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もしも牧野まりあんLOVEりんがブレードランナーだったら
18
:
名無し募集中。。。
:2018/03/24(土) 17:53:16
ちぃは窓の外に目をやる。景色が過ぎ去っていく。単調で気の滅入る景色。
閉鎖された工場に代わって荒廃した家々が見えてきたと思ったら、また無人の工場群が現れた。
これから向かう地区は掃き溜めだ。警察官および捜査官を歓迎しない。
屈強な男ですら、夕方以降の通報には尻ごみする。
真莉愛が説明した。
「捜しているターゲットが売春宿にいるって情報があるの。
だからその女の子たちを操ってるポン引きに話を聞く。
誰かなにかを見たかもしれないから女の子たちにも話を聞くけど、その前にポン引きと話をつける。
そうしないと相手にされないから」
ちぃはゆっくりとうなずいた。
知らないうちに景色が変わっていた。
荒廃した一戸建ての代わりに塗装していない丸太小屋や掘っ建て小屋が並んでいる。
街に現存する工業地帯だ。鋳造所や機械工場は黒煙を吐き出し、有害な化学物質を垂れ流す。
大通りに点在する電波塔からは絶えずブーンという音が聞こえていた。
ここに住む人々は政府の援助を求めておらず、援助を受ける資格もない。
自力で、自分たちの持っているものだけでやりくりしているのだ。
下水道は未発達で真冬でも悪臭漂う空気で淀んでいた。
不快な汚染物質を喀出して真莉愛は咳きこんだ。
「大丈夫?」ちぃが尋ねた。「平気。すぐ慣れるから」真莉愛はゴホンと咳をしてから答えた。
それからボタンをひとつ押すと、パトカーのルーフから小型のドローンが分離して浮遊する。
目的の家の玄関ポーチは狭いが頑丈にできていた。
真莉愛が激しくドアを叩いたので窓がカタカタ鳴った。「開けなさい!」またしてもドアを叩く。
鍵とチェーンが外れる音がしてドアが小さく開いた。「なんの用だ?」
「ネオ・ニシオ警察署です。お話があります」真莉愛は胸のバッジを叩いた。
男の眉が大きく上がった。
怪しげな笑みを浮かべながらも、ちゃんとドアを開けた。
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