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復刻版・もぎたて桃子のキャンパスライフ
3
:
1
:2015/08/17(月) 12:03:29
MY DAYS FOR YOU編
大学3年の春になった。
オレとその子(桃子似)がつき合い出して、半年以上が過ぎた計算だ。
その間、一緒に旅行したり、いろいろなことがあったけれど、いつも肝心な時に邪魔が入って、オレ
とその子(桃子似)は結ばれぬままでいた。
ただ、心の結びつきだけはそのつど深まっているような気がして、それだけが嬉しかった。
新入生が大学に通いだし、キャンパスの中は各サークルの新人勧誘が花盛りだった。
うちのサークルにもぼつぼつと新入生が訪れていたものの、まだまだ数が少なく、もっと集める必要
があった。
オレたちは交代でキャンパスの中に出店を出して、新人勧誘を行っていた。
今日はオレとその子(桃子似)が当番の日だった。
待ち合わせの時間になっても、サークルの溜まり場にその子(桃子似)は現れなかった。
5分、10分…と過ぎた頃、オレの携帯がメールを着信した。
「ごめん先輩。バイト先で急に休んだ子がいて抜けられなくなっちゃった。許してニャン」
ふざけた絵文字が添えられているのを見て、オレは一瞬カッとなった。
4
:
1
:2015/08/17(月) 12:04:34
改行とか全然整ってなかった(汗
5
:
1
:2015/08/17(月) 12:08:13
その子(桃子似)は最近、大学の近くのホカ弁屋でバイトを始めたのだった。
「何もホカ弁屋なんてババア臭いところで働かなくても、近くにファーストフードとかいろいろあるじゃん…」とオレが言うと、その子(桃子似)は「だってホカ弁の方が、時給が10円も高いんだもん…」と
言って口を尖らせた後、オレの目を覗き込んで、「それに余ったおかずをいろいろ持って帰れるんだよ。センパイにも食べさせてあげるから。ウフフフ」と、オレをからかうように笑ったものだ。
とはいえ、そのホカ弁屋はおばさんの店長のほかには、その子(桃子似)ともう一人のバイトしか従業員がおらず、しかももう一人のバイトの子は中国からの留学生とやらで、たびたび学校の都合でこれなくな
ったりして、代わりにその子(桃子似)が急にシフトに入ってくれと頼まれることが増えてきた。
オレはそのせいで突然デートを取り消されたりして大いに不満だったけど、その子(桃子似)は「やった!お給料が増える!」と無邪気に喜んだりしていて、それがまたオレの癪の種でもあった。
「今日という今日は…」と、オレは一瞬カッとなったけど、かといってその子(桃子似)をなじったりなどできるわけでもなし、ため息を一つついてから、一人のろのろと新人勧誘の出店に向かった。
6
:
1
:2015/08/17(月) 12:11:16
「何が楽しくて一人でこんなことやらにゃならんのだ…」と思いながら、
キャンパスの中に確保していた机の前に座った。
よそのサークルの連中は呼び込みとかもしていたけれど、
今のオレにそんなやる気は毛頭なく、オレは椅子を並べて寝転がった。
4月というのにすでに陽気は夏のようで、あたたかい太陽を浴びていると、
頭がボーっとして眠くなってきた。
知らず知らずの間に、オレはうとうとと眠りに引き込まれていた。
「スミマセン… あの…」
と呼びかけられて目が覚めた。
見上げると、逆光線の中に髪の長い一人の女の子がオレを見おろすように立って、
オレの顔を覗き込んでいた。
「あっ はいはい」
オレが慌てて起き上がると、「スミマセン… 起こしちゃって…」と、
その子が真面目そうな顔でちょっと心配げにオレの目を覗き込んできた。
「いや…いいけど…、何か用?」とオレが聞くと、
「あの…、サークルの説明聞きにきたんですけど…」とその子が怪訝そうにオレを見つめてきた。
「あっ、そうか! どうぞどうぞ。大歓迎ですとも。それじゃそこに座って」
と、オレは少し慌てながら答えた。
7
:
1
:2015/08/17(月) 12:13:21
「えっと…、それじゃ何から説明しようかな…」とオレが言い出すと、
その子はオレを遮るように「あの… その前に聞きたいんですけど…
私、新入生じゃなくて2年生なんですけど…、入ること出来ますか?」と、
真面目そうな顔をして聞いてきた。
「あっ、そうなの? 2年生でももちろん構わないよ」とオレが言うと、
その子は一瞬ホッとしたような表情を浮かべて、ニッコリとオレを見た。
小さな顔に長い髪。くりくりっとした目。プクプクポン、といった感じのたたずまい。
「こりゃ美人だな…」とオレは心の中で思いながら、一瞬桃子(仮名)のことを忘れてボーっとなった。
「んじゃ、とりあえずこの名簿に名前書いて」とオレが言うと、
その子は「ハイ」とニッコリ頷いて、「真野恵里菜(仮名)」と丁寧な字で名前を書いた。
8
:
1
:2015/08/17(月) 12:15:55
その子(真野ちゃん似)は几帳面な字で、
「出身地・神奈川県、趣味・ピアノ、特技・手相占い」とちょっと小首を傾げながら書いていった。
「へー、手相なんか見れるの? じゃあオレも見てもらおうかな」と、オレがふざけながら言うと、
「いいですよー」と、その子(真野ちゃん似)は笑いながらオレの手を取ると、
真剣な表情で手相を見始めた。
その子(真野ちゃん似)はしばらくの間、じっくりとオレの手相を見るのに熱中してしまった。
なんだかオレは気詰まりになって「あの…テキトーでいいよ」と言うとしたら、
その子(真野ちゃん似)は「ちょっと黙っててください」と、少し怒ったように答えてから、
「あっ…」と言って、眉をわずかに寄せた。
「何? そんなに悪いの?」とオレが聞くと、
その子(真野ちゃん似)は「うーん…」と腕を組んでから、
「今付き合ってる女の子いますよね?」と、オレの目を覗き込むようにして聞いてきた。
「えっ? あ…、まあ」とオレが答えると、その子(真野ちゃん似)は、
「もしかしたら別れるかもしれません…」と神妙な面持ちで答えてきた。
9
:
1
:2015/08/17(月) 12:17:34
「えっ…」
オレが聞き返すと、その子(真野ちゃん似)は、
「たぶん今付き合ってる子のほかに、すごく気になっちゃう女の子が現れると思うんです…。
もしかしたら、今の彼女と別れてその子と付き合うことになっちゃうかも…」と、
大真面目な顔で言った。
「…」
オレが無言でいると、その子(真野ちゃん)はまずいと思ったのか、
「あっ、でもそれを乗り越えたらきっと彼女との仲が深まると思います! 間違いありません!」
と、慌ててフォローするかのように、少し早口で言った。
10
:
1
:2015/08/17(月) 12:18:58
「ごめんなさい…。初対面なのに調子乗って変なこと言って…」
オレが困っていると、その子(真野ちゃん似)はすまなさそうに頭を下げてきた。
オレが気を取り直して、「いや、いいけど。精々別れないように気をつけるわ」と笑うと、
その子(真野ちゃん似)も気まずそうに愛想笑いをした。
「ところで二年生っていうけど、去年はどこのサークルも入ってなかったの?」
とオレが聞くと、その子(真野ちゃん似)の表情が少しだけ曇った。
「実は…、テニスのサークルと音楽のサークルに入ってたんですけど…」
11
:
1
:2015/08/17(月) 12:21:28
「どうして辞めちゃったの?」とオレが聞くと、
その子(真野ちゃん似)は言いずらそうにしてたけど、
「音楽のサークルは…、みんなでバンドとかやりたかったのに、
練習そっちのけで飲みに行こうとか、デートに行こうとか…、
男の子達がみんなそんな話ばっかりしてくるから、『もっと真面目にやろうよ』って、
みんなの前で言ったら気まずくなっちゃって…」と、ぽつりぽつり話しだした。
「テニスの方は?」
「テニスは…、結構楽しかったんですけど、私のこと好きだっていう先輩がいて…、
断ったらストーカーみたいにつきまとってきて…」と話すと、
怖いことを思い出したかのように、その子(真野ちゃん似)は体をすくめた。
「そっかー。スマンな。イヤなこと思い出させちゃったな」とオレが言うと、
その子(真野ちゃん似)は「いいんです。だけど、せっかく大学に通ってるのに、
何のサークルにも入ってないのは寂しいし、前から写真とかにも興味あったから、
このサークルに来てみたんです」と話して、照れ笑いをした。
今まで黙ってたけど、うちのサークルは実は写真のサークルだったのだ。
12
:
1
:2015/08/17(月) 12:24:46
「そっかー…」
その子(真野ちゃん似)の話に頷きながら、『どうしようかな…』とオレは迷ったけど、
後で『話が違う』と言われるよりは、最初にきちんと説明しといたほうがいいと思って話しだした。
「まず、うちのサークルは写真のサークルだけど、普段はそれほど真面目に写真を撮ったりしてないやつも多い。
これは集団競技じゃないから仕方ないと思うんだ。だけど、やってるやつはやってるから、
一から勉強したいっていう人の手助けは誰かができると思う…」
そうオレが話しだすと、その子(真野ちゃん似)は無言で頷いた。
「それと…、ハッキリ言うけど、君ぐらいかわいい子が入って来たら、
どこのサークルだって男達はそりゃ色めき立つよ。うちのサークルだってたぶん、
何人もが君にアタックすると思うよ…」
そういいながら『桃子(仮名)がいなけりゃオレだってね…』と、オレは心の中で付け足した。
13
:
1
:2015/08/17(月) 12:26:36
その子(真野ちゃん似)の表情が少し曇ったのを見て、オレは慌てて付け足した。
「ただ、うちのサークルにはストーカーっぽいやつとかは今のところいないし、
万一そんなことがあったら、オレら上級生が責任持ってやめさせるから。
それと、女の子の数も結構多くて、うちのサークルじゃ男より女の方が強いからね」
オレがそういうと、その子(真野ちゃん似)は笑顔を浮かべて、
「ハイ」と答えた。
「それじゃ部室に行ってみるか。もう誰か来てると思うんだ」
オレはその子(真野ちゃん似)を促して、キャンパスの中をサークルの溜まり場に向かって歩き出した。
14
:
1
:2015/08/17(月) 12:29:02
部室のドアを開けて2人で入った瞬間、
「うっ…」とその子(真野ちゃん似)が顔をしかめて、
「なんですかこの匂い?」とオレを見上げて聞いてきた。
「あー。銀塩フィルムの現像とかするやつもいるから、定着液の…」と言いかけたけど、
「いや、違うな。何か納豆みたいな…」とオレは言い直した。
「そう!そうです。納豆の匂い…」とその子(真野ちゃん似)も頷いた。
ドアを閉めて部室の中に進むと、奥の椅子に桃子(仮名)が座っていて、
「ん?」とこちらを振り向いた。
手にはホカ弁のごはんパック。ご飯の上にはたっぷりと納豆がかかっていた。
「お前…、何食ってんの?」
「何って…、納豆ごはんだよ。…あれっ、その子は?」と、
桃子(仮名)は真野ちゃん(仮名)を見つけて言った。
「あーっ、嗣永さん(仮名)じゃないですか!」と、
真野ちゃん(仮名)はびっくりしたように声を上げた。
「あっ、真野ちゃん(仮名)。どうしたの?」と桃子(仮名)も答えた。
「何? お前ら知り合い?」と、オレは驚いて二人を見回した。
15
:
1
:2015/08/17(月) 12:32:08
「知り合いも何も、同じクラスだよ。ね?真野ちゃん(仮名)」
と、桃子(仮名)が微笑みかけると、その子(真野ちゃん似)も「ハイ!」と照れたように頷いてから、
「でも…嗣永さん(仮名)がこのサークルにいたなんて知りませんでした」と微笑んだ。
「あー、そういえばサークルの話とかしたことなかったかもねー。で…今日は何?
