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ガルパン みほルートGOODエンド

8名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/10/26(水) 00:50:54 ID:FwICPjhk
【BADエンド】

「ごめんね、痛くない?」

そんな心配をするくらいなら早く自由にしてくれ、と言ってやりたかったが、カラカラに渇いた喉ではまともな言葉を発することもできなかった。
さっきまで意識を失っていたこと、そして今いるこの場所が窓ひとつない薄暗い部屋であることで、もはや時間の感覚は消え失せていた。まったくもって意味のわからない『友人だと思っていた人間による監禁』という状況に、怒りとも不安ともつかないーーーあるいはその両方ーーー感情が湧き上がるが、四肢を椅子に拘束された状態で座らされている今、自分にできることはなかった。

「学校、休ませちゃってごめんね?でも私もズル休みみたいなものだから、おあいこってことで」

照れたような、困ったような曖昧な笑みを浮かべる彼女ーーー西住みほは、普段と何も変わらないように見える。しかし、だからこそこの異常な事態とのミスマッチさが、その不気味さを倍増させる。

「そもそも悪いのは貴方ーーーじゃないね。浮気とはいえ、向こうが誘惑してきたせいだもん。全部あっちが悪いんだよ」

まるで自分に言い聞かせるような口調だったが、それ以上に内容への理解が追いつかなかった。現在、自分には交際している相手などいないはずだ。それが浮気?意味がわかるはずもない。

「貴方は優しいからーーー世界で一番優しいから。あの娘のことがかわいそうになっちゃったんだよね。うん、やっぱり貴方は悪くない。だからーーー」

こちらの困惑など気にもかけず言葉を発しながら、彼女は部屋の反対側へと歩いていく。照明の光が届かないところまで進むと、今度はゴロゴロという車輪の回る音とともに戻ってきた。台車のようなものを押しているようだがーーー。

「だから、『オシオキ』を受けるのは、この娘だけでいいよね」

そこにあったものに、いよいよ背筋が凍った。自分と同じように椅子に拘束されて、さらには目隠しと猿轡まで噛まされたのは、まぎれもなく自分が意識を失う直前まで会話をしていた少女だった。よく見れば体は小刻みに震えている。恐怖のあまり抵抗の意志を見せることすらできないのだろう。
ここにきて奇跡的に喉が機能を回復したようで、現状を問い質す言葉を吐き出すことができた。なぜ彼女と自分を監禁しているのか。ここどこなのか。浮気とはなんのことかーーー。しかし、みほは小首をかしげ、

「?だから、私と付き合ってる貴方が、この娘に誘惑されて私がいないところで仲良く話をしてた。これって浮気でしょう?」

と、まるで1+1の答えを聞かれたくらいに当然のことのように言った。だがこちらからすればそれはひとつとして意味がわからなければ納得もいくはずのないものだ。
まず、自分はみほと交際し覚えはない。好意はあったが、それは友人としての範囲だ。目の前の拘束された少女にしても、話していたのはただの世間話だ。こんな目に合ういわれなど当然ひとかけらもない。

「やだなあ、貴方が私をどう思ってるかなんて関係ないよ」

「私が貴方のことを好きなんだから、それはもう恋人だよ」

ーーー絶句した。同時に、もはや説得が不可能だということも理解してしまった。先の言葉を彼女はこれまで通り、当然のごとく言い放った。普段通りの澄んだ瞳と声、そして少し困ったような笑顔。つまり、彼女は最初から壊れていたのだ。あるいは、そもそも思考の構造が違う。同じ言語を使っていても意思の疎通ができない。彼女はーーー西住みほは、そういう存在なのだ。

「さて、と。それじゃいつまでも話してても仕方ないし、そろそろ『オシオキ』にしようか」

そう言うと、また彼女は部屋の暗がり方へ向かい、またも台車らしきものを押しながら戻ってきた。照明に照らされたそれ、否、それらはーーー。

「とりあえず、金槌とバール、それにノコギリ。これだけあればいいかな」

それらの器具、というよりは凶器と一緒に置いてあった熊のぬいぐるみーーーボコられクマのボコを持ち上げ、いまだ震え続けると見比べながらみほは言った。それが意味するところなんて、馬鹿でも解る。解ってしまう。

「ごめんね?なるべくこのボコみたいに、可愛くするから」

そう少女に言い放ち、みほは金槌を振り上げたーーー。


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