したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

404 ◆V9ncA8v9YI:2015/08/19(水) 12:58:44
エリポンの言う通り、ハルはサヤシにやられてボロ雑巾のようになっていた。
後頭部を強打された後に鳩尾への蹴りを3発も入れられ、
そうしてうずくまっているうちに自慢の木刀まで切断されてしまった。
それでも意地を見せようと手ぶらで立ち向かったが、
刀の峰で思いっきり鼻を叩かれて、大量の鼻血を流してしまう。
プライドの高いハルにとって、痛みよりも己の不甲斐なさが何よりも辛い。

「こんなに……こんなに遠いのかよ……」

サヤシと自分との距離が想像以上に離れすぎていたことに、ハルはショックを受ける。
受け入れがたいがこれは現実だ。
肩書き自体は同じモーニングを帝国剣士であるが、
実力にはこれだけの開きがあったのである。
そして、ハルはこれより更なる追い討ちをかけられることとなる。

「ハル様とサヤシ様が決闘している!こんな廊下で……」
「エリポン様もいるぞ!!」
「な、何が起きてるんだ!?」

ゾロゾロと大挙してやったきたのは、先ほどハルが結成したサヤシ捜索隊だった。
何やら騒々しかったのでやってきたのだが、
まさか帝国剣士同士が戦っているなんて思いもしなかったのでみながみな驚いている。
そして、ハルにとって己の無様な姿を見られるのが耐えがたい屈辱だった。
普段馬鹿にしているジッチャンら男性兵に嘲笑われているような気がして、顔が真っ赤になってくる。

「み、見るなぁ!!ジッチャン達あっち行けよ!!」
「でもハル様!お怪我が……」
「うるさいうるさいうるさい!!お前ら全員どこかに消えろ!!命令だぞ!!
 上官の言うことが聞けないのかぁぁぁぁぁ!!」

そして、物音に釣られてやってきたのは男性兵達だけでは無かった。
その者たちは、壁の向こうの隠し部屋からハルを心配そうに見守っている。

「ドゥーさん可哀想……出来ることならすぐにでも助太刀したい……」
「無駄よクールトーンちゃん、あなたサヤシに勝てないでしょ。」
「そうですね、サユ王様……」

モモコとクマイチャンの戦いを見終えたサユ王とクールトーンの二人は、次の見学先としてここを選んでいた。
サユはアーリーの眼を使った戦いを見せたいと思って来たのだが、
予想外に帝国剣士の恥部に直面してしまったので、ポリポリと頭をかく。

「ハルのダメなとこ出ちゃってるわね……クールトーンちゃん、アレでもカッコいいと思う?」
「思います!弱いのにサヤシさんに立ち向かう姿勢とか!」
「弱いって言っちゃってるじゃん」
「あわわわ、違うんです。」
「違わないわ。そもそもハルの魅力はカッコよさなんかじゃないの。
 クールトーンちゃんも、そしてハル自身もそこには気づいてないみたいだけども。」
「魅力……なんだと思うんですか?」
「かわいさ。」
「真面目にやってください!!」
「いやいや真面目よ大真面目。」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板