入部希望? 歓迎するよー」と、桃子(仮名)が応じた。
「どうでもいいけどさ…、何で真野ちゃん(仮名)は敬語で、
も…嗣永(仮名)はタメ口なんだよ?」と、オレが2人に問いかけた。
「そーだよ。同級生なんだから敬語なんか使わなくていいのに」と桃子(仮名)が言うと、
真野ちゃん(仮名)は「あっ…ハイ。そうですね」とニコニコと笑っていた。
「あっ、私そろそろ授業行かなきゃ」と、
桃子(仮名)が食べ終えた納豆ご飯を片付けながら言うと、
「あっ、この後の社会学ですよね? 私もですー」と真野ちゃん(仮名)が答え、
2人は連れ立っていそいそと部室から出て行った。
16
:
1
:2015/08/17(月) 12:35:39
その日の夜。
オレがアパートの部屋でテレビを見ていると、
「トントン」とドアが鳴ってから、返事を待たずにガチャガチャと鍵を開ける音がして、
その子(桃子似)が部屋に入ってきた。
「あ゛ー、疲れたー」と言いながら靴を脱ぐその子(桃子似)に、
オレが「遅せーよ」と拗ねながら言うと、
「仕方ないでしょー。あの後またバイトに戻ったんだから…。それにホラ…、
先輩の好きな鶏のから揚げもらってきたから、怒んないの」と、
その子(桃子似)は子供をあやす母親のような口調で言ってから、
テーブルの上にビニールの包みを置いた。
『こいつ…、どんどん所帯じみてきやがるな…』とオレは心の中で苦笑した。
「お前さー、バイトばっかりやってていいのかよ?」とオレが聞くと、
その子(桃子似)は「よいしょっ」と言って、カウチのオレの横に腰を下ろすと、
「仕方ないでしょー。新人が決まるまで何とか…、って頼まれたんだから。
それにちゃんと授業の時間は、さっきみたいにバイト抜けさせてもらって出てますよー」
と言ってから、オレの飲んでいた麦茶を横取りしてうまそうに飲み始めた。
「新人といえばさー、うちのサークルの新人だけど…」とオレは話し出した。
17
:
1
:2015/08/17(月) 12:37:58
「新人? ああ…真野ちゃん(仮名)のこと? あの子可愛いでしょ」と、
その子(桃子似)はニヤニヤしながら言った。
「ん…、ああ、まあそうだね」とオレが答えると、
その子(桃子似)は「そうでしょー。だって真野ちゃん(仮名)、うちのクラスで二番目に可愛い子だもん。
モテモテだよー」と言って笑った。
「あのさ…、念のために聞くけど…、一番ってのは…」とオレがいいかけると、
「桃(仮名)に決まってんじゃん」とその子(桃子似)は、さも当たり前という口調で言った。
「お前さ…、よく自分でそんなこと言うね…」とオレが呆れると、
その子(桃子似)は「いやいや。桃(仮名)が勝手に言ってるんじゃなくて、
今までクラスの男の子に告白された数で言ってんの」と、したり顔で言い出した。
「何だよそれ! そんなの聞いてないぞ!」とオレが気色ばむと、
「やだーセンパイ! ヤキモチ焼いてんの? かわいい! ウフフフ」と、
人を馬鹿にしたように笑い出した。
18
:
1
:2015/08/17(月) 12:40:10
オレは一つ舌打ちをしてから、
「それはともかく、お前(仮名)がうちのサークルにいるってことを、
あの子(真野ちゃん似)は知らなかったみたいだけど、あまり仲良くないのか?」
と聞いてみた。
「別に仲良くないってことはないよー。でもうちのクラス、女の子多いし、
どっちかってゆーと、普段は違うグループにいるかな」と、
その子(桃子似)はテレビのチャンネルを変えながら答えた。
「そーか。仲良くしてやれよ」と、オレは言った。
「あっ、そうそう。真野ちゃん(仮名)といえば、あの子の手相占い、
よく当たるって評判なんだよ。そういえば、桃(仮名)がセンパイと付き合う前に、
占ってもらったけど、ズバリ当たったし。センパイも見てもらったらいいじゃん」
と、その子(桃子似)はから揚げの包みをほどきながら言い出した。
占い…
『もしかしたら、今の彼女と別れちゃうかも…』
との、真野ちゃん(仮名)の声が唐突に蘇ってきた。
19
:
1
:2015/08/17(月) 12:43:00
真野ちゃん(仮名)の占いを思い出して、オレは急に不安な気分になってきた。
たかが占いとはいえ、やっぱり、オレと桃子(仮名)に体のつながりが未だにないことが、
この不安を増幅させている…、と、オレは思わざるを得なかった。
「ももち(仮名)…」と言いながら、オレはその子(桃子似)の肩を抱き寄せた。
「ちょっ…、何センパイ? いきなり真面目な顔してー」と、
その子(桃子似)が 笑い出した。
オレは構わずにその子(桃子似)を抱きしめながら、
「なっ…、ももち(仮名)…、いいだろ?」と、唇を求めようとした。
その子(桃子似)は「はあ? ちょっと待ってよいきなり…。
今唐揚げ食べようとしてるんですけどー」と、呆れたようにオレの顔を見た。
「じゃあさ…、唐揚げ食べた後でもいいから、セックスしようぜ」
我ながら卑屈な物言いだな…、とオレは思った。
「えーっ?」と、困ったように、その子(桃子似)はオレの顔を見上げた。
20
:
1
:2015/08/17(月) 12:45:31
「イヤなのか?」とオレが聞くと、
その子(桃子似)は「いやー…、センパイとも、もう半年以上付き合ってるしね…。
エッチするのは…、その…、桃(仮名)も別にイヤじゃないよ…」と、
顔を赤らめて答えた。
オレは一瞬、天にも昇るうれしさを感じながら、
「だったら…」と、その子(桃子似)の肩を抱く腕の力を込めた。
「別にイヤじゃないけどさ…、今日アレの日なんだ…」と、
その子(桃子似)は済まなそうな表情で言った。
『前にもこんなことあったよな…』とオレは心の中で思ったけど、
さすがにそれを口に出すのは憚られ、「そうか…」とだけ答えて、
黙ってその子(桃子似)の髪の毛を撫でた。
しばらくそのまま2人とも無言でいると、いきなりその子(桃子似)が、
「あのさ…、男の人って貯まったりするんでしょ? 桃(仮名)が…、
手でしてあげようか?」と、真っ赤な顔をしながら大真面目に話しだした。
オレは一瞬二の句が告げなかったけど、「お前さ…、処女の癖に、
そんなのどこで覚えてきたの?」と、呆れて聞き返した。
21
:
1
:2015/08/17(月) 12:47:15
「どこって…、ネットとかだけど…」と、その子(桃子似)は顔を赤らめた。
「くだらねえページばかり読んでるんじゃねえよ」とオレが言うと、
「何よ! イヤならいいよ。別に桃(仮名)が頼んでるわけじゃないし」と、
その子(桃子似)は口を尖らせた。
「い…いや、そういう意味じゃなくて…、頼む。いや…、むしろお願いします」
オレがしどろもどろになっていうと、その子(桃子似)は勝ち誇ったような顔で、
オレを見て言った。「じゃあ、センパイ…、脱ぎなよ」
「お前さ…、こんな明るいところでいきなり脱げとか、恥ずかしくねえの?」
「別に桃(仮名)は恥ずかしくないけど、センパイ恥ずかしいの?」
22
:
1
:2015/08/17(月) 12:49:21
『こいつ…、また調子のって…。男をからかうとどうなるか見せてやる…』
と、オレは思った。
「じゃあちゃんと見てろよ」と言いながら、オレはジーンズのチャックを下ろし、
すでにパンパンに膨らんだ愚息に手をかけて、乱暴に引っ張り出した。
「ヒッ!」
と、その子(桃子似)が短い悲鳴を上げながら、両手で自分の目を覆った。
…けど、指の間から、その子(桃子似)の黒い瞳がこちらを覗いていた。
「おら、ちゃんと見ろよ」とオレが言うと、
その子(桃子似)は「ヤダ…、グロい…」と言って顔を背けた。
「グロいって言うなよ」とオレが苦笑すると、「センパイ…、ごめん。
やっぱり電気は消そう…」と、その子(桃子似)が小さく呟きながら、
部屋の明かりをちび電(by熊井友理奈)にした。
23
:
1
:2015/08/17(月) 12:51:32
薄暗くなった部屋の中で、ゆっくりキスを交わしながら、
オレはその子(桃子似)の小さな手を導いて、オレ自身を握らせた。
「うわぁ…」とその子(桃子似)がため息をついた。
「ピクピクしてる…、すごく硬くなってきた…」
いちいち実況してくるその子(桃子似)の声と、思ったより冷たい指の感触に、
オレはますます興奮して、自分自身がさらに屹立してくるのを感じていた。
「障子だって突き破ってやるぞ」とオレがふざけて言うと、
「それって何の小説だったっけ? 村上春樹?」
と、その子(桃子似)が小首を傾げてきたので、
「都知事だよ都知事」と答えると、「あんなおじいちゃんでも?」と、
驚いたようにその子(桃子似)が聞いてきた。
「若い時に書いた話だよ」と言いながら、
オレはその子(桃子似)にもう一度キスをした。
24
:
1
:2015/08/17(月) 12:52:24
「ゆっくり動かしてごらん…」
オレがそう言うと、その子(桃子似)はコクンとうなずいてから、
たどたどしい手つきで、ゆっくりとオレを前後にしごいてきた。
「もっと強く握って…」
「こう?」
「もっと強く」
「このくらい?」
「もっと強く」
「えー? 大丈夫なの…?」
「大丈夫だから力一杯握って」
「よいしょっ!」
「痛え! 爪は立てないで…」
「ゴメン…」
25
:
1
:2015/08/17(月) 12:54:39
少しずつリズミカルになってきたその子(桃子似)の手の動きに酔いながら、
オレはその子(桃子似)の耳にキスして、Tシャツの中に手を入れた。
指をブラの中に滑り込ませると、その子(桃子似)の乳首も硬く大きくなっていた。
それを摘むと、「痛い…」と言って、その子(桃子似)が身をよじらせた。
「ごめん…」
「ちょっと今日は…、乳首は感じすぎて痛いから、触らないで…」
オレは手のひら全体でその子(桃子似)の胸を包み込んだまま、
その子(桃子似)の髪の毛の中に顔を埋めた。
甘ったるいリンスの匂いと、酸っぱいような汗の匂いの混じった、
なんともいえぬ香りを胸いっぱい吸い込むと、
一気に制御不能な領域に自分自身が高まってくるのを感じた。
「あっ イク…」
今まで味わったことのないような悦楽を感じながら、オレは果てた。
ビュッ、ビュッとばかりに飛び跳ねたオレの劣情は、その子(桃子似)の頬を掠めて、
