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もしもだーさくこと石田亜佑美と小田さくらが賞金稼ぎコンビだったら

11名無し募集中。。。:2016/03/21(月) 11:29:04
「あった」と亜佑美が言った。
今は使われていない大きな倉庫の近くに、あの白色のバンが停車していた。
ドアは開いたままで、車内には誰もいない。

「寄せてください。ゆっくり」とさくらが言った。
亜佑美はターボクルーザーを進めて、バンの横を通り越した。
「誰もいない」
「あそこです」とさくらが耳打ちした。

亜佑美はターボクルーザーを倉庫の横に寄せて、エンジンを切った。
さくらは本部とつながっているコンピューター・マップに自分たちの座標を入力した。
ビュー・スクリーンが始動する――“全パトロール出動中――出動可能推定時刻は30分後”
亜佑美は肩をすくめた。「ダメだこりゃ」

亜佑美とさくらは、ヘルメットをかぶった。勝ち目はない。
だが、アドレナリンが全身を駆け巡っている。
まさに白鯨を追うエイハブ船長の心境だ。読んだことはなかったが。

ふたりはスーツの中で無線装置を作動させて、ターボクルーザーから降りた。
亜佑美は倉庫の正面入口を指した。
さくらはこくりとうなずき、銃口を2階へ通じる階段に向けた。
「連絡を切らないでよ」亜佑美が言う。
さくらはうなずいた。「了解」

亜佑美は正面入口の内側に姿を消し、さくらは目の前に伸びる錆びついた金属階段を見つめた。
自分の体重に持ちこたえてくれるだろうか…。
次の瞬間、猫のような優雅さでふわりと階段に飛び乗り、昇りはじめた。

倉庫の内部は暗かった。亜佑美は無言であたりを見回した。
今さら引きさがる気はない。
目の前には無数のコンテナが転がっている。これでは人工の迷路だ。
コンテナの山に沿って足早に前進した亜佑美は、ふと立ち止まった。
声…。男の声だ。亜佑美は歩調を落とし、自動小銃を握りしめた。

この墓穴に隠れているゴリラどもが、どれだけ大きく、どれだけ強いかは定かではない。
くねくねと折れ曲がるコンテナの列の迷路を忍び足でたどる。
亜佑美は話し声にじっと聞き耳をたてた。

亜佑美のいる階の上では、さくらが壁づたいに這っていた。
下方の床に目をやった。木箱の山を越えたところに動きの気配がある。
さくらは敏捷な動きで、無音のまま跳躍した。
男がふたりいた。どうやらマリファナを吸っているようだ。

見張りも置いていないとは、さくらは理解に苦しんだ。
強盗が成功して安心しきっているのか。
追跡してきたハンターも見事に撃退できたと思っているのかもしれない。
ネズミを丸呑みした蛇のように、気が弛んでいる。勝機あり。
さくらは、観察を続けた。

男のひとりが、囲いのない集荷用エレベーターの方へ歩み去るのを見守った。
ジーッとジッパーをさげる音が聞こえた。
小便をしている。その放尿が終わるのをさくらは待った。

頃合いを見計らって、さくらが矢のように跳ねあがった。
男の口を塞ぎ、胸骨の下にナイフを突き刺した。
男はズボンの股にシミをつけたまま、あっという間もなく絶命した。
さくらは、足もとを流れていく小便に顔をしかめた。


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