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ガルパン みほルートGOODエンド

290名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/12/04(日) 02:18:08 ID:gXc2L1ck
 【河嶋 桃ルート GOODエンド】

 「ああ、すまない。そこに置いておいてくれ」

 カタカタとキーボードを鳴らす音が室内に響く。現在この部屋にいるのは彼女と自分の二人だけだ。コーヒーをデスクの端に置いてから時計を見ると、時刻はすでに22時を過ぎていた。

 「何度も言うが、お前は先に帰ってもいいんだぞ?」

 手は止めず、後ろのソファに座っている自分に声をかける彼女―――妻である桃。同じ会社に勤める妻は現在サービス残業の真っ最中であり、自分はそれに付き合っているのであった。彼女の言うように、こちらは自分の仕事が終わっているし、現在桃がやっている仕事は内容的に他の人間が手伝えるものでもないので、ここに無理にいる必要はない。が、何かと物騒な昨今である。公共交通を使えば20分程度で着く近距離に家があるとはいえ、妻を遅い時間にひとりにさせるのは不安だ。桃の言葉に気にしないで、と答え、暇つぶしがてら明日使う予定の資料にもう一度目を通してみる。

 「心配症なやつだな」

 嘆息しつつ、作業を続行する桃。チラリと彼女が向かっている画面を見ると、ようやく終わりが見えてきたようだ。おそらくあと30分以内には帰ることができるだろう。
 基本的に桃は有能な人間だ。それは学生時代からで、生徒会の役員としてその辣腕を振るっていた。……のだが、当時はそのメンタルに能力が人一倍大きく作用する、という特徴があった。予想外の事態に際すと、苛立ったり、逆に弱気になったりで本来の実力を発揮できない、ということが多かったのだ。また、尊敬する上司や他の人間にいいところを見せようと必要以上に張り切ってしまい、本来苦手な分野でも無理やり挑戦してしまう、という悪癖もあった。
 とはいえ、これらはひとえに桃の真面目さによるものだ。責任感の強い彼女は、自身の役目を果たすことにこだわりが強く、故にそれを阻害するものが現れると感情が強く出てしまうのだ。そしてそのキャパシティーを完全にオーバーする事態になると、そのまっすぐな心の芯が折れてしまい、思考が停止してしまう。そして完璧であろうとする桃は、こういった自分の特徴に気づかない―――否、気づいていないフリをしてしまっていた。
 桃のそういった面は、出会ってすぐに気付いた。そして、そんな脆くも一生懸命な彼女に惹かれ、支えたいと切に思った。そのために自分を磨き、それに足る能力をある程度身につけたと自分で思えてきた頃に、想いを伝えた。

 『な……お、お前……しょ、しょしょしょしょ正気か!?』
 
 もちろんです。

 『わ、私がどういう人間か知っているだろう!?』

 知っています。

 『偉そうにしていても、いざという時には役に立たなくて、お前や周りに迷惑をかけるようなやつだぞ!?』

 少なくとも自分は迷惑だなんて思ったことはありません。
 
 『……イラついて、当たってしまうこともあるかもしれないぞ?』
 
 受け止めます。

 『弱気になって、何もできなくなることもあるぞ?』

 支えます。

 『っ……私よりも、ずっと魅了的な女性がたくさん現れるかも知れないぞ!?』

 ありえません。

 『……後悔しても、知らないぞ?前言の撤回は認めないからなっ!?』

 公開なんてしません。撤回するつもりもありません。

 『……馬鹿、だな。お前も、私も……』

 ならお似合いってことですね。

 『ふふっ……そう、だな』

 『……こんな私で良かったら、よろしくお願いします』


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