後ろの壁を汚した。
「うわぁ…、うわぁ…」
呆けたようにその子(桃子似)が声を上げた。
26
:
1
:2015/08/18(火) 04:08:04
さて…。
そんなことがあった翌日から、真野ちゃん(仮名)はサークルの部室に、
ちょくちょくとやってくるようになった。
前半ふるわなかった新人の入部は、後半になって急に増えだした。
言うまでもなく、説明を聞きにきた新入生の男子が、部室にいる真野ちゃん(仮名)を見て、
速攻で入部を決めるというパターンが相次いだからだ。
さらに、今まで活動に熱心でなかった二年生や三年生まで、頻繁に部室にくるようになった。
「真野ちゃん(仮名)効果すげえな…」と半ば呆れながら、オレが桃子(仮名)に耳打ちすると、
桃子(仮名)は「凄いねマノフレ(仮称)。おかけで部室はいつも混んでて、
もぉ(仮名)は昼ご飯食べにくくなっちゃった」と愚痴をこぼした。
27
:
1
:2015/08/18(火) 04:11:07
そのマノフレ(仮称)の活躍もこれあり…、
春の撮影合宿(要するに新歓合宿)は空前の参加者数を記録した。
桃子(仮名)はというと…。
「もぉ(仮名)今年の合宿はパスしていいかな?」と早い段階で言い出して、
オレをまた不快にさせた。
「何でこないの?」と訪ねるオレに、その子(桃子似)は、
「だってオリ○ン弁当のバイトが忙しいんだもん…。
留学生のリンリン(仮名)は中国に帰っちゃったしさ…。新しい子も決まんないし…。
合宿にはみんないっぱい来るんでしょ? だったらもぉ(仮名)一人くらいいなくてもいいじゃん」と、
勝手なことを言った。
「そんなこといわずに桃子(仮名)もこいよ…」と、オレは言ってみたものの、
一度言い出したら首を立てに振らない桃子(仮名)に、
『お前がいなきゃオレの楽しみは半減だろ…』と言いかけた言葉を飲み込んで、
オレはため息をついた。
28
:
1
:2015/08/18(火) 04:13:26
合宿の行き先は河口湖だった。
撮影合宿とは称していても、例年はただ酒を飲んでキャンプして風呂入ってという、
ただの宴会だったのに、今年はなんと、参加者の多くがカメラを持参してきていて、
オレはまず驚いた。
さらに宿舎に着いてスケジュール表を見せてもらうと、
最初に「撮影研修」の時間が組まれており、オレはさらに驚きながら、
「どうしたのこれ?」と幹事に聞いた。
幹事の二年生の男子は「あっ、研修ですか? これは真野ちゃん(仮名)が、
『真面目に写真覚えたい』って言ってたから日程に入れたんです。
写真サークルなんだから当然ですよ(キリッ」と胸を張った。
オレが「おいおい…、そんなの三年生以上は免除してくれよ」と苦笑しながら言うと、
彼は「あっ、別に自由参加でいいですけど…。でも三年生どころか四年の先輩たちまで、
張り切って準備してますよ…。ほら…」と窓の外に集まっている男達を指差した。
29
:
1
:2015/08/18(火) 04:15:00
「まあ…、動機はどうあれ、みんなが真面目にサークル活動に取り組みだしたのは、
いいことだ」
オレは苦笑しながら二年生の幹事にそう答えて部屋にとって返した。
部屋には、「写真を撮ることにはまったく興味がない」と普段から公言して憚らぬ、
(何でこのサークルにいるかまったく分からない…)4年生の道重先輩(仮名)が、
「外は暑いからさゆ(仮名)は休んでる」と言って残っていて、数人の4年生と、
3年生の男が、道重先輩(仮名)を取り巻くように残っていた。
『こっちはこっちでコアな連中だな…』とオレが内心苦笑していると、
道重先輩が「ちょっと○○クン(オレ)、今日どうして桃(仮名)来てないのよ!」
とオレに向かって怒り出した。
オレは弁当屋の話とかするのも面倒になって、「はあ…」とテキトーに愛想笑いをして、
道重先輩(仮名)の強引で一方的なトークをやり過ごした。
30
:
1
:2015/08/18(火) 04:17:19
そんなこんなで時間が過ぎ…、
夕方近くになって、撮影研修に出かけてたグループもぞろぞろと宿舎に戻ってきた。
メシの時間までにはもう少しあるし、オレも外の空気が吸いたくなってきた。
オレも一応カメラは持ってきていたので、愛用の銀塩カメラ・キヤノンT90に、
トライXを詰め込むと、85ミリのレンズを取り付けてぶらりと外へ出た。
湖畔をぶらぶらと歩いていると、少しずつ陽が傾いてきて鮮やかな夕焼けが、
あたりを包みだした。
「白黒じゃなくて、カラーフィルムにすりゃよかったな」と、少し後悔しながら、
時折カメラのシャッターを切って歩いていると、目の前にコンデジを構えて、
湖の風景を撮っている女の子がいた。
真野ちゃん(仮名)だった。
「あれっ、撮影研修は終わったんじゃなかったの?」とオレが声をかけると、
「あっ、センパイ!」と、オレに気づいた真野ちゃん(仮名)がニコニコと笑った。
31
:
1
:2015/08/18(火) 04:19:51
「研修は終わったんですけど…、ちょっと一人で落ち着いて撮りたくなって…」
と真野ちゃん(仮名)は言った。
「ひょっとして、男どもが真野ちゃん(仮名)に撮り方教えようとして、
ああでもないこうでもないって、みんなで話しかけたりしてきて、
写真撮るヒマもなかったのか?」と、オレが聞くと、
真野ちゃん(仮名)は「あはははは」と苦笑してから、
「でも みんな親切でいい人ばかりですよー」と言い訳のように言った。
ちょっと無言が続いた後、
「それよりセンパイ、何でさっき研修に来てなかったんですか?」と、
真野ちゃん(仮名)がオレを少し咎めるような口調で言った。
「だって…今さら面倒だったんだもん」とオレが答えると、真野ちゃん(仮名)は、
「あー、いけないんだー。真面目にやりましょうよ」と頬を膨らませた。
「だから今こうやって真面目に撮ってるじゃん」とオレが言うと、
真野ちゃん(仮名)はオレを上目遣いに見て、「あっ、そっか」と笑った。
32
:
1
:2015/08/18(火) 04:22:49
真野ちゃん(仮名)はオレのカメラを眺め回して、
「一眼レフですよね? 画面ついてないんですか?」と不思議そうに言った。
「銀塩…、フィルム使う古いカメラだから」とオレが答えると、
「それって現像とかも自分でするんですよね?」と、真野ちゃん(仮名)は目を輝かせた。
「そうだけど…、いやー、今はデジカメの方がずっと便利だし、
フィルム使う意味は実際あんまりないんだけどね…」とオレは言ったけど、
真野ちゃん(仮名)は、「でも 面白そう! 私もやってみたいです!
今度私にも教えてください!」と真面目くさった顔で言ってきたので、
オレは「ん…、ああいいけど」と、なぜだか照れくさくなって答えた。
そんな話をしているうち、夕陽はどんどん傾いて、気づけば湖が真っ赤に染まっていた。
「あっ、キレイ…」
それに気づいた真野ちゃん(仮名)が、少し早足で湖の畔へ駆け寄った。
夕陽を浴びて光る真野ちゃん(仮名)の長い髪を、風が揺らした。
「真野ちゃん(仮名)!」オレは思わず声をかけ、
振り向いた真野ちゃん(仮名)をファインダーに納めると、素早くカメラのシャッターを切った。
カシャンカシャンというモータードライブの乾いた音が湖畔に響いた。
33
:
1
:2015/08/18(火) 04:24:50
真野ちゃん(仮名)は照れくさそうに顔を赤くした後、
「ちょっとセンパイ! いきなりズルいです! 私、写真撮られるよりも、
自分で撮りたくてサークル入ったのに…。さっきもみんなが撮ろうとするから、
全部断ってたんです」と言って、頬を膨らませた。
「あっ…、怒った顔もかわいい…」と言って、オレはさらにシャッターを切った。
「もー…、センパイひどいー」と、真野ちゃん(仮名)が苦笑した。
『カメラマンとしてのスイッチが入ってしまったとはいえ…、彼女の同級生相手に、
少し馴れ馴れしくしすぎだ』と、オレは心の中で警戒したけれど、
ファインダーの中の真野ちゃん(仮名)は、褒めれば褒めるほど、
困惑した笑顔がますます魅力的な表情になっていき、オレはとうとう抗えなくなってきた。
「かわいいよ真野ちゃん(仮名)…」そういってシャッターを切り続けると、
ファインダーの中の真野ちゃん(仮名)は、上気したようなボーッとした目で、
オレを見つめ返してきた。
34
:
名無し募集中。。。
:2015/08/19(水) 04:28:31
いい展開だな
35
:
名無し募集中。。。
:2015/08/19(水) 22:38:03
うわー懐かしい復活してたのか
この桃子ホントに好きだったわ
また読めるの嬉しい
36
:
名無し募集中。。。
:2015/08/19(水) 22:56:06
リアルタイムで見てたけど5年位前だったか
今度こそ先輩と桃子似さんは結ばれるのか超期待してるわ
37
:
名無し募集中。。。
:2015/08/20(木) 01:53:51
みんなネタバレはしないように頼むな
38
:
名無し募集中。。。
:2015/08/20(木) 15:26:41
ももちの二の腕スレ見てから高まってるから有り難い発見
39
:
名無し募集中。。。
:2015/08/20(木) 15:31:55
二の腕スレ?なんだいそれは
40
:
1
:2015/08/20(木) 22:28:48
そんなことがあった合宿から帰ってきて数日…。
今日も桃子(仮名)はバイトが忙しいと言って、部室にはこなかった。
考えてみたら、桃子(仮名)の手技でオレが愛の弾丸を暴発させてから、
すでに一カ月近くも、桃子(仮名)とはじっくり会っていなかった。
授業が終わり、そんなことを考えながらキャンパスの中を歩いていると、
目の前に、大きな一眼レフを下げてベレー帽を被った女の子が、
向こうからニコニコして歩いてきた。
真野ちゃん(仮名)だった。
フォトミックFTnファインダーのついたニコンFに、マイクロニッコールの55ミリ。
「こりゃまた随分渋いカメラ持ってるな…」とオレが言うと、真野ちゃん(仮名)は、
「えっへん!」と、したり顔をしてみせてから「おじいちゃんに借りてきました」
と、言って笑った。
「今、学校の中でいろいろ撮ってたんです。センパイこの後は忙しいですか?
