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もしもだーさくこと石田亜佑美と小田さくらが賞金稼ぎコンビだったら
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:
名無し募集中。。。
:2016/03/20(日) 13:04:27
オールド・センダイの法執行機関の職員は、とりわけカルテルに関してはひどく堕落していると評判だった。
カルテルの資金力は、警察官の稼ぎなどまったく問題にならない。
だが、恐ろしいのはカルテルの財産や人的資源だけではない。
カルテルは法の執行者を恐れない。あまりにも頻繁に誰でも殺すことを実地に見せてきた。
警察官、政治家、裁判官、ジャーナリスト。誰も安全ではない。
しかも直接的に問題となる人物を殺すだけでなく、その家族、関係者をも殺す。
信じられないほど陰惨な殺し方をすることが多かった。
しかし、だからといってオールド・センダイに正直な人間がいない、カルテルの犯罪行為に立ち向かう勇気ある人間がいないわけではない。
亜佑美は拳銃をホルスターにおさめ、ヘルメットをつかみ、ロッカーをばたんと閉めた。
そして遥の肩に手を置いた。
「考えこまないほうがいい。みんなイライラしてるんだから」
「ああ…そうだね」
大部屋に戻った亜佑美は聖に呼び止められた。
「あゆみちゃん」と、聖は話しかけた。「新しい相棒に、近所の地理を教えてあげて」
「よろしくお願いします」さくらは亜佑美の手をぎゅっと握り、上下に振った。
愛想よくにっこりと笑っている。
「いったいあの…」悪態が出てくる前に亜佑美はつばを飲んだ。
聖が眉を吊りあげた。「小田さくらちゃん、オールド・ザマでの“戦果”を調べた。完璧ね」
「ふん、こっちよ」亜佑美はそれ以上なにも言わずにさくらを完全に無視して、その脇を通り抜けた。
きつく握られた手が赤くなっている。
亜佑美は足早に部屋を抜けていく。さくらは小さくなってその後を追った。
聖がクスクスと笑っている。「お幸せに、おふたりさん」
楽しそうな口調で続けた。「お似合いのカップルだわ」
亜佑美とさくらは駐車場に入った。ガソリンの臭いと、一酸化炭素ガスが充満していた。
ハンターたちが次々とターボクルーザーに乗りこんでは急発進させていく。
「ピカピカですね」さくらが言った。
「先週、被弾したキズを修理したばかりだからね」亜佑美が応えた。
亜佑美は運転席に歩み寄ると、ぐいとドアを開けた。
「あんたがこのあたりの道を覚えるまでは、あたしが運転したほうがいいわね」
さくらは亜佑美の脇をすり抜けて、運転席に座った。
「新しいパートナーと組むときは、自分が運転することにしてるんです」
さくらはそう言ってドアを閉めた。
残された亜佑美は不機嫌な表情でさくらをにらんだ。
さくらがエンジンをかけると、諦めたようにぐるりと車体を回って助手席についた。
「あんた、ザマでもこういう車に乗ってたの?それとも向こうじゃ、おかかえ運転手つき?」亜佑美がからかい口調で言った。
答えるかわりに、さくらはアクセルを踏みこんだ。
タイヤをきしませながら、スロープを出る。
通りへの出口のところで、2台のターボクルーザーが停車していた。
さくらはニヤリと笑うと、2台の間をスレスレに通り抜け、一路北を目指した。
亜佑美はあっけにとられながらつぶやいた。
「…なかなかやるじゃない、新入りにしては」
ターボクルーザーはすべるように裏通りを走った。
背後の再開発された地区でスカイラインが太陽を浴びて輝いている。
オールド・センダイのスラム街にターボクルーザーが飛びこみかけた時、亜佑美はバックミラーを指した。
「文明社会にサヨナラを言ったほうがいいわよ」
さくらはバックミラーをちらりと見た。
「あれが文明と呼べるものなら」さくらがつぶやき返した。
「あんた…のみこみが早いんだね」亜佑美は苦笑いした。
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