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もしも牧野まりあんLOVEりんがブレードランナーだったら

19名無し募集中。。。:2018/03/24(土) 19:15:49
家に入った真莉愛はぐるっと周囲を見まわす。
家を左右に分ける中央の廊下から階段が延びていた。フォーマルな応接間、ダイニングルーム。
どんな空間に入るときでも、まず危険がないか確かめる必要がある。

それにあとひとつ。内装と清潔さを判定し、目撃者や犯人に関する証言の価値を見積もるのだ。
床はきれいに掃かれ家具は整然としていた。この点に関しては合格だろう。

頭上でドンという大きな音がした。大きな足音が床に響く。
階段の上に現れたのは筋肉隆々の巨漢だった。
頭は身体に比して小さく、盛り上がった首の筋肉が余計に目立つ。

「なんの用か知らんが、さっさと帰ってくれ。そいつは警護のための人造人間でね。いくらあんたでも勝てないよ」男が言う。
「そうはいきません」真莉愛が答えると巨漢が近寄ってきて乱暴に真莉愛の肩を揺さぶった。

真莉愛はブラスターを抜いた。銃口はポン引きの顔に向けられている。
巨漢の手に銀色の光が走り、カチカチという音がして飛び出しナイフが握られた。

ポン引きは銃口を見つめた。
「よく聞けよ。その銃を俺の顔からどけろ。さもなきゃ死ぬことになるぜ」
巨漢が動いた。体重がかかって床がきしむ。
真莉愛が一歩前に出る。巨漢も一歩前に出る。真莉愛がもう一歩進む。

そのとき、ふたつのことが立て続けに起こった。
ポン引きの頭の半分が消えた。窓が割れた。
遠くから聞こえたライフルの発射音が真莉愛の頭でこだましている。
1発だけ。頭を狙った狙撃。

巨漢が真莉愛に飛びかかった。真莉愛が撃ったと思ったらしい。
ブラスターが手から叩き落とされ、床に倒された。
巨漢の手には飛び出しナイフが握られている。
動きを封じられた真莉愛の顔面にナイフが近づいた。

巨漢の手首を左手でつかみ、手探りでブラスターを握る。
長く鋭い刃が真莉愛の左目に突き刺さるのと同時に巨漢の頭が血しぶきを飛ばして消滅した。

20名無し募集中。。。:2018/03/24(土) 20:01:13
真莉愛の耳にちぃの悲鳴が届いた。
カチッ、カチッ、カチッ。もう銃弾は残っていない。
それでも真莉愛は引き金を引き続けた。

そのあとブラスターを床に落とす。ゴンという音がくぐもって聞こえる。
「まりあちゃん!まりあちゃん!」ちぃの泣き叫ぶ声が大きな音になった。

真莉愛はなんとか肺に空気を取りこもうとして胸を大きくふくらませた。
ナイフは目に刺さったままだ。柄がテントのポールのように前後に揺れている。

「まりあちゃん!」またちぃの声が聞こえた。
「この…」真莉愛は手を目に持っていこうとした。
「だめ!」ちぃが叫んだ。

「…ちぃちゃん」真莉愛がささやいた。「ひどい?…」
ちぃは自分に強いて、真莉愛の顔から突き出たナイフを見た。
真莉愛は射殺した巨漢の男の血にまみれている。
目からは透明な液体が流れ出て、血の気のない頬を伝い落ちていた。

「そんなにひどくない」ちぃは嘘をついた。
刃渡りは少なくとも15センチ。3分の1は目を貫き、3分の1は脳組織に達している。
ひどいのは分かっている。口に出して言わなかったのは奇跡だ。

真莉愛は首に筋を立てて頭を動かすまいとこらえている。
ちぃの人工頭脳は通信ユニットを使い現在位置に救援を要請するシグナルを送った。
徹底的にデータベースを検索し、できるだけ広範囲に。

いつでも攻撃できる状態で浮遊しているドローンから小型のガトリング砲とセンサーが突き出していた。
たったいま砲弾を放ったように焦げた銅と硫黄の匂いを漂わせながら。


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