できれば現像教えて欲しいんですけど」と、真野ちゃん(仮名)は、
オレを上目遣いに見ながら聞いてきた。
「あ… ああ」
実はオレも今日これから、この間の合宿のフィルムを現像するつもりだったのだ。
断る理由はなかった。
41
:
1
:2015/08/20(木) 22:30:34
部室には誰もいなかった。
「フィルムは何使ったの?」とオレが聞くと、真野ちゃん(仮名)は恥ずかしそうに、
「おじいちゃんが入れてくれたんで…よくわかりません」と答えた。
「フィルムのとり出し方知ってる?」
「えーと…。それもちょっとわかりません」
「どれ…。貸してみて」と言って、
オレは真野ちゃん(仮名)からニコンFを受け取り、巻き戻し方と裏蓋の外し方を教えた。
入っていたフィルムは、標準的なネオパンSSだった。
「んじゃ、さっそく現像するか」とオレが言うと。
「ハイっ!」と真野ちゃん(仮名)が元気よく頷いた。
42
:
1
:2015/08/20(木) 22:37:57
「フィルムを現像するには、この現像タンクにフィルムを巻きつけるのが最初の仕事なの」
と、俺は真野ちゃん(仮名)に説明しだした。
「これは光が入ったらアウトだから、この真っ黒な袋…、『ダークバック』って言うんだけど、
この中にタンクとフィルムを入れて、両端の穴から手だけを突っ込んで、
手さぐりの勘で巻きつけなきゃならない」と、オレが言うと、
「はい…」と、真野ちゃん(仮名)が真面目くさった顔で返事をした。
「まず練習用のフィルムを使って、目で見ながら明るいところでやってみて、
その後、袋の中に手を入れて、見ないで練習してみて、それがうまく行ったら本番やろう」
そう説明してから、俺はやり方を実演して見せた。
神妙にメモなんか取りながら、説明を受ける真野ちゃん(仮名)。
「じゃあ、俺のやった通り練習してみて。オレは薬品の調合してるから」
と言うと、真野ちゃん(仮名)は「よし!やるぞ!」と自分に言い聞かせるように、
小さな声でつぶやいたので、オレは思わずクスリと笑った。
43
:
1
:2015/08/20(木) 22:40:48
オレが暗室に入って現像液の粉を溶かしていると、早くもドアをノックする音がして、
「センパイ! 練習は上手くできました!」と、
真野ちゃん(仮名)の誇らしげな声が聞こえてきた。
オレが暗室から出て、真野ちゃん(仮名)からタンクを受け取り、
「どれどれ…」と、蓋をあけて調べると、
練習用のフィルムはリールにきっちりと巻かれていて、
まあ、文句のつけようがない出来だった。
「あーバッチリだわ。なかなか器用だな」とオレが褒めると、
真野ちゃん(仮名)はえっへんとばかりに胸を張った。
「じゃあ本番やってみるか」
「ハイっ!」
44
:
1
:2015/08/20(木) 22:45:13
「じゃあ…、始めます」と、真野ちゃん(仮名)が少し緊張した面持ちで言ってから、
ダークバッグに手を入れて、フィルムの巻きつけを始めだした。
袋の中を手探りでフィルムを巻いている真野ちゃん(仮名)の横顔は、
キリッとして真面目そうで、これはこれですごく美しく見えた。
オレは思わず『写真に撮りたい』と思ったけど、今カメラを出してシャッターなんか切ったら、
真野ちゃん(仮名)の手作業は100%破綻すると思って、オレは気持ちをこらえながら、
ただ黙って真野ちゃん(仮名)の美しい横顔に見入っていた。
もう半分くらい進んだのかな…と思った時、突然真野ちゃん(仮名)が「あっ!」と、
小さな悲鳴を上げたのと同時に、ダークバッグの中からシュルシュルと、
フイルムがリールから外れていく音が聞こえた。
真野ちゃん(仮名)は慌てながら、
「どうしよう! 手が滑って…、フィルムを落としたらリールから外れて、
袋の中でワカメみたいになっちゃった」と、泣きそうな顔でオレを見上げてきた。
45
:
1
:2015/08/20(木) 22:47:40
「あー!どうしよう…、どうしよう!」とうろたえる真野ちゃん(仮名)に、
「ちょっと落ち着いて…。フィルムのパトローネ(容器)を探して…」と、
声をかけたけど、真野ちゃん(仮名)は「えっ、どこ?どこ?わかんないよー…」と、
袋の中でジタバタと手を動かして泣き顔になった。
「大丈夫だから…、ちょっとじっとして…」と言って、オレはダークバックの上から、
真野ちゃん(仮名)の両手をギュッと、握って押さえた。
「あっ…」と真野ちゃん(仮名)が、小さな声を上げた。
真野ちゃん(仮名)の手の周りを探るようにダークバックの上から擦ると、
すぐにパトローネの丸い金属の感触にたどりついた。
オレはそれをダークバックの上から掴んで真野ちゃん(仮名)の手のほうへ寄せていき、
握らせた。
「いったんフィルムをパトローネに巻き戻してから、もう一回やり直そう」
とオレが言うと、「ハ…ハイ…」とようやくホッとしたような顔に戻って、
真野ちゃん(仮名)が答えた。
46
:
名無し募集中。。。
:2015/08/20(木) 22:48:48
愛の弾丸ワロタ
47
:
1
:2015/08/20(木) 22:51:47
いったんフィルムを元のパトローネに巻き込むと、真野ちゃん(仮名)は、
ダークバックの中から両手を出して、「ふーっ」とため息をつき、
「どうしよう…私、全然自信なくなっちゃった…」と泣きそうな顔をしだした。
「初めてだし、よくあることだから全然問題ない」とオレが言っても、
真野ちゃん(仮名)は「あー…、練習でちょっとできたからって、
調子乗ってました。自己嫌悪です…」と、両手で顔を覆った。
「大丈夫だって…」と、オレは苦笑しながら、
『なかなか浮き沈みの激しい子だな…』と心の中で思った。
「よし。落ち着いたら深呼吸してもう一回やろう」と言うと、
真野ちゃん(仮名)は「はいっ」と真面目な表情で返事をして、
ダークバックの中に再び両手を入れてフィルムをリールに巻き始めた。
しばらくしてカチャカチャとハサミでフィルムを切る音と、
ステンレスのタンクを閉じる音が聞こえた。
「できたか?」とオレが聞くと、「たぶん…」と、
自信のなさそうな真野ちゃん(仮名)の返事が返ってきた。
48
:
1
:2015/08/20(木) 22:52:09
「うん…ちゃんと蓋も閉まってるし…大丈夫だろ」
ダークバックから取り出した現像タンクを見て、オレは言ったけど、
真野ちゃん(仮名)は「大丈夫かな…、絡まってないかな…、光入らなかったかな」
と不安そうだった。
「ちょっと待っててね。オレも自分のフィルムをタンクに入れるから」と言うと、
オレは真野ちゃん(仮名)が使っていたダークバックに、別の現像タンクと、
自分のトライXを入れて、装填を始めた。
真野ちゃん(仮名)が緊張して手汗をかいたのか、ナイロン製のダークバックの中は、
湿度100%の蒸れ蒸れ状態だった。
『真野ちゃん(仮名)、結構汗かきなのかな』
手のひらに張り付くナイロンが、真野ちゃん(仮名)の粘膜のように感じられて、
なんだかオレは変な気持ちになりながら、手早くフィルムをタンクに装填した。
49
:
1
:2015/08/20(木) 22:54:36
現像タンクに現像液、停止液、定着液と順次出し入れして攪拌すること数分…。
「おっ…、そろそろ時間だから蓋開けてみよう」とオレが言うと、
「大丈夫かな…、ちゃんと写ってるかな?」と、
真野ちゃん(仮名)が上気した顔でこちらを見ながら、蓋を外してリールをほどいた。
紫色の白黒フィルムに、くっきりとひとコマずつ陰影が写っているのが目に入った。
「あっ!写ってる!写ってる!」と真野ちゃん(仮名)が、
子供のようにはしゃいだ声を出した。
「どれどれ…」と手にとって見てみると、若干露出がバラバラではあったけど、
何とかなる範囲に収まっていたし、現像もムラなくすっきりと抜けた画像が見えた。
「うん…。バッチリだ。それじゃ早いとこ水洗いして乾燥させよう」と、
オレは真野ちゃん(仮名)に言った。
オレの方のフィルムも、真野ちゃん(仮名)のと同じ軟調現像液で処理したせいか、
トライXにしてはきめの細かい、満足いく仕上がりになっていた。
50
:
1
:2015/08/20(木) 22:57:39
乾燥機にセットしたネガフィルムを何度も覗き込みながら、
「自分で撮ったフィルムを自分で現像できたなんて、なんだか感激です」と、
真野ちゃん(仮名)がニッコリと笑った。
「でも、現像って真っ暗な部屋でやると思ってたから、ちょっとイメージと違いました」
「ああ 暗くしてやるのはこれからやる引き伸ばしのほうだよ」とオレが答えると、
「なんだかわくわくしてきました。よし!やるぞ!」と、
真野ちゃん(仮名)がまたまじめそうな顔をした。
『暗室作業か…』とオレは思った。
さっきからただでさえ、真野ちゃん(仮名)と至近距離でドキドキしてるのに、
密閉された狭いスペースに、電気を消して2人っきりってのも…。
いつもは部員が多く集まるのに、こんな日に限って誰も来ないというのがまた、
オレの心を戸惑わせた。
『いっそマノフレ(仮称)の連中がいっぱいきてくれた方が助かるんだけどな…』
「センパイ!フィルムもう乾いたんじゃないですか? まだかなあ?
