司を握ってしまった。
ファクトリーは武器を嫌うため、拳士は握った刃物をボロボロに腐食させてしまうものなのだが、
ノムは調理時の闘争心を極限まで抑えることにより、包丁を壊さずに料理を行えるようになったのだ。
これは誰でも出来ることではない。想像も出来ないほどの努力の結果だろう。
「へいお待ち!ウニとカンパチだよ!」
「ちょっと!魚は嫌いっていつも言ってるでしょ!」
「モモコ様の大好物で揃えたんだけど?」
「うぐぐ……」
ノムの料理の腕前は非常に優れている。
伝説の料理人クロッキや、西の地方で騒がれているマグロ解体師には流石に敵わないが、
これらの寿司はそれらの職人に次ぐレベルだと言ってもよいだろう。
ただ、そんなノムにも弱点があった。サクラッコが指摘をする。
「モモコ様がいらっしゃるのはまだまだ先なんでしょ?お寿司は生ものだから傷んじゃうんじゃない?」
「あっ……」
ノムはうっかりさんなところがあった。
初期はしっかりしているように見えたが、共同生活をしていくうちに天然ボケが目立つようになったのだ。
作ったものは仕方ないと拳士のみんなでお寿司に舌鼓を打っているところに、
突如、違和感を覚えはじめた。
「あれ?……」
「この感じは……」
強烈な圧を感じたのでモモコがやってきたのかと思ったが、それとは何やら感じが違う。
どちらかと言えば拳士のみんなと近い雰囲気の者がやってきているようだ。
ファクトリーの感染者は、同じ感染者がいることを知覚することが出来る。
つまり、拳士の8人以外のファクトリー感染者がすぐそこまでやってきているということだ。
全員が緊迫している中で、ガチャリとドアが開く。
「こんちわー、勧誘にきましたーっ」
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