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もしも牧野まりあんLOVEりんがブレードランナーだったら

11名無し募集中。。。:2018/03/19(月) 22:00:11
食器を片づけた真莉愛は、飾り気のないベッドに腰を下ろした。
マットレスは硬く、座ってもほとんど凹まない。
そのままごろりと横になり天井を見上げた。

平らな表面の白地に鳥のシルエットが投影され、黒く浮かび上がっている。
シルエットのリズミカルでやさしい動きが心地よかった。

ベッドの脇にひとりの少女が姿を見せた。
真莉愛は静かに笑った。
真莉愛が少女のための場所をつくると、少女は真莉愛の肩の上に頭をのせた。

「傷は痛む?」少女が心配そうな顔で尋ねた。
慎み深い所作、薄桃色の肌、つぶらで柔和なまなざし。
「大丈夫、平気だよ」真莉愛が答えると、少女は笑みを漏らした。

三次元的で、等身大のシミュレーション。つまりヴァーチャル・リアリティの少女だ。
ただし、現在あるものよりはるかに進歩したものだが。

真莉愛の“空想の友達”であるホログラム映像はまるで本物のような姿形と声を与えられている。
初めて会ったとき、真莉愛はどうしようもなくあふれる歓喜の涙を見られないよう気をつけた。
理解し合える相手ができた――そのときからふたりは姉妹のような関係になった。

少女はいつも真莉愛にお話をせがんだ。
真莉愛にとってお話をすることは楽しみでもあったが、苦痛でもあった。
真莉愛の職業上の“冒険談”をしょっちゅうせがむからだ。

普段から嘘をつく習慣がない真莉愛はわが身に降りかかった災難を話すしかない。
少女はわがことのように聞く。
それは少女の柔らかな瞳に、真莉愛自身の悲しみを映すことだった。

「気をつけてね、まりあちゃん」
たったひとりの親友に見送られながら真莉愛は仕事に出かける。
慈しむように真莉愛は言う。「行ってくるね、ちぃちゃん」


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