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SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」

387 ◆V9ncA8v9YI:2015/08/11(火) 16:32:17
アーリーによる圧力は凄まじいが、決して耐え切れないレベルのものではなかった。
そこいらの兵であれば簡単に骨を折られてしまうのだろうが
フク・アパトゥーマは全モーニング帝国剣士の中でNo.2のパワーを誇っているために
抱きしめられる内側から押し込むことによって、ある程度耐えることが出来るのである。
しかしそれでもアーリーの腕を振りほどくことまでは出来ないし、
この状態をキープし続けるだけで疲労が溜まってくる。汗も滝のようだ。
せっかくタケとの戦いでの体力を回復したというのに、このままではまた消耗してしまう。

「フクちゃん!」

事態が緊迫しているフクへと目を向けるサヤシだったが
その瞬間、自分の鼻先を竹刀がかすめたので慌てて視線を戻す。

「余所見している暇なんてないですよ!」
「くっ……」

ハルは片手間で応対していい相手ではない。サヤシはそう認めざるをえなかった。
非力ゆえに決定力はゼロに等しいが、息をつかせぬ振りの乱打はなかなか馬鹿にできない。
もちろんサヤシの居合刀「赤鯉」の刃を竹刀に当てればそれだけでぶった切れるのだが
剣士というよりは剣道家のハルは小手や胴を狙ってくるのでそれも難しい。

(あくまで鍔迫り合いはしないつもりか……だったら!)

サヤシは足の力を一気に抜き、背中から床へと落ちた。
もちろんこれは降伏の意思表示などではない。得意のダンスでハルを翻弄しようとしているのだ。
ブレイクダンスの要領で自身に回転を加え、敵の背後に回りこめば切り込むことが出来る。
回転力の加わった居合いを受ければ、体の弱いハルはひとたまりもないだろう。
たったそれだけでサヤシはフクの元へ助けにいけるはずだった。
しかし、このタイミングで何故かハルまでも体勢を低くしたことでサヤシの思惑は外れることになる。

「そう来ると思いましたよ、サヤシさん」
「……!?」

ハルは寝っ転がったサヤシの肩の上あたりに掌を強く叩きつける。
この状態はまるで「床ドン」。
覆いかぶさるように、ハルはそのベイビィフェイスをサヤシの顔に近づけていく。

「焦らないでくださいよ、ゆっくりやりましょう?」
「ひ、ひ、ひやああああああああああ!」

ハルの考えるサヤシの決定的な弱点。それは異性に対する免疫力の低さだった。
異常なまでのストイックさゆえに居合いの達人として成長してきたのだが、
その代償か、男性とまともに話した経験が家族と親戚くらいしかなかったのだ。
よって、ハルが男性的な面をちょっとでも出せばこうも簡単に崩れてしまう。

「サヤシさん可愛いですよ、刀を捨てればもっと可愛いかも。」
「ひゃ、ひゃい……」


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