早く引き伸ばしもやりたいなあ」と、
真野ちゃん(仮名)がそわそわした様子で乾燥機をまた覗き込んだ。
51
:
1
:2015/08/20(木) 23:00:02
真野ちゃん(仮名)に急かされ、「んじゃ引き伸ばしの準備するか…」と、
オレが暗室に入ろうとすると、
「あっ… ちょっと待ってください」と言って、
真野ちゃん(仮名)が鞄の中をごそごそと探り出した。
「どうしたの?」と聞くと、真野ちゃん(仮名)は、
「じゃーん! エプロン持ってきました!」と言って、
航空会社のCAさんが着るようなエプロンを鞄から取り出して、
白いワンピースの上に着けだした。
「濡れたら困るから、髪も上げときます」というと、
真野ちゃん(仮名)は長い髪を両手で束ねて、ポニーテールにまとめていった。
オレがその仕草に思わず見とれながら、
「やー…、可愛いな。本物のCAさんみたいだ」とつぶやくと、
真野ちゃん(仮名)は戸惑ったような怒ったような表情を浮かべて、
「もー…、からかわないでくださいよー、センパイ…」とつぶやいた。
52
:
1
:2015/08/20(木) 23:02:20
真野ちゃん(仮名)と2人で暗室に入った。
暗室は広さ2畳弱の狭いスペースで、冷んやりした空気が貯まっていた。
2人っきりということを意識せずにはいられず、オレは少し気まずくなってきた。
真野ちゃん(仮名)が「入り口のカギってかけた方がいいですか?」と、
真面目くさった顔で聞いてきた。オレはちょっとドキドキしながら、
「ん…、誰かいきなり入ってきて印画紙が感光したら困るから普段はかけてるけど…、
別に開けといてもいいよ」となるべく素っ気なく答えたけど、
真野ちゃん(仮名)はオレの心の動揺には全く気づかない様子で、
「それじゃかけときますねー」と、笑顔で答えて入り口のカギをかけた。
とうとう密室に2人っきりか…、と思いながらオレは暗室の電気を、
蛍光灯から赤く薄暗いセーフティーライトに切り替えた。
瞬間、部屋が真っ暗という感じになり、
「わあっ」と、真野ちゃん(仮名)が小さな声を上げた。
53
:
1
:2015/08/20(木) 23:06:07
「わぁっ…、真っ暗…」と、幾分心細そうにいって、
真野ちゃん(仮名)が半歩ほどオレの方に肩を寄せてきた。
真野ちゃん(仮名)の体から石けんの香りが漂ってきて、オレは少しドキリとしながら、
「すぐに目が慣れるから…」と囁いた。
オレが引き伸ばしのやり方をひととおり説明すると、
さっそく真野ちゃん(仮名)が自分のフィルムを引き伸ばし機にセットし始めた。
「なかなかピントが合いません…」と、てこずる真野ちゃん(仮名)の後ろから、
「どれどれ…」と近寄ろうとした時、真野ちゃん(仮名)が「こうかな…」と、
呟きながら突然前かがみになった。
真野ちゃん(仮名)が、少しお尻を突き出すような姿勢になって、
真野ちゃん(仮名)のお尻とオレの一物が一瞬ぴったりと接触した。
『アッー』
オレは慌てて後ずさりしたけど、真野ちゃん(仮名)はピント合わせに熱中していて、
全く気づいてない様子だった。
オレは思わず頭の中で真野ちゃん(仮名)のお尻の、むっちりとした感触を反芻した。
途端にオレのジーンズの前のほうが苦しくなってきた。
54
:
1
:2015/08/20(木) 23:08:38
ピント合わせが終わり、印画紙をセットして数秒露光した後、
真野ちゃん(仮名)を促して、印画紙を現像液に浸させた。
「ちょっと揺すって」とアドバイスすると、
真野ちゃん(仮名)が竹のピンセットで印画紙をつまみながら、
「こうですか?」と小刻みに印画紙を揺すった。
赤い光の下で、印画紙からぼわーっと画像が浮かび上がると、
真野ちゃん(仮名)は「あっ!写ってる!写ってる!」と興奮した様子で声を上げた。
「どれどれ…」
真野ちゃん(仮名)の肩越しに印画紙を覗こうとしたら、
またしても真野ちゃん(仮名)から漂ってくる石けんのいい匂いに鼻をくすぐられた。
真野ちゃん(仮名)の白い首筋が赤いライトに照らされていた。
アップにした髪の生え際には玉になった汗が一つ浮かんで、光っていた。
オレはそこに唇をあてがいたい衝動を、すんでのところでこらえていた。
55
:
1
:2015/08/20(木) 23:10:39
その後、真野ちゃん(仮名)の撮った写真を10枚ほど引き伸ばしした。
真野ちゃん(仮名)は画像が浮かび上がるたび大喜びして、オレも楽しくなってきた。
考えてみれば、桃子(仮名)とも一度一緒に暗室作業をしたことがあったけれど、
それほど興味はないという態度に合って以来、オレから誘ったことはなかったのだ。
『彼女と同じ趣味だと楽しいだろうな…』とオレは一瞬思った後、
心の中で慌てて頭を振った。
真野ちゃん(仮名)の撮った写真は、学校の庭園の花だとか、古い教室の廊下とか、
黒板の前で微笑むクラスメートとかだった。
さすがニッコールというシャープな描写と、初心者にしてはしっかりした構図に、
オレは思わず感心した。
「なかなかいいね」とオレが言うと、
真野ちゃん(仮名)は「ホントですか!?ホントですか!?」と、飛び切りの笑顔を見せた。
56
:
1
:2015/08/20(木) 23:14:45
真野ちゃん(仮名)の次に、今度はオレのネガを引き伸ばす番になった。
赤いランプの下で目をこらしてネガを探り、この一枚というコマを探し当てた。
キャリアにセットしてピントを合わせると、真野ちゃん(仮名)は、
「えーっ!これ私ですか? 変な顔…」と少し怒ったように言った。
「ネガで白と黒が反転してるからだよ。焼き付ければ全然印象変わるから」とオレが言っても、
真野ちゃん(仮名)は腑に落ちないような顔をしていた。
思い切って四つ切りに倍率を引き上げると、
「えーっ、そんなに大きくするんですか? 恥ずかしい…」と、真野ちゃん(仮名)が囁いた。
試し焼きを行って露光時間を決めた後、本焼きを行って現像液に浸すと、
真野ちゃん(仮名)の輪郭が印画紙の上にゆっくり浮かび上がってきた。
夕陽を受けてキラキラと光る髪の質感が、白黒でもバッチリと表現されていて、
我ながら会心の出来といってよかった。
真野ちゃん(仮名)は「ヤダ…。私すごくエッチな感じの表情してる…」と、
恥ずかしそうに言って顔を覆った。
『かわいいよ』と褒めながら撮った、例の一枚だった。
印画紙を定着液へと移しながらふと横を見ると、
真野ちゃん(仮名)が印画紙の中と同じ表情をしてオレの方を見つめていた。
57
:
1
:2015/08/20(木) 23:17:57
カットを変えて数枚引き伸ばして、オレの作業は終わった。
印画紙を乾燥させたり薬品をしまったり、後片付けを済ませて暗室から出ると、
部室には電気もついておらず、外はとっぷりと暮れかかっていた。
もう夕方を過ぎていたのだ。
「わあー、結構時間経ちましたね…。何時だろう」と真野ちゃん(仮名)が言った時、
真野ちゃん(仮名)のお腹がグーっと鳴った。
「ヤダ!私…恥ずかしい!」と真野ちゃん(仮名)が顔を覆った。
「あー、そういやオレも腹減ったな」とオレが取り繕うと、真野ちゃん(仮名)が、
「センパイ…、よかったら、晩ご飯一緒に食べていきませんか?」と聞いてきた。
「えっ…、いいけど…」とオレが少し狼狽しながら答えると、真野ちゃん(仮名)は、
「じゃあお母さんに『ご飯いらない』って電話します!」と、
笑顔で言ってから携帯をかけだした。
「もしもし…お母さん? あのね…」
58
:
1
:2015/08/20(木) 23:25:39
何か本スレの方は書きにくくなっちゃった
こっちの皆さんはチヤホヤしてくれて嬉しい限り(笑)
>>36
復刻版なんで当時の物をキリのいいところまで再掲するだけです
その続きは…
ちょっと今のところペンディングにしておいてください
あしからず
とはいえそこまででも相当な分量があります
明らかな誤字脱字を直したのと
写真の込み入った話を削除したり句読点を打ったりしただけです
当時は狼だから句読点は売っちゃダメみたいに思ってたけど
読みにくいだけでしたものね
59
:
名無し募集中。。。
:2015/08/20(木) 23:30:59
俺も読んだことなかったから新作かと思ってたw
前の読めるだけで嬉しいっすよ
60
:
名無し募集中。。。
:2015/08/20(木) 23:51:16
続きが楽しみ
61
:
名無し募集中。。。
:2015/08/21(金) 00:21:51
無理しなくていいけど本スレもどうか続けて
すげー楽しみにしてるんよ
62
:
1
:2015/08/21(金) 00:32:47
ありがとうございます
もちろん本スレの方も続けますけど
あんなに叩かれると正直ちょっと気乗りしなくなる(笑)
63
:
名無し募集中。。。
:2015/08/21(金) 03:24:37
本スレも楽しみにしてるので是非是非お願いします
叩きの奴等より応援してるほうが断然多いからね
64
:
名無し募集中。。。
:2015/08/21(金) 11:43:13
ももちさんの二の腕スレがあったこと知らないやつがいたのかという驚き
65
:
名無し募集中。。。
:2015/08/21(金) 19:08:43
高校の時以来30年ぶりくらいで暗室作業してみたくなったなぁ
引き伸ばし機なんてどこか貸してくれる場所あるのかな
ちょっとした趣味にはハードル高いなぁ
66
:
1
:2015/08/21(金) 23:11:44
真野ちゃん(仮名)と2人並んで学校の裏門を出た。
オレは知り合いとかに見られてないか、内心そわそわしていたけれど、
そんな気持ちを気取られぬようにしながら、
「何食べに行く?」と真野ちゃん(仮名)に聞いた。
真野ちゃん(仮名)は「うーん…」と首を傾げた後、
「私、大体いつも晩ご飯はおうちで食べるから、学校の周りの食べ物屋さんとか、
詳しくないんですよー」と、少し困った顔で言った。
「そうか…、それなら…」とオレが考えていると、
「センパイは食べ物屋さんとか飲み屋さんとか、すごくくわしそう…。あっ!そうだ!
私焼き鳥屋さんって行ったことないんですよ! センパイ、おいしい店知ってたら、
連れてってください!」と、ニコニコしながら言い出した。
「えっ焼き鳥? そんなのでいいならお安い御用」と、返事をしながら、
オレは駅の方に向かって、真野ちゃん(仮名)を促して歩き始めた。
67
:
1
:2015/08/21(金) 23:16:11
ガラガラ…、と引き戸を開けてのれんをくぐると、
「あらー! ○○ちゃん(オレ)しばらくねー。いらっしゃい!
あっ!かわいい女の子連れて…。ちょっと!また違う子じゃないの?
