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もしもだーさくこと石田亜佑美と小田さくらが賞金稼ぎコンビだったら
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:
名無し募集中。。。
:2016/07/31(日) 19:28:11
夜明け前に目覚めたさくらは、傷む脚を引きずってラップトップに向かった。
USB メモリーをスロットに挿入してファイルを調べた。
ある程度の勘を働かせながら慎重に調べたが、不審を覚えるものは何ひとつなかった。
大半の人々が犯す過ちは、見られたくないものを暗号化することである。
さくらのような練達から見れば、それは何を調べればいいか教えてくれているに等しい。
しかし、嫌な予感がした。やはりどれも暗号化していない。
意図的に手がかりをなくそうという判断かどうかはともかく、これでは突き止める術がない。
あきらめたさくらは、通常の仕事をするために支度をした。
部屋を出てエレベーターへ向かった。
“寮”の食堂「パシフィック・ヘル」は朝だというのに宴会のような騒ぎだった。
亜佑美が近づいてきて、事情を説明してくれた。
「どこかの誰かが譜久村さんの家に侵入したらしいよ」
「譜久村さんの?命知らずな泥棒ですね」
「間抜けよね。きっと知らなかったんでしょうけど」
「事件はいつ起きたんです?」さくらは素知らぬ顔で調子を合わせた。
他のハンターたちは、テーブルのまわりにいたので、亜佑美とさくらの声は聞こえなかった。
「夕べ、あんたが出かけてたころだよ。あんたが血だらけで…」
亜佑美は何かを思いつき、話すのを途中でやめた。
しかし、いったん口から出た言葉は取り消しようがなかった。
「話によると、船の修理工場あたりから犯人が逃げた跡には血がついていたらしい…」
亜佑美はそこで口を閉じて、さくらを見つめた。
亜佑美とさくらの目が合い、どちらも目をそらさなかった。
亜佑美が犯人を知ったのは疑いない。
さくらは否定することもできたが、亜佑美が納得してくれるかどうかは確信が持てなかった。
あるいは脅しをかけることもできたかもしれないが、亜佑美が簡単に怖じ気づく人間ではないことは分かっていた。
望ましい状況ではないが、さくらは直感を信じて、いちかばちか賭けることにした。
「石田さん。いまは本当のことは話せないんです」
さくらはちょっと間を置いて続けた。
「私が出かけたのは昨夜ではなく、一昨日の晩です」
亜佑美は驚いた様子で反駁しかけたが、さくらはそのいとまを与えず話し続けた。
「昨夜、石田さんと私はコンビとして任務にあたっていた」さくらは言った。
「静かな夜で、ただのパトロールでしたね」
亜佑美の目がにわかに輝きを帯びた。意図は伝わったようだ。
「ちゃんと説明すると約束する?」
亜佑美は声を低くした。
ふたりはふたたびお互いを見た。
さくらは直感を信じるよりほかなかった。
秘密は守られるか。さくらは相棒の目をじっと見つめた。
「約束します」
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