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大崎甘奈「プロデューサーさんはショタものが好きなんだよね☆」
3
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2021/04/01(木) 18:40:02 ID:4yT3kNtc
?
うまく言えないけど、なんかおかしい。いつもの帰り道と何かが違う。
ファーストフード店もコンビニも電柱も駅も同じ場所。
でも、違う。なんだろう。
街を歩きながらよーく観察してみた。
みんなが帰る時間だから、それなりに人通りがあって、いろんな人とすれ違った。
分かった。ファッションがダサい。
今時こんなメイクしている人も、あんな服を着ている人も居ない。流行遅れ、というか流行外れだった。
なんでだろう。それにこのまま帰るとマズイ気がする。直感が走った。
そんなところに短髪の男の子がぽつんと私の前に立っていた。危うくぶつかるところだった。
男の子は「わっ」と言った。
「ごめんね、ボク。大丈夫?」
「大丈夫だよ。お姉さんこそ、大丈夫?」
受け答えがしっかりしてる子だ。甜花ちゃんがこれくらいの頃は、甘奈に「……な、な、なーちゃん」って抱きついてきたっけ。人見知りさんだったからなー。
「甘奈? 甘奈は大丈夫だよ」
でも、こんな子、さっきから居たっけ?
「ねぇ、ボク。この辺に住んでるの?」
すると、困った顔をし始めた。
「分からない。さっきまで広場で遊んでたのに、気が付いたらここに居たの」
え?
「お姉さんはここ分かるの?」
「えっ、えーっと」
この子は甘奈の顔をまじまじと見つめてきた。
「うん、多分……」
どうしよう。警察に行ったほうがいいのかな。
「そうだ。ボク、名前何て言うの? お姉さんは大崎甘奈、甘奈って呼んでいいよ☆」
「ボクは――」
……!?
「ボク、そうなの?」
「うん……。甘奈さん、どうしたの?」
「いやっ、なんでもないよっ。いい名前だなって思ったの」
よく顔を見てみれば確かに面影がある……。偶然、いや、そんなまさか。
あっ、古新聞が落ちている。思わず私は拾い上げた。
◯×新聞 平成▲▲年 ×月 □▼日
確信を得た私は思わず、めまいを覚えた。これは大変なことになった。
帰る家が無い。この時の甘奈は富山にまだ住んでいる頃だから。
「甘奈さん、体調悪いの?」
ボク、いやプロデューサー『くん』はますます不思議そうな顔をしていた。
「そんなことないよっ。……えーっとね、帰る前に取りあえず喫茶店に行こうか。甘奈が出してあげるからね。おなか空いてるでしょ?」
「ホントに? やったー」
こうして、行き場のない甘奈と幼いプロデューサーくんは一緒に行動することになった。
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