でも○○ちゃん(オレ)が連れてきた女の子の中じゃ一番可愛いわ」と、
馴染みのママさんが一方的に喋り出した
『これさえなきゃいい店なんだけどな…。それにしても今のママさんのセリフ、
桃子(仮名)が聞いたら発狂するな…』と、オレは心の中で思って苦笑しながら、
「はいはい…」と、テキトーにママさんをあしらった。
そんなオレたちを見て、真野ちゃん(仮名)はびっくりしたように目を丸くしていた。
「とりあえず生ビールと…、真野ちゃん(仮名)はウーロン茶か?」と、オレは聞いた。
合宿の時に、「お酒は飲めません」と、男どもの酌を拒んでいた姿を思い出したからだ。
すると真野ちゃん(仮名)は、「どうしよっかな…。私もビール飲んでみよっかな…」
と言いながら、指を口に当てて考えるような仕草をした。
「飲めないわけじゃないの?」とオレが聞くと、
「飲んだことはないんですけど…、私もこの間ハタチになったし…、
今日はちょっと挑戦してみたい気分です…」と、
真野ちゃん(仮名)は悪戯っぽく微笑んだ。
「そうそう何事も挑戦よ! 飲めなかったら、○○ちゃん(オレ)に、
飲んでもらえばいいんじゃない?」とママさんが口を挟んだ。
「んじゃ生二つと、焼き鳥テキトーに見繕って」と、
オレはカウンターの中の大将に声をかけた。
「あいよっ」と大将の威勢のいい返事が返ってきた。
68
:
1
:2015/08/21(金) 23:20:51
運ばれてきたサッポロ黒ラベルの中ジョッキを見て、
「こんなに大きいの…?」と、真野ちゃん(仮名)が不安そうな顔をした。
「最初は大きいと思うけど、すぐに慣れる…」とオレが言いかけると、ママさんが、
「ちょっとイヤよ○○ちゃん(オレ)!うぶな女の子相手にそんなスケベな話しちゃ」
と、言って高笑いをした。
「カンベンしてよママさん…」とオレは苦笑したけど、
当の真野ちゃん(仮名)は「?」という表情をしていた。
ジョッキをあわせて乾杯してから、オレはジョッキの三分の一ほどを、
グーッと一気に飲みこんだ。「くうーっ…、うめーっ」と、思わず声に出た。
真野ちゃん(仮名)はそれを見てから、両手でジョッキを握って、
コクンと一口飲んでから、「苦いですー…」と渋そうな表情を見せた。
「あー…、舌で味わうと苦味が立つから、口の中を素通りさせて、
一気に喉の奥に流し込むといいんだよ」
そういいながらオレは、
『桃子(仮名)にもそう教えて、ビールを好きにさせたんだよな…』と、心の中で思った。
真野ちゃん(仮名)はしばらく不安そうな顔でオレを見ていたけど、やがて、
「よしっ! 飲むぞ!」と、自分に言い聞かせるように言ってから、
ゴクンとビールを喉の奥に流し込んだ。
「どう?」とオレが聞くと、真野ちゃん(仮名)は「さっきより甘い…!」と、
一瞬うまそうな表情をしたけれど、もう一口飲み込んだ時には、
「ひと口ゴクンと飲んだときはおいしかったのに、ふた口目はやっぱり苦くなってきちゃった…」と、
悔しそうに呟いた。
69
:
1
:2015/08/21(金) 23:23:57
「あー、最初のうちはそんなもんだ。ひと口目が旨かったってことは素質はあるから、
そのうち飲めるようになるわ」そういいながら、
オレはさっさと、自分の空いたジョッキと、真野ちゃん(仮名)のたっぷり入ったジョッキを交換した。
炭火の香ばしい匂いが店に立ち込めてきて、焼きあがってきた焼き鳥を、
真野ちゃん(仮名)は「おいしいおいしい」と言って食べた。
ポンポチや皮は「食べたことありません…」とおっかなびっくりしていたけれど、
いざ食べた後は満面の笑みをみせて、大将やママさんを喜ばせた。
ジョッキを2杯飲んだら、オレは日本酒が飲みたくなってきた。
大将に聞くと「真澄の辛口がある」との返事だったので、冷やで注いでもらった。
ウーロン茶を飲んでいた真野ちゃん(仮名)が、オレのぐい呑みをじっと見て、
「私も日本酒飲んでみたいな…」と言った。
「おー。物は試しだ。飲んでみろ飲んでみろ」とオレが言うと、
真野ちゃん(仮名)は、「いただきますっ」と生真面目な表情をして、
オレからぐい飲みを受け取って、つーっと勢いよくお酒を口に入れた。
「おいおい…、そんなに一気に、大丈夫か?」
とオレが慌てて聞くと、真野ちゃん(仮名)はびっくりしたような顔でオレを見て、
「おいしい! 私ビールよりも日本酒の方がいいかもです!」と微笑んだ。
70
:
1
:2015/08/21(金) 23:27:41
結局オレの真澄は真野ちゃん(仮名)に取られてしまったので、
仕方なくオレは同じのをもう一杯追加した。
すると、真野ちゃん(仮名)が鞄の中からごそごそとさっきの写真を取り出してきて、
撮りかたや引き伸ばしのポイントなんかを聞いてきた。
酒をのみながらの写真談義も、女の子相手には新鮮で、オレはなんだかすごく楽しい気分になってきた。
オレも自分の鞄からさっきの写真を取り出した。
「これ、せっかくだから真野ちゃん(仮名)にあげるわ」とオレが言うと、真野ちゃん(仮名)は、
「あー…、この表情、私何度見ても恥ずかしいです」と言って、耳の先まで赤くした。
オレが「そんなことないよ。すごくかわいく写ってんじゃん」と、いい気分になりながら言うと、
真野ちゃん(仮名)は一瞬すごく戸惑ったような表情をしてから、
「センパイ…、私この間も言おうと思ったんですけど、好きでもない女の子に、
『かわいい』とか言うのは良くないと思います!」と、憤然とした様子で言い始めた。
「え?」
オレは思わず真野ちゃん(仮名)を見上げた。
71
:
1
:2015/08/21(金) 23:33:58
「へ?なんで…?」
問い返したオレに、真野ちゃん(仮名)は、
「好きでもない女の子に『かわいい』とか言うのは間違ってます!
そんなこと言われて、女の子が戸惑っちゃったら、どう責任とるんですか!」と、
ちょっと怒った感じで言い出した。
顔がほんのり紅くなっているのは憤りのせいなのか…、
それとも慣れないお酒が回ってきているせいなのか…。
「…そうか?」とオレが聞き返すと、
「そうですよ! 困惑しますよ普通…。私…、『かわいい』なんて男の人に言われたの、
初めてだったし…。なんかもやもやしてカーッとなって…、
ヘンな気持ちになっちゃったんだもん…」と、唇をとがらせながら言った。
「ちょっと待って! 真野ちゃん(仮名)モテモテだったんだろよ?
『かわいい』って言われたことないとか…」と、問い返すオレの言葉を遮るように、
「だって みんな『好きだ』とか『つきあって』とか、一方的に言ってくるばかりで、
私のことを『かわいい』とか、ちゃんと褒めてくれた人なんか…、一人もいなかったんだもん」
そう言うと真野ちゃん(仮名)は、ぐい呑みの真澄をキュッとひと息で飲み干し、
据わった目でこちらをじっと睨んできた。
『やばい…、真野ちゃん(仮名)酔ってるのか…。絡み酒だなこりゃ』とオレは内心思った。
真野ちゃん(仮名)の白いワンピースの短い袖から、肩からずれた白いブラ紐が、
だらしなく垂れてきてるのも、さっきから気になって仕方なかった。
72
:
1
:2015/08/21(金) 23:37:27
「いやー、それは言葉に出すか出さないかの違いだけで…、可愛いと思わない子に、
告ったりしないだろ…。それはそうと真野ちゃん(仮名)…、この間の合宿で、
誰かに告られたりとかしなかったのか? みんな随分真野ちゃん(仮名)と、
話したそうにしてたけど」とオレは聞いた。
すると真野ちゃん(仮名)は、「うー…」と唸ってから、
困ったように上目遣いでオレを見て、
「実はそのことも、今日センパイに相談したかったんですけど…」と、言いかけてから、
「ごめんなさい。ちょっとお手洗い行ってから…」と呟き、
フラフラとした足取りでトイレに向かった。
成り行きに聞き耳を立ててたっぽいママさんが、
「なかなか面白い子だけど、○○ちゃん(オレ)、桃ちゃん(仮名)とは別れちゃったの?
