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ハロプロバトル・ロワイアル 誰が生き残るのか

61名無し募集中。。。:2015/11/08(日) 14:53:28
黒い雲が空を覆いつくしていた。
雨風がたちまち亜佑美とさくらを濡らした。
凍えるような豪雨のなか、小屋から空に向かって広がっていた火と煙はやがて消えた。

まるでマッチ棒でできていたかのように激しく燃えていた愛佳の死体に、亜佑美はろくに目も向けずにシートをかぶせた。
それはなおもくすぶり、焼け焦げたロースト・ポークのような臭いが漂っていた。

さくらは、倒れている春水の首に手を当てた。
潤んだ血走った目で亜佑美を見上げた。
「…しっかりしなさい…まだ終わってないんだから」
亜佑美の声は、紙やすりのようにざらざらしていた。

これだけの銃撃戦ではあるが、亜佑美もさくらもひどい怪我をしていた。
適切な対監視行動など無理だ。
本来なら、素早くこの場を離れるべきだが、その結果、傷口が化膿したり、新たな敵に見つかったりするのはまずい。

とどまるプラスと、移動するマイナスを比べ、ふたりは間に合わせの応急手当に取りかかった。
よほどの理由がない限り外には出たくないような悪天だった。
敵もそう思ってくれることを祈るしかなかった。

亜佑美のふくらはぎも、さくらの太腿も、幸いにしてきれいな貫通銃創だった。
歯を食いしばり、傷口を洗って残滓を落とした。
射入口と射出口に、たっぷりとヨードチンキを注いだ。
消毒剤の軟膏を塗り、きつすぎない程度に、しかし、しっかりと傷口を押さえた。

さくらは、血が染みわたった包帯を取り換え、溝状の傷にグラニュー糖を撒いた。
小屋の不衛生さからして、傷口に病原菌が侵入しているだろう。
糖の抗菌作用がバクテリアを殺すか、侵入を遅らせてくれることを願った。

亜佑美の傷はもっとひどく、縫合しなければならなかった。
「傷口を閉じるには、筋肉に深く刺さないといけません…いいですか?…」
さくらは、先端が鉤状に曲がった縫合針に糸を通しながら訊いた。

亜佑美はうなずいた。苦痛を予測して、すでに涙が出ていた。
消毒薬を傷口に注ぎ、さくらが針を刺した。
鉤状の針が、傷口の下を通ると、新たに出た血が泡のようになった。

亜佑美は悲鳴を押し殺した。涙が止めどなく落ちた。
鋭い針の曲がった先端が、皮膚から出てきた。
さくらは糸のところを持ち、針を上に引きあげた。
縫いながら、ガーゼで血を拭い、消毒薬を注いだ。

さくらは縫合を続けた。「ほとんど終わりです…あとは締めて結束するだけ…」
糸を引くと、傷口が閉じて、出血が完全に止まった。
「これで大丈夫…なはずです…」

亜佑美は目を閉じて、気を失っていた。
さくらは、亜佑美を起こさないようにそっと包帯を巻いた。

傷口を洗浄し、出血も止めたから、ちゃんと治るだろう。
傷跡は残るだろうが、すでにいくつもあるのだから、増えてもたいした違いはない。

疲れた。アドレナリンの酔いが頂点に達し、目を開けているのがつらくなっていた。
さくらは、ショットガンを抱いて、亜佑美に寄り添うようにあぐらをかいて座った。
失血と疲労が意識を曇らせ、五感を鈍らせていた。


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