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ガルパン みほルートGOODエンド
66
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/10/30(日) 00:48:24 ID:OsjqZxVQ
風呂から出ると、華が寝室へと案内してくれた。来客用の部屋らしきそこにはすでに布団が一組敷いてあった。食事の豪華さといい風呂といい、まるで旅館かのようないたれりつくせりっぷりだ。……正直布団が一人分だけなのには安堵と落胆を感じたのは内緒だ。華と交際して数年になるが、いまだに清い関係を保っている身なのだから仕方ない―――はずだ。
華は案内を終えると「少し用があるので」と言ってどこかへ行ってしまった。その言い回しから考えるにまたこの部屋に戻ってくるつもりのようだが、逆に言えばそれまでは寝るわけにもいかない。手持ち無沙汰になり、とりあえず携帯電話を手に取ると、
「……圏外?」
おかしい。屋敷に入る前にはアンテナはすべて立っていたはずだ。珍しく実家の母から来ていたメールに返信をしたからよく覚えている。いくら屋内だからといって完全な木造建築であろうこの建物が電波を完全に遮断するとは考えにくい。とりあえず確認を―――あれ、どうすればいいんだったか―――。
「どうかされましたか」
かけられた声の方向に振り向くと、寝巻きなのか白い薄手の着物を身にまとった華の姿があった。背後からは月の光が強く差し込んでおり、その下の彼女の肢体のシルエットをくっきりと映し出していた。美しい。純粋にそう感じた。
「こんな無粋なもの、今夜は必要ありませんよ」
足音も立てずにこちらに近づくと、彼女は自然な動作で携帯を取り上げ、遠くへ放り投げた。しかし、その突然の行為や携帯の無事に意識は向かなかった。鼻腔をくすぐるのは入浴の、いや屋敷にやってきた直後から感じていた何かの花の香り。これは一体何の花なのあろうか。頭が回らない。一体今自分はなにをやって―――。
「いいんですよ、何も考えなくて」
こちらの両頬に優しく手を添えて、その美しい顔を近づけながら、華が言う。香りがより強くなるのを感じた。
「あなたはただ、私のことだけを考えて、私に身を委ねているだけでいいんです。そうすれば―――」
視界に映るのはもはや、今まで見たことのない妖艶な笑みを浮かべる華だけだった。
「私たちは素晴らしい夫婦になれますよ。お母様とお父様のように」
「はぁ!?来られないってどういうことだよ!?お前ついこの前絶対に行くって言って」
ああ、うるさい。まだ何かを言いたいようだったが、耐えかねて早々に電話を切ってやった。行くわけがないだろう、結婚式なんて。なぜなら―――。
「あら、断ってしまうんですね。あんなに行きたがっていたのに」
美しい微笑みを浮かべながら声をかけてくる恋人にこちらも笑顔で返す。
「まあ、私はその方が嬉しいのでいいんですが。……さ、今日はどこでデートをしましょうか」
―――なぜなら、自分には華がいるからだ。華だけがいればいいからだ―――。
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