離しちゃダメって前に言ったでしょ」と、咎めるように言ってきた。
「ちょっとママさん! バカなこと言わんでよ。別れてないから」とオレは苦笑した。
ママさんが、「だって最近、桃ちゃん(仮名)連れてこないじゃない」と、
愚痴っぽく言うから、オレは最近の桃子(仮名)のバイト狂いを、逆にママさんに愚痴ったりした。
しばらくして…、
「そういえばだいぶ経つけど、あの子出てこないわね」とママさんに言われて、
オレはハッとした。
「やばい! 真野ちゃん(仮名)、飲ませすぎたか」と、
オレは席を立ち、トイレに向かってドアをノックした。
「真野ちゃん? 大丈夫?」
オレの問いかけに、「ふはぁい…」と生返事が返ってきた。
73
:
1
:2015/08/21(金) 23:39:06
「真野ちゃん(仮名)、真野ちゃん(仮名)?」
ドア越しに問いかけると、ジャーッと水の流れる音がした後、
ガチャガチャとカギの開く音がして、ボーッとした顔の真野ちゃん(仮名)が出てきた。
「大丈夫? ごめん、飲ませすぎた。具合悪かったら全部吐いた方が…」と、話すオレに、
真野ちゃん(仮名)は、「あっ、らい丈夫れすー。具合悪いっていうよりは、
眠くなって座ったまま…、ついうとうとしちゃって…」と、怪しい呂律で答えてきた。
「うん。わかったわかった。今日はもう帰ろう…、なっ?」とオレがいうと、
真野ちゃん(仮名)は三白眼でオレを見上げて、無言のままコクンと頷いた。
74
:
1
:2015/08/21(金) 23:42:08
会計を済ませて店から外に出ると、
真野ちゃん(仮名)は、急に上機嫌になってニコニコと笑い出した。
「どうしたの?」とオレが聞くと、真野ちゃん(仮名)は、
「何か『大学生してるなー』っていう実感が湧いてきて、
急にうれしくなっちゃいました。私今まで、学校帰りにお酒飲んだこととかなかったし…。
今日は楽しいなー」と言って、オレの前に立って歩き出したけど、
二、三歩も行かない間に、フラフラと車道のほうにコケそうになった。
「危ない!」
オレは慌てて真野ちゃん(仮名)の手を掴んだ。
真野ちゃん(仮名)は、一瞬真顔でオレの方を見つめてきたけど、
またすぐに満面の笑みを浮かべて、「うふふふふ」と笑うと、
小学生のようにオレとつないだ手を大きく振りながら、
駅の方に向かってオレを引っ張るように歩き出した。
75
:
1
:2015/08/21(金) 23:44:01
真野ちゃん(仮名)はオレの手を引っ張るようにして、
JRの駅の方にズンズンと歩いていった。
オレはいつも地下鉄で帰ってるから方向が違うのだけど…、
さすがにこれだけ酔った真野ちゃん(仮名)を放って帰るわけにもいかないと思った。
「真野ちゃん(仮名)…、家はどこなの?」 オレが聞くと、
「座間ですよー」と元気な返事が戻ってきた。
その間も二人の手は握ったままだった。
そのことを意識すると、手のひらに変に汗をかきそうな気がして、
オレは困ってしまった。
76
:
1
:2015/08/21(金) 23:49:22
JRの駅から山手線に乗って新宿まで来て、そのまま2人で小田急線の連絡口まで来た。
「真野ちゃん(仮名)、大丈夫? 酔い醒めた? 1人で帰れるかな?」
握った手をそのままにオレが聞くと、真野ちゃん(仮名)は「らい丈夫れすー」と、
呂律の回らない声で言ってから、またケラケラと笑い出した。
『本当に大丈夫かな…』と心の中で思ったものの、オレは手を離して、
「それじゃ、気をつけて帰ってね」と真野ちゃん(仮名)に言った。
真野ちゃん(仮名)は、「はあい」と笑いながら改札の中に進んでいった。
『ふう…』と、オレは心の中でため息を一つついてから、
中央線のホームに向かおうとしたけど、やっぱり真野ちゃん(仮名)のことが気になって、
後ろを振り返った。
小田急線の改札の向こうで、真野ちゃん(仮名)が通路の壁にもたれかかるように、
所在無げにボーッと突っ立ったままなのが見えた。
そんな真野ちゃんを、好奇の目でじろじろと見る、通り過がりの男たち。
『やっぱダメじゃん…』
オレは小田急線の改札を抜けて、真野ちゃん(仮名)に駆け寄った。
77
:
1
:2015/08/21(金) 23:52:01
「真野ちゃん(仮名)!」と、叫びながらオレが駆け寄ると、
真野ちゃん(仮名)は飼い主を見つけた迷子の子犬みたいな目でオレを見て、
「あっ、センパイ!」と笑顔を浮かべた。
「スマンカッタな…。やっぱり家まで送っていくわ…」とオレが言うと、
真野ちゃん(仮名)は「ハイ!」と、満面の笑みで頷いてから。
さも当然というように、またさっきみたいにオレの手をつないで、
ホームに向かって元気に歩き出した。
オレたちは、ちょうど入線してきた本厚木行きの準急に乗り、車両の隅の座席に並んで座った。
真野ちゃん(仮名)は、座るとすぐに、オレの肩にもたれるように身を任せてきた。
やわらかいオッパイの当たる感触がオレの左腕に伝わってきた。
「真野ちゃん(仮名)…?」
オレは小さい声で話しかけたけど、真野ちゃん(仮名)の方からは、
『スー…スー…』という規則正しい寝息だけが返ってきた。
電車がゆっくりと動き出した。
78
:
1
:2015/08/21(金) 23:54:56
それから50分ほどの間…。
真野ちゃん(仮名)はオレの横で規則正しい寝息を立て続けた。
座間の駅が近づき、オレは真野ちゃん(仮名)の肩を揺すって、
「真野ちゃん(仮名)、真野ちゃん(仮名)…」と小声で呼びかけた。
「うーん…」と、真野ちゃん(仮名)が目を覚まし、オレの顔をしばらく見つめた後、
握っていた手に気付くと、慌てたようにふりほどいてきた。
「センパイ…、ここどこですか?」
怖い顔をしながら、不審そうな声で真野ちゃん(仮名)が聞いてきた。
その時、電車が止まり、ドアが開いた。
「座間だよ。降りよう」と、オレは真野ちゃんを促してホームに降りた。
79
:
1
:2015/08/22(土) 00:00:00
「センパイ…、どうしてこんなところまで、私についてきてるんですか?」
警戒感のこもった、ちょっとトゲのある言い方で真野ちゃん(仮名)に言われて、
オレは少し狼狽した。
「どうしてって…。真野ちゃん(仮名)酔っ払いすぎてて、放って置けなかったから…」
と、オレが答えると、真野ちゃん(仮名)はさっと耳の先まで赤くして、
「えっ?えっ…? あの…、私…、そんなに酔っ払ってましたか?」と、
急にしおらしく聞いてきた。
「うん…。それで一旦は新宿で別れたんだけど、危なげな感じだったから、ここまでついてきた」
とオレが言うと、真野ちゃん(仮名)は、「ヤダ…、私…そんなに…」と言って、顔を両手で覆った。
「家は駅から遠いの? バス? バス停から家は近い?
ここまできた以上、最後まで責任持って送るぞ」と、オレがふざけて言うと、
真野ちゃん(仮名)は慌てたように、
「バス停は家の目の前だから…、もうここで大丈夫です。あの…、お休みなさい!」
と早口で言って、バス乗り場へと駆けていった。
真野ちゃん(仮名)がバスに乗るのを見届けてから、オレはホームへ戻った。
80
:
1
:2015/08/22(土) 00:03:33
新宿まで戻り、中央線に乗り換えて自宅のある中野に着いた頃には、
もうかなり遅い時間になっていた。
アパートまで歩いて帰ると、俺の部屋に明かりがついていた。
「あれっ?」
ガチャガチャとカギを開けて部屋に入ると、
玄関の前にその子(桃子似)が仁王立ちしていた。
「遅い! こんな時間まで何してたの!?」
頬っぺたを膨らませて、その子(桃子似)が言った。
「えっ…、あの…、まさか、ももち(仮名)がくるなんて思ってなかったから…」
オレがそう言うと、その子(桃子似)は
「何度もメールしたじゃん! センパイは返事くれなかったけど!」と、
怒りを倍化させながら叫んだ。
「えっ…、メール?」
慌てて携帯を覗くと、『着信メールあり(3件)』と表示があった。
『そうか。真野ちゃんと新宿駅のホームにいた頃か…。雑踏で気づかなかったんだな』と、オレは思った。
「いや…、ちょっと友達と飲んでて…。気づかなかったわ、スマンスマン」と、オレが言うと、
「友達って…、真野ちゃん(仮名)のこと?」と、その子(桃子似)が凍った表情で聞いてきた。
「えっ…?」
オレの返事も凍りついた。
81
:
名無し募集中。。。
:2015/08/22(土) 00:04:13
うわぁピンチじゃん
82
:
名無し募集中。。。
:2015/08/22(土) 00:25:26
おっと、修羅場か?w
83
:
名無し募集中。。。
:2015/08/22(土) 00:31:42
今日は終わりかー
続きめっちゃ気になるw
84
:
名無し募集中。。。
:2015/08/22(土) 04:23:31
真野ちゃんかわいいわー
85
:
名無し募集中。。。
:2015/08/22(土) 04:25:57
うおおお
修羅場クル━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
86
:
名無し募集中。。。
:2015/08/22(土) 17:38:44
マノフレあげ
87
:
名無し募集中。。。
:2015/08/22(土) 23:43:37
期待あげ
88
:
1
:2015/08/23(日) 01:33:45
1秒ほどの沈黙が、永遠のように思われた。
シラを切り通す自信のなかったオレは、「そう、だけど…、何で知ってるの?」と、
なるべく平然を装って答えたけど、その子(桃子似)の目にはどう映っていたことか…。
「何でって、夕方暗室にいたじゃん」と、その子(桃子似)が言った。
「えっ…、ももち(仮名)部室に来てたの?」とオレが聞き返すと、
「一瞬ね…。ほかに誰もいないから帰ろうと思った時、暗室からセンパイと真野ちゃん(仮名)の、
声が聞こえてきたもん」と、その子(桃子似)が答えた。
「声かけてこりゃいいじゃん。水臭いぞ」とオレが言うと、
「だって、センパイと真野ちゃん(仮名)の声、すごく楽しそうだったし、
どうせ私は現像のことなんか聞いてもわからないし」と、冷たい表情のまま、その子(桃子似)が答えた。
89
:
1
:2015/08/23(日) 01:36:37
「それで、真野ちゃん(仮名)と…、2人だけでご飯行ったの?」
能面のような表情のまま、桃子(仮名)が聞いてきた。
「ん…、ああ…。ほかに誰も部室にこなかったし」とオレは平静を装って答えた。
「ふうーん…。で…、どこでご飯食べたの?」と桃子(仮名)。
オレが「ほら…、ももち(仮名)も連れてったことあるだろ? 裏通りの焼き鳥屋…」と答えかけると、
オレの言葉を遮るように、「はあ!? あそこに真野ちゃん(仮名)連れてったの?
うちらの初デートの店じゃん」と、桃子(仮名)は頬を膨らませた。
「ん…、ああ…。いや…、真野ちゃん(仮名)が『おいしい焼き鳥食べたい』っていうから…」
「随分お優しい先輩ですこと!」
90
:
1
:2015/08/23(日) 01:38:17
「それで…、焼き鳥の後はどこいったのさ?」
問い詰めるような口調で、桃子(仮名)が聞いてきた。
「どこって…、そのまま帰ったけど…」
「じゃあ、何でこんな遅い時間になるのよ?」
「いや…、真野ちゃん(仮名)が酔っちゃって、フラフラだったから…」
「『どっかで休んでこう?』とか言ったの?」
「バカなこと言ってんじゃねーよ! 最寄の駅まで送っただけだよ」
「最寄って…、真野ちゃん(仮名)座間じゃん。そんなとこまでついていったの? いやらしい…」
「『いやらしい』って何だよ! ほったらかして帰るわけにもいかんだろ…」
その時、テーブルの上に置いたままだったオレの携帯から、メールの着信音が鳴った。
91
:
1
:2015/08/23(日) 01:43:30
一瞬、オレと桃子(仮名)の目が合った。
次の瞬間、桃子(仮名)が脱兎のごとく、オレの携帯に手を伸ばして奪い取った。
「あっ…、こらっ…」
「from・真野恵里菜(仮名)、件名・すみませんでした」
桃子(仮名)が声に出してメールを読み始めた。
「○○センパイ(オレ)、今日は現像教えてくださってありがとうございます。
それに、焼き鳥やお酒もご馳走になりました。すごくおいしかったです…」
「こらっ…、返せって…」
「私すごく酔っ払っちゃって、今思い出すととっても恥ずかしいです。
正直言って自己嫌悪…。センパイも呆れてたんじゃないですか?
でも、わざわざ送って下さってありがとうございました。1人じゃとても帰れなかったと思います…」
「いいから…、返せって!」
「それはそうと…、サークルの男の子たちのことでセンパイに相談したかったのに、
酔っ払いすぎちゃって、できませんでした。センパイ明日(もう今日だけど)の夕方は忙しいですか?
