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ハロプロバトル・ロワイアル 誰が生き残るのか

31名無し募集中。。。:2015/10/24(土) 15:08:05
さくらは、磁石を読んで自分のノートブックに何かを書きこんでいた。
亜佑美を見やると、ちょうどブーツの紐を最大限にきつく締めつけるのに余念がないところだった。
生きるも死ぬも靴の紐次第、さくらは自分のブーツをちらっと見下ろした。

音をたてずに前進あるのみ。先頭の亜佑美は優雅な動きで進んでいた。
鹿のように歩く亜佑美の5メートル後ろは春水だった。
その春水が、たまたま腐って脆くなっていた倒木を踏みつけた。
そして、斜面を転がりだして石や折れた枝を巻き添えにして、岩に衝突してやっと止まった。
さして大きな音ではないが、人間しかたてることのない音であることは否定できなかった。

春水は身体をすくめ、起こるべき反応を待ちかまえた。
森は、依然、沈黙していた。春水は、いたたまれない気持ちで耳をそばたて目を光らせた。
自分が足手まといに思えて春水は、ひそかに歯を食いしばった。

さくらが、音もなく茂みをかき分けて追いついてきた。
心配そうな目で、春水の顔を覗きこんだ。
「もう少しで“ランディング・ゾーン”だから。頑張るのよ、いい?」

亜佑美は無言で、さくらが潜りこんだ茂みがざわつくのを見ていた。
他人の能力の問題で、正確には能力欠如の問題で、行動に妥協を強いられるのは、大いに不本意だった。
進路に戻って追いついてきたさくらと春水に、亜佑美は唾を飛ばして言った。
「尾形ちゃんは、あんたの荷物よ。遅れても自分で面倒みなさいよ」

これは、はったり半分の、ひとつ間違えば結束を崩しかねない危険な言いぐさだった。
だが、亜佑美に言われるまでもない。定石を破ったのは自分である。
放心したようだった春水の表情が、コーチに気合いを入れられた運動選手のように引き締まった。

さくらは公私いずれの面でも、亜佑美に悪い感情を抱いたわけではない。
進路に戻った亜佑美は、今度は一歩一歩慎重に前進を始めていた。
石田さん、素直じゃないから…。


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