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ハロ異聞録ペルソナ

6名無し募集中。。。:2020/01/07(火) 23:33:43
『田中れいなの場合』

 朝、通学路の一角で、モーニング女学院の生徒達の視線が一点に集まっていた。
 原因は田中れいなだった。
 時代錯誤ともいえるロングスカートのセーラー服に派手な頭髪。
 そもそもモーニング女学院の制服はちゃんと指定されたブレザーとシャツが存在する。
 田中は、そんなことなどお構いなしといった様子で、約一年ぶりにモーニング女学院の校門をくぐった。
 というのも一年生の夏前に福岡から転入してきた彼女は、その初日から今日まで無期停学処分となっていたのである。
 その理由はありがちなものだった。自分達よりも目立つ存在をよく思わない上級生グループが田中を呼び出したのである。
 体育館裏で三年生六人が一年生一人を囲むという絶望的な光景。結果は三年生六人が六人とも病院送りで幕を閉じた。
 新聞部がその時の事を当事者である三年生(当時)の一人にインタビューしている。
『なに? 田中れいな?
 あれはさ……人じゃないね。上には上がいるって、そう初めて実感したね。
 信じられるかい? こっちが先に手をだしたのに遅れて出したあの子の拳が先に届くんだよ。何が何だかわからなかったよ。
 きっと、わからないくらいに差があるんだなってわかったのが最近の事さ』
 震える手で煙草の灰を落しながらその三年生(当時)は語ったという。
 そんな田中に生徒達の注目がいくのは必然だった。まるで檻の中のライオンやトラを見るような視線に田中は目を合わせた。
 すぐに視線を外す生徒を認め、どいつもこいつもと内心で呟く。クラスに行く気分ではなくなっていた。
 昼休みの終わりを告げるチャイムで田中は目を覚ました。そこは屋上の出入り口を囲うようにつくられたコンクリート塀の上。四畳ほどの広さで屋上を見おろせる。昼寝をするには丁度良かった。
 田中がよっこいしょと屋上を見下ろすと、女子が三人残っていた。手を繋ぎ、なにやら神妙な面持だ。
 するとそこにもう一人女子生徒が現れた。三年生だ。互いに何か言い合っている。
 まあ自分には関係ない。どうせ……。
 田中は景色をみるのと同じようにその様子を見ていた。


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