もしお時間あったら改めて相談に乗っていただけませんか? あっ、明日はお酒飲まないから大丈夫です(笑)」
「もういいだろ…」
「PS センパイに撮ってもらった写真をパパに見せたら、『恋人に見せる表情だ』とか言われて、
凄く怒られました。ママは『すごくかわいい』って褒めてくれました」
92
:
1
:2015/08/23(日) 01:47:43
メールを読み終わった桃子(仮名)は、つっけんどんに携帯をオレに突きつけて返してから、
また「ふうーん…」と、したり顔で言った。
「『ふうーん』って、何だよ?」
「まあ、センパイの説明も、全部が全部ウソじゃなかったってことは信じてあげるわ…」
「全部が全部って…、最初からウソなんかついてねーよ…」
「でさ…、明日はどうすんの? 相談乗ってあげんの?」
少し機嫌を直したような声で、桃子(仮名)が聞いてきた。
「ん…、あっ、いや…。ももち(仮名)が不愉快なら会わないけど」と、オレが言うと、
「別に不愉快ってことはないけど…」と、取ってつけたように桃子(仮名)が言った。
「たぶん、真野ちゃん(仮名)が『男に口説かれてどうしよう…』とか、
そんな相談だと思うんだ。あっ、そうだ。いっそ桃子(仮名)も一緒にこないか?」と、オレが言うと、
その子(桃子似)は、「別にとってつけたように、もぉ(仮名)まで誘わなくても…。それに明日もバイトだし…。
センパイ行って、話聞いてあげなよ」と、少しトゲのある言い方で返事をした。
とりあえずオレは真野ちゃん(仮名)に、「了解」の返信メールを打った。
93
:
1
:2015/08/23(日) 01:51:35
ようやく真野ちゃん(仮名)の話題が終わって、オレが少しホッとしかけたその時、
「ところで、さっきのメールの最後だけどさあ…」と、
その子(桃子似)が思い出したように言い始めた。
オレはドキリとしながら、「何?」と聞いた。
「『恋人に見せるような表情』なんて…、センパイ、一体どんな写真撮ったの?」
「どんな…って、ただのポートレートだけど…」
「だいたいセンパイ、もぉ(仮名)の写真だってろくに撮ろうとしたことないくせに、
何で真野ちゃん(仮名)の写真なんか撮ってんのよ!」
『真野ちゃん(仮名)の話題が終わった』なんてのは、オレの思い込みだった。
絡む気マンマン…、という表情で、桃子(仮名)がオレを見つめていた。
「いや…、何度か撮ろうとしたら、ももち(仮名)嫌がったじゃん」
「だって! それはセンパイがエッチなポーズさせようとしたから…」
「させてないさせてない! オレの言うとおりに撮らせたら、真野ちゃん(仮名)みたいに、
きれいに写るのに。ももち(仮名)がヘンにエッチなことばかり意識して、文句言うからだろ」
ようやく一本奪い返せたとオレは思った。
「うー…。そんなに言うんだったら、センパイの言う通りのポーズ取るから、さあ、撮ってよ!」
意地になったような口調で、その子(桃子似)が言った。
94
:
1
:2015/08/23(日) 01:53:00
オレはカメラバックの中から、85ミリ1.2LがついたままのT90を取り出して、
ネオパンSSを装填すると、おもむろに桃子(仮名)の前に立った。
ファインダーを通じて、桃子(仮名)が怒ったような緊張したような目で、オレを睨んでいた。
「脱げよ」
オレが命令口調で言うと、桃子(仮名)は「はあっ!?」と呆れたように首を傾げて、
耳の先まで顔を赤くした。
「センパイ何言ってんの!? 変態!?」
「ももち(仮名)、さっきオレの言うとおりのポーズ取るっていったじゃん」
「脱ぐなんて言ってないよ! だいたい、そんな写真撮ってネットに流出したらどうすんのさ!
けつ○バーガーの人みたいに!」
オレは飲もうとしていた麦茶を噴き出した。
95
:
1
:2015/08/23(日) 01:55:51
「けつ○バーガーって…。お前そんなの、どこで覚えたんだよ!」と、オレが呆れて聞き返すと、
「ネットで読んだんだもん!」と、桃子(仮名)が言い返してきた。
「あのな…、ハメ撮りなんて撮るって言ってないし、大体これ、フィルムのカメラで自分で現像するから、
ネットになんか載らねえよ」
「そんなこと言って、エッチな写真撮ろうとばかりして! 変態、変態、変態!!」
「うるせえな…」
そういってオレはカメラを放り出すと、その子(桃子似)をいきなり抱きしめてキスをした。
その子(桃子似)は一瞬、「あっ… いやっ」と言って、抗うふりをしたものの、
すぐにギュッとオレを抱き返してきて、オレの舌に自分の舌を絡めてきた。
96
:
1
:2015/08/23(日) 01:57:50
オレはその子(桃子似)とキスをしたまま、ベッドまで移動して、
2人で腰をかけてから、ゆっくりとベッドにその子(桃子似)を押し倒した。
「なあ…、ももち(仮名)…。オレたち体のつながりがないから、
ささいなことで、いちいち喧嘩したりするんだぜ。早くお前と一つになりたいよ」
そう言ってオレは、その子(桃子似)の白い首筋を強く吸いながら、太ももをまさぐった。
「うん…。それは…、もぉ(仮名)も…、そんな気がする…」
少しずつ息を荒くしながら、その子(桃子似)が答えた。
「今夜お前が欲しい」
オレはそう言って、真顔でその子(桃子似)を見つめた。
数秒の沈黙の後、「…ごめん」と、その子(桃子似)が言った。
97
:
1
:2015/08/23(日) 02:00:55
「はあっ!? 『ごめん』って…、ここまできて『ごめん』って何だよ!?」
と、オレが叫ぶと、その子(桃子似)は、
「仕方ないじゃん! アレの日なんだから!」と、叫び返した。
「『アレの日』って…、またかよ!」と、オレが呆れたように言うと、
「『またかよ』って何よ! そりゃ女の子なんだから、毎月必ずくるわよ!
こないほうがおかしいじゃん!」と、逆切れしたようにその子(桃子似)が叫んだ。
「あっ…、いや…、そういう意味じゃなくて…」
『しまった』と、思いながらオレは言い訳した。
「この間から、もう一カ月も経ったのかと思って、びっくりしたのと…、
一カ月もももち(仮名)と2人っきりでゆっくり会えてなかったのかと思って、寂しくなったんだよ…」
そういいながら、オレはその子(桃子似)の髪をゆっくりと撫でた。
「ごめん。オレが悪かった…」
数秒の沈黙の後、その子(桃子似)もオレの髪に手を伸ばして撫でてきた。
「あのさ…、センパイ…。それじゃもぉ(仮名)が…、あの…、お、お口で…、お口でしてあげようか?」
真っ赤な顔をしながら、その子(仮名)がオレを見上げてきた。
98
:
1
:2015/08/23(日) 02:05:31
「へ?」
オレはその子(桃子似)の言ってる意味が、一瞬分からずに聞き返した。
「だから…」
その子(桃子似)はますます顔を赤くしながら言った。
「だから…、今日エッチできない代わりに…、もぉ(仮名)がフェ…、お口で…、
お口でしてあげてもいいよって…」
「くぁーっ!…」と、オレは思わず大声を上げた。
「お前…、処女の癖に、またそんなのどこで覚えてきたの?」
「どこって…、ネットとかだけど…」と、その子(桃子似)は一層顔を赤らめた。
「お前さ…、けつ○バーガーだのフェラチオだの…、いつもいつもどんなページ読んでんだよ!?」
と、オレが呆れたように言うと、その子(桃子似)は、
「どんなページって…、ヤ○ー知恵袋だけど…」と、恥ずかしそうに言った。
「そんな下らねえもん読んでるんじゃねーよ。中学生かよ!?」と、オレが言うと、
「何よ! バカにして! イヤならいいよ。別にもぉ(仮名)が頼んでるわけじゃないし!」と、
その子(桃子似)は口を尖らせた。
「い…、いや。そういう意味じゃなくて…。頼む。いや…。むしろお願いします」
オレがしどろもどろになっていうと、その子(桃子似)は勝ち誇ったような顔でオレを見た。
99
:
名無し募集中。。。
:2015/08/23(日) 02:06:32
どや顔ももちかわいい
100
:
1
:2015/08/23(日) 02:09:05
「最初からそういえばいいのに」
勝ち誇ったような表情を浮かべながら、その子(桃子似)が、ベッドに腰掛けていたオレの前にゆっくりと跪き、
オレのジーンズのベルトに手を伸ばしてきた。
「もぉ(仮名)が脱がせてあげるから…」
大人の女ぶってカッコつけて言ってるつもりなんだろうけど、口の中が乾いてるのか、かすれ気味の声で、
その子(桃子似)が囁いた。
『ムリしてるな…、こいつ…。オレのためにそこまで…』と、思うと、
オレは急に、その子(桃子似)のことがまた一段といとおしくなってきた。
「あのな…、オレも一日中汗かいてるし…、大事なももち(仮名)に即尺なんかさせるわけにはいかんよ。
シャワー浴びてくるから、ちょっと待っててよ」と言って、オレはその子(桃子似)のおでこにキスをして立ち上がった。
「即尺…、って何?」
真面目な顔をして聞くその子(桃子似)に、
「ヤ○ー知恵袋で調べろよ」と言い残して、オレはシャワーを浴びに浴室に入った。
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1
:2015/08/23(日) 02:12:04
シャワーを浴びながら、これから桃子(仮名)にしてもらうことを想像してると、
愚息がまたビンビンに元気になってくるのをオレは感じた。
『真野ちゃん(仮名)もかわいいけど…、やっぱりオレにはももち(仮名)しかいない…』
そう確信して手早く体を洗うと、そそくさと浴室を出た。
部屋に戻ると、その子(桃子似)が真っ赤な顔をして、慌ててオレのパソコンのブラウザを閉じるのが見えた。
『こいつ…、本当に即尺のこととか調べてたのかよ』
と想像すると、オレは思わず噴き出しそうになった。
「ももち(仮名)…、何見てたの?」と、知らんぷりをしてオレが聞くと、
その子(桃子似)は、「あっ…、ちょっと友達のツイッター見てた」と、白々しく答えた。
『後で履歴見とこう…』と思いながら、オレはその子(桃子似)の肩を後ろから抱いて、
チュッ、チュッと、ホッペにキスをした。
半開きになったその子(桃子似)の唇に唇を重ねると、その子(桃子似)の舌がチロチロと動きながら、
オレの舌に絡まってきた。
その子(桃子似)の腕がギュッと、オレの背中を抱きしめてきた。
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:2015/08/23(日) 02:14:55
その子(桃子似)がこちらに向き直って、あらためてオレたちは正面から抱き合って、
じっくりとキスを交し合った。
薄いバスタオルとその子(桃子似)のワンピースを隔てて、オレは一物をその子(桃子似)の柔らかい下腹へ、
グイグイと押し付けた。
一瞬、反射的にその子(桃子似)は腰を引きかけたけれど、すぐにオレの裸の背中に腕を回してきて、
ゆっくりとさすってくれた。ひんやりと湿ったその子(桃子似)の柔らかい小さな手のひらが、
オレの背中の上をさわさわと動く感触がたまらなく心地よかった。
オレはまた、ついつい腰をその子(桃子似)の下腹に擦り付けながら、その子(桃子似)の背中のジッパーを下ろして、
こちらもその子(桃子似)の背中を撫で回した。
一瞬、その子(桃子似)が背中をピクリと震わせてから、「くすぐったいよ…」と、ぎこちなく笑った。
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