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ハロ異聞録ペルソナ
3
:
名無し募集中。。。
:2020/01/07(火) 23:29:59
『新垣里沙の場合』
今日は待ちに待った皆既日食の日だ。
新垣里沙はその気持ちを胸に留めて家を出た。
通学路につくと仲のいい後輩、亀井絵里と道重さゆみの後ろ姿が見えたので駆け寄って声をかけた。
「おっはよう!」
後輩二人が「おはようガキさん」と返した。先輩後輩の関係だがフランクな間柄だった。
「今日やるんでしょ?」 と亀井絵里が訊ねると新垣は「もち」と言って頷いた。
最近、中高生の間で流行りの『守護霊様』という遊びがある。いわばこっくりさんのようなオカルト遊びなのだが、どうやらこれがまんざらでもないらしいのだ。しかもこっくりさんのようなアンサー型ではなく、こちらの願いを叶えてくれる系というから楽しみで仕方がない。
さらに『日食の日は霊的な力が高まる』という話を聞いたことがあった新垣は、ついにと胸を躍らせていた。
「ガキさんは何をお願いするんです?」 道重さゆみが鏡を見ながら訪ねてきた。
「えー、どうしようかな」 新垣はこめかみを掻きながら迷う素振りをみせる。
が、すでに、というより最初から願いは決まっていた。
そうして校門を抜けると、三人の視線は前を行くひとりの女子生徒に集まった。
その三年生の周りには軽い人だかりができている。
「今日も高橋さん人気だよね」
亀井が言うと道重も頷きながら「パーフェクトってああいう人を言うのかも」と付け加えた。
新垣はそんな二人に気付かれないように奥歯を擦った。
モーニング女学院のスター高橋愛。彼女とは友人だ。
しかし周りからの扱いは全然違う。
最初はそれも仕方のない事だと思っていた。彼女と違い、自分は勉強はできないし運動も並だ。当然ビジュアルが良いわけでもないし、所属しているのは学校カーストの低い演劇部。
生徒会長で全国大会にもでている高橋と校内での立場が違うのは当然だ、と自分に言い聞かしていた。
そんなおり事件が起きた。
クラス内で積み立てていたバス遠足の旅費が紛失したのである。
お金は高橋、新垣を含めた五人の実行委員が管理していた。そして真っ先に疑われたのが新垣だった。直前にお金を持っていたのは高橋にもかかわらず、だ。
もちろん自分は盗ってはいない。それは状況証拠からも明らかだった。にも関わらず何故自分が責められるのだろう。
愛ちゃんじゃないの? 他の三人はどうなのさ。
責める三人と黙る高橋を前に、何を言っても無駄だと新垣は口をつぐんだ。
結局その後すぐ、お金は先生が預かっていた事が判明した。
疑ってかかってきた三人は悪びれる様子もなく「先生は盲点だったね」と笑っていた。
別に期待していたわけではない。けど、一言「ごめんね」があってもいいんじゃないか?
そう強い憤りを覚えるなか、高橋だけは「ガキさんが盗るはずないって思ってたよ」と言ってくれた。
「じゃあ、なんであの時、愛ちゃんは私を庇ってくれなかったの」昼休みが終わった屋上で亀井、道重と手を繋ぎながら新垣はぼそりとそう呟いた。
三人で辺りを見回し、誰もいないか確認する。
さあ、始めるぞというところで屋上の出入り口の開く音がした。
新垣がそちらに顔を向けると高橋愛が立っていた。
ひどく腹がたった。
――願い事は決まっている。自分も高橋愛のようになりたい、と。
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