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ハロ異聞録ペルソナ
10
:
名無し募集中。。。
:2020/01/07(火) 23:39:10
ゆっくりと近づいてくる男に合わせて、高橋も後退った。近くにある物を手あたり次第に投げつける。壁に背が当たるのを感じた。
高橋の足はそれでも男との距離を保とうと動き続けた。
距離が縮まるにつれ、彼女はこう思うようになっていた。
似ている。屋上で見た影の動きに、と。
ただ、影と違って男は確実に自分を食らうだろう。影のように消えるなんて都合のいい話はない。あれは遊びで、見たものは想像の産物でしかない。これは現実だ。
でも、もしも、あれも現実だったなら。
影は近くまできて何かに邪魔をされたかのように弾けた。消えたんじゃない。消えざるを得なかった。自分と影の間に何かが――
気付くと男の大きな口が肩に噛みついていた。はっきりと歯が皮膚を突き破るのを感じた。
ガキさんは無事だろうか。ちゃんと逃げられるのだろうか。
高橋は痛みに喘ぐよりも、何故か他人の心配をしていた。
そういういい人ぶった自分が嫌いなはずなのに。こんな最後の場面で……でも、それが自分なのかもしれない。
そう思った時、声がした。
“我は汝 汝は我”
死の間際の走馬灯、ならぬ幻聴。だが高橋にははっきりと聴こえた。
そしてその声に誘われる様に、自然と口が動いた。
「“ペ ル ソ ナ”」
高橋を中心に風が巻き起こった。二人を遮るように人型の像が現れ、その力の渦で男は何メートルも吹き飛んだ。
“我は汝 汝は我 我は汝の心の海よりいでし者”
“呼ぶがいい 我が名 汝が名を”
高橋の脳裏にまるで最初から知っていたかのように言葉が浮かんだ。
「“ヌエ”」
曖昧だった力の像が真の姿を顕にした。
頭部に狒々の面が一対となった金属の兜かぶり、黄色の短毛に覆われた体は人の倍はあろう。
そこはかとなく男性を思わせる胸板の膨らみは人を思わせるが、小ぶりな蛇を生やした尾骶は異形のそれである。
そして“彼”は人と獣の合いの子のような二足で高橋の前に佇んだ。
“我はヌエ 百鬼夜行 至高の一鬼 我が雷歌を以って 微睡みを与えん”
ヌエの腕が持ち上がる。その五指が起き上がろうとする男へ向いた。それから漆のように黒い爪がひび割れると、亀裂から男へ稲妻が走った。
ジグザクの閃光と共に空気を破る音が断続的に鳴った。男は煙をあげてその場に倒れた。
「ヌエ……私がやったの……わたしの、力……」
高橋がその肩まで覆う鬣を触ろうとすると、像は薄くなり消えいった。微かにだが指先に力の余韻を感じた。
周りにはまだ変貌した生徒が何人か残っいる。
しかし高橋の意識はすでに他へ向いていた。
ガキさんを助けなければ、と。
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