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ガルパン みほルートGOODエンド

75名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/10/30(日) 22:30:29 ID:OsjqZxVQ
 【優花里ルート GOODエンド】

 「おかあさん、あのせんしゃはなんていうの?」

 「あれは九五式。日本の古い戦車ね」

 「じゃあ、あっちは?」

 「あっちはパーシング。アメリカのだよ」

 「じゃあじゃあ、あれは―――」

 店の定休日を利用して訪れた戦車博物館は、平日にも関わらず結構な人で賑わっていた。少し前までは歴史はあれどマイナーな文化として扱われていた戦車道の再興。ここ―――西住家と島田家の共同出資という形で数年前にオープンした大洗戦車博物館の存在とこの賑わいこそが、その証明となっている。そして、そんな戦車道復活、とりわけ、ここ大洗での人気の立役者である大洗女子学園の戦車道における黄金世代と呼ばれたメンバーのひとりにして我が妻である彼女―――秋山優花里は、物珍しそうに戦車を見て回る娘の質問に、ニコニコしながら答えている。かつての戦車が関わるとテンションが急上昇する癖―――彼女の友人たちの言うところのパンツァー・ハイ―――は最近ではすっかり鳴りを潜めているが、やはり自分のもっとも愛好するジャンルについての質問、まして愛娘からのそれには、いつもより高揚せずにはいられないのだろう。声も心なしか弾んでおり、見ているこちらも微笑ましい気持ちになってくる。

 「あっ!あっちにおっきいのがあるよ!あれはあれは!?」

 「あれはT28重戦車だね。あれもアメリカの戦車で―――」

 さらにテンションが上がった娘に引っ張られつつも、自身も目を輝かせながら歩いていく優花里のあとに続きながら、今日はいい日になりそうだ、なんてことを思った。

 「ふぅ……」

 一通り館内の展示物を見終わると、中庭にあるカフェ兼子供向けの遊具スペースへとたどり着いた。娘は早速その中心にあった大きな戦車型の滑り台―――確かⅢ号突撃砲、だったか―――へと駆けていった。優花里はそれを見送ると、先に席を取っておいたこちらへと歩いてきた。さすがに少し疲れたように息をつく彼女に、やはり先に買っておいたアイスコーヒーを差し出す。

 「あ、ありがとうございます。やっぱり血は争えませんね。あの子、小さい頃の私にそっくりです」

 喉を潤しながら、苦笑交じりに言う優花里。確かにあの活き活きとした表情は、以前見せてもらったアルバムにあった、幼少期の戦車とともに写った写真の中の彼女そっくりだった。

 「でも―――だからこそ少し不安になってしまいます。友達がなかなかできなかったところまで私に似てしまうじゃないかって」

 優花里はその戦車マニアっぷりで、同年代の友達が高校で戦車道を始めるまでできなかった。もっとも、その原因は幼少期の髪型にあるのでは、というのが自分及び優花里の友人たちとの共通見解だったが。

 「私は自分の趣味を恥ずかしいと思ったことはないし、後悔もしていません。でも、苦労があったのも事実です。親として、同じ思いをしようとするのを止めなくていいんでしょうか」

 少し翳のある表情をしながら優花里は続ける。

 「私自身、時々不安になります。自分の趣味や事情をあなたに押し付けて、嫌な思いをさせてるんじゃないかって。元々戦車とも床屋とも関わりのなかったあなたに今のような―――ひゃっ!?」

 おっと、そこまでだ。彼女の頬を両手で挟んで、遊具で遊ぶ娘の方を見ていた顔を強制的にこちらへ向けさせる。そして―――。

 「な、なんですか―――ひゃあああっ」

 そしてそのまま、彼女の髪をセットが崩れない程度に優しくわしゃわしゃとかき混ぜる。癖っ毛がコンプレックスだと本人は言うが、こちらにとってはチャームポイント以外の何物でもない。特にこうやっていじくりまわしたときの感触と彼女の表情は最高である。


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