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ガルパン みほルートGOODエンド
83
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/10/31(月) 00:21:51 ID:ZUO3Oe2U
そして現在。親戚は普段家を空けていることが多く、実質的に一人暮らしも同然だった。ゆえにこうして、毎日ひとりで家とバイト先、それ以外ではせいぜいスーパーへの買い出しくらいしか出かけない生活を送っているのだった。
バイトを終え、スーパーで買出しをしてから家に向かう。タイムセールで上々の戦果を上げたこともあって、いつもより少しだけ軽い足取りの帰路となった。そして問題なく家に着き、いつものように鍵を―――開いてる?
背筋に冷たいものが走り、あわてて扉を開ける。とにかく脳裏に浮かんだ不安と恐怖を払拭したくて、ただの鍵の閉め忘れだと証明したくて。その扉を開けてしまった。
「おかえりなさい」
玄関に、彼女はいた。最後に見た時と同じ姿の、彼女がいた。服の所々に紅い染みをつけて、笑顔を浮かべる彼女―――秋山優花里が、そこにいた。
「もう、ダメじゃないですか。何も言わずに休学、引越しなんて。ホウ・レン・ソウは大切なんですよ?戦争ではそれが戦局、ひいては勝敗を決める大きな要因にもなるんです」
なぜ、ここにいる。必死にそう言葉を紡ぐが、彼女はこちらの様子など気にせず返答する。
「あなたのご両親に聞いたんですよ。最初は部屋に上げてもくれませんでしたが、そのうち素直に全部話してくれましたよ。で、急いで車を走らせてここまで来た、というわけです。あ、この家の鍵ですけど、交換をおすすめします。こんな単純なサムターン式ひとつじゃ、誰でも入りたい放題ですから」
限界だった。悲鳴にも近い声を上げながら、手に持っていた荷物を放り投げ、必死で走る。行き先なんて考えられなかった。とにかく家から遠くへ。車に乗ってきたと言っていたから、なるべく細い道へ。気づくと、石段を駆け上がって街で唯一の神社まで来ていた。ここなら―――。
「もう、酷いですよ。逃げるなんて」
声がかかる。油が切れロボットのようにゆっくりと振り返ると、汗一つかいていない秋山優花里の姿があった。一体、どうなって―――。
「あなたの家に行く前に一通り調べておいたんですよ、地形や道を。こういった情報収集は得意なもので」
あきらかにこの状況に不釣合いな、はにかむような笑顔を浮かべながら、神社の奥から一歩、また一歩と近づいてくる彼女から逃れようと体が無意識のうちに後ずさって―――。
「あっ!あぶ―――」
聞こえたのはそこまでだった。体を不気味な浮遊感が覆い、それはすぐに強い衝撃と痛みに変わる。脳がシェイクされるような激しい振動。そしてーーー。
「大丈夫ですか!?」
紅い。熱い。なんだろうこれは。身体はまったく動かず、夏の炎天下に晒されているかのように熱い。視界は紅一色に染まり、それもどんどん霞んでいく。
「ああ―――これはもうダメそうですね。この高さでは当たり前ですが」
なにかがきこえる。でもなにかわからない。
「まあ、でもものは考えようです。ご両親も向こうに行ったばかりですし、寂しい思いをさせる前に会いにいくのも親孝行言えるかもしれません。私も結局ちゃんとご挨拶できませんでしたし」
あかい。あつい。あかい。あつい。なにもかんがえられない―――。
「それでは不肖・秋山優花里!黄泉路のお供をさせていただきます!」
―――ザシュッ
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