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ハロ異聞録ペルソナ

8名無し募集中。。。:2020/01/07(火) 23:36:31
 突然高橋が現れたことで亀井と道重は気まずそうに顔を見合わせた。
「別にいいじゃん!」 声を上げたのは新垣だった。
「でも、授業が……」 
 再度言いかけて高橋はその場に座り込んだ。「あたしもここで見てる。なんかあったらまずから」
 何があるって言うんだ。新垣の奥歯が鳴った。聴こえたのは本人だけだろう。
「ほら、えり、さゆ手繋いで。始めよう」
 新垣、亀井、道重は手を繋ぎ目を閉じた。
 守護霊様のやり方は難しくない。
 二人以上で手を繋ぎ目をつぶる。それから自分達が現在いる場所と、その場を区切る扉を想像する。つまりこの場合、屋上と屋上の出入り口である。
 そして「守護霊様おいでください」と言った後に扉から何かが出てきたらそれが消える前に心の中で願い事を唱える。それだけの事だ。
 もしも扉から何も出てこなかった場合は失敗ということになる。
 コックリさんとは違い失敗しても特にリスクはない。
「守護霊様おいでくさい 守護霊様おいでください 守護霊様おいでください」
 三人が繰り返し唱える。
 異様な空気に呑まれ高橋も目を閉じていた。
 四人から死角になる場所にいる光井も。コンクリート塀の上にいる田中も。
 辺りが皆既日食により夜みたいに暗くなった。その瞬間、扉が開いた。
 でてきたのは黒い影に覆われた人型のなにか。
 高橋はそれが自分に向かってくるのを見た。そして掴まれる寸前、それは何かに阻まれるように四散した。
 皆が飛び退くように目を開けた。同じものを見た証拠だった。
 高橋、新垣、亀井、道重の四人は互いに顔を見合わせる。誰も声は出さなかった。言葉にするのがあまりにも恐ろしかったからだ。
 コンクリート塀のうえで田中も固唾を飲んだ。
 死角にいる光井も同様だった。
 辺りが明るくなってきた。
 屋上の闇を祓うかのように日が顔をのぞかせていた。


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