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ハロ異聞録ペルソナ

7名無し募集中。。。:2020/01/07(火) 23:35:47
『光井愛佳の場合』
 
 昨日は酷かった。雑巾を口に突っ込まれて感想を言わされた。もう耐えるのに疲れた。
 昼休み、屋上の一角で身を隠しながら光井はそう思い返していた。
 中学の頃からイジメのターゲットにされ、高校でも同じようにイジメられ続けている。
 最初は自分が悪いのかと悩んだ時期もあった。腹を蹴られるたびにごめんなさいと叫んだ。それにも疲れて何も言わなくなると、暴力は余計に酷くなった。
 死のうと決意したのが一週間前。千年ぶりの皆既日食が迫っているとニュースで言っているのを見て決めた。
 丁度いい。日食に合わせて飛び降りよう、と。
 だが当日、なかなか上手くはいかないものだと悟った。
 屋上で誰もいなくなるのを待つため、出入り口の塀の上で隠れて日食を待とうと思ったら先約がいたのだ。
 見た事も無いセーラー服姿の女子が丸くなり気持ちよさそうに寝ている。
「今から死ぬ準備をするのでそこかわってください」とは言えない。
 仕方なく出来るだけ死角になるところを探し身を潜めるしかなかった。
 そして今、そろそろ日食だというのに女子生徒が三人、教室へ戻ろうとしないのである。 
 聞き耳をたてると、どうやら三人は『守護霊様』をやろうとしているようだった。
 はやくいなくならないかな、と考えていると屋上の出入り口の開く音が聴こえた。
 まさか先生!? と肝を冷やしながら死角から覗くと三年生の女子だった。
 しかもよく知っている人だった。高橋愛。学院のアイドル。自分とは真逆の存在だ。 
 高橋は三人のうちの一人といくつか言葉を交わし、その場に座り込んだ。
 事情はよくわからないが『守護霊様』を見守るようだ。改めて三人が手を繋ぐ。
 なんだか薄暗いと感じ、光井はハッして空を見上げた。気付くと太陽がもう半分も隠れていた。
 こんな状況じゃ自殺なんて無理だ。また、あの地獄のような日々に逆戻りか。
 光井が『守護霊様』を行う三人に目を向ける。
 それがどういう遊びなのかは知っていた。願いが叶うらしいという事も。
 だから願った。心の底から。
 ――みんな死にますように。
 太陽が闇に呑まれていた。


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