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ガルパン みほルートGOODエンド
96
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/11/02(水) 00:19:49 ID:yTFYy33M
何様のつもりだ―――そんな心の声をまたしても押し殺し、笑顔で手に持っていた袋を差し出した。奪い取るようにそれを受け取った彼女―――エリカは、そのままゴミや物が床中に散らかった部屋の中央のテーブルに腰を下ろし、袋の中身であるハンバーグ弁当を貪り始めた。かつて戦車道の名門、黒森峰女学園のエースだった逸見エリカの融資は―――どこにもなかった。
彼女がこうなってしまったのは、1年前、エリカが3年生となり黒森峰の隊長に就任して臨んだ全国大会にあった。そのさらに2年前、9連覇を果たし、前人未到の10回目の優勝に手をかけたその年、黒森峰は決勝戦で敗北を喫し、まさかの準優勝で終わった。そしてその翌年も、決勝戦で、しかもまったくの無名校であった大洗女学園の前に敗れた。試合に参加した当人たちはその結果に満足こそしなくとも納得はしていた。だが、周囲―――他の黒森峰の生徒や理事会、OG、そしてメディアは、その結果を必要以上に重く見た。
さらに、それまで隊長を務めていた戦車道の名家の娘である西住まほが卒業したことも重なり、学園の内外で黒森峯の戦車道に対する風当たりは強くなった。そんな中で隊長となったエリカにのしかかった重圧は、筆舌に尽くしがたいものだったろう。
当時既に彼女との交際は始まっていたが、エリカの隊長就任を期に、少し距離を取ることとなった。否が応にも注目を浴びることになるその立場上、明確に禁止こそされていなかったものの、交際相手が居るというのはあまりよろしいことではなかったからだ。それでも別れなかったのは、お互いに強く想い合っていたからだ。しかし、この選択は今となっては間違いであったと思うようになった。もっと彼女のそばにいて支えるか―――あるいはきっぱりと別れてしまうべきだった、と。
周りからもたらされたプレッシャーは、着実にエリカを追い込んでいった。最初こそかつて大洗との試合で学んだことを活かそうとしていたが、やがてその生来の真面目さも災いし、チームの構成員全員に完璧を求めるようになった。その必要以上いに厳しい態度と言葉に、徐々に全体の士気は下がっていった。
そして、それは大会での結果―――初戦敗退へと繋がった。
低い士気は細かなミスを次々に発生させ、それに苛立ったエリカの言葉に、さらに隊員の士気は落ちていく。そんな悪循環は、質実剛健、一切の乱れを許さぬ黒森峰本来の戦車道とはかけ離れた試合展開を生んだ。
もし相手がプラウダやサンダース、聖グロリアーナや、あるいは因縁のある大洗ならば、まだよかっただろう。しかし、戦ったのはその年に初参加した無名校で、挙句の果てに2回戦で敗退している。一切の言い逃れが許されない失態だった。
断っておくが、逸見エリカは戦車道において極めて優秀な選手だ。誰よりも熱意を持って戦車道に取り組み、隊長としての素養も十二分にあった彼女だったが、取り巻く状況がそのあり方を歪ませてしまった。プレッシャーに耐えることもその素養と言われてしまえばそれまでだが―――それでも、少しでも周りの彼女への接し方が違えば、と思ってしうまう。もちろん、自分自身を含めて。
そして、エリカは壊れてしまった。厳しい視線に耐えられず、学校に通うどころか外出さえもままならずに自室へ引きこもるようになった。彼女は、家族さえも恐るようになってしまった。
彼女の家族に乞われ、また自分もその様子を心配していたこともあり、エリカのもとへ久しぶりに訪れたとき、その変貌ぶりに驚かされた。髪は傷みきり、目の下は大きなクマで覆われ、身体はやせ細っていた。さらにそこには細かな生傷がいくつもあり、その姿はもし夜の墓場で遭遇すれば間違いなく幽霊と思っただろう。それまでこちらからの連絡に一切応じなかったエリカは、部屋に入った途端にこちらへ抱きついてきた。プライドが高く、甘えることが苦手な彼女らしからぬ行動だった。
『……助けて。怖い……、助けてよ……』
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