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じゃあ聞くけど逆にガルパンの誰にだったら力負けしたいんだよ

181名前なんか必要ねぇんだよ!:2020/03/29(日) 20:56:58 ID:IJplYcgg
梓「…紗希、ちょっと貸してくれる?」

またしても訪れた沈黙を破ったのは、梓だった。紗希が見せた小説をぱらぱらとめくる。

梓「先生、こんなときにすみませんが、この小説ってどんな話なんですか?」

男は何を唐突に、と思ったが、梓は考え無しに行動する生徒ではない。何かあるのだろうと判断し、簡潔に答えてあげた。
その小説は、簡単に言ってしまえば身分の違う男女が紆余曲折の末に恋愛を成就させ、結婚して大団円で終わるというものである。だが、それが何だというのか。

梓「先生がおっしゃることはごもっともです。ですが、紗希の親友として、一人の男性である先生に言わせてください。
  身分の違いなんてすぐに乗り越えられます。この小説みたいな封建社会じゃあるまいし。
  それと、先生が辛い思いをされたのもよく分かりました。でも、恋愛って辛いことばかりじゃないと思うんです。この小説の男女も色々なすれ違いで辛い思いをしてるみたいですが、日に日に想いが強くなって最後は大団円なんですよね?
  紗希が先生のことを好きだったのはさっきまで知りませんでしたが、今思えばこれまでの態度もそういうことだったんじゃないかって思えるんです」
あゆみ「態度って…前言ってたやつ?」
桂利奈「えっ、あれほんとだったんだ…」

自分が預かり知らないところで何かあったらしい。紗希は先ほどから顔を赤らめて俯いている。

梓「紗希は、先生の授業を受けるときだけ少しそわそわしてたんです。視線だって、普通は板書に集中するはずなのに、紗希は先生の動きまで注視していたんです。
  いくら自分の好きな教科だからって、そんなになるものじゃありません。紗希はずっと先生を真剣に想っていたんですよ。」
あや「梓、よく見てるねえ」
梓「ふと見たときに何か変だなって思ったの」

これまでよく生徒の様子を観察するようにしていたが、そんなことになっていたとは。男は改めて自分の教師としての未熟さを痛感した。

梓「そのときの紗希、うまく言葉にできませんけどすごく楽しそうだったんです。そんな紗希ならどんな先生だって受け入れてくれるはずです。
  こう見えてこの子は鋭いんです。先生が何か気を遣われたなら、すぐそれに気づいて『ありがとう』って言ってくれますよ。…いや、口には出さないか。でも素直に喜んでくれるのは確実ですよ。
  …無理に受け入れてくださいとは言いません。ですが、どうか先生も真剣に紗希のことを考えてあげてくれませんか」

この瞬間、男は閉ざされていた心が一気にほぐれた気がした。気が付くと紗希ではなく自分が涙を流していた。


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