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ガルパン みほルートGOODエンド

265名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/30(水) 00:35:48 ID:1w.PHKJ6
 「ふぅ……。ごちそうさま。それじゃ、カチューシャは帰るから」

 「おや、もう帰るのですか?普段ならもう少しくつろいで行くのに」

 食事を終えると、カチューシャさんはすぐに帰り支度を始めた。適当にぐるぐると巻いたマフラーを、ノンナが手早く直しながら聞く。確かに、食後は大概ロシア文化や戦車道での活躍をノンナの膝の上で小一時間ほど語るのがお決まりとなっている。

 「それは……えっと……そう!用事!用事があるのよ。カチューシャは忙しいの!クラーラがそろそろ迎えに来るし!」

 明らかに今考えたであろう言い訳をするカチューシャさん。なるほど、彼女なりに気を使ってくれた、ということか。なぜなら今日は―――。

 「……そうですか。それなら仕方ありませんね」 
 
 ノンナもその意図を察したのだろう。微笑みながら答えた。

 「あ、そうそう。ノンナ、あっちの部屋にハンカチを忘れてきちゃったみたいだから、取ってきてくれない?」

 「ハンカチ……ですか。わかりました」

 カチューシャさんに言われ、隣室に向かうノンナ。結果的にカチューシャさんと二人きりになってしまった。

 「……ちょっと、貴方」

 声をかけれられ、視線を下に向ける。

 「見下ろさないで!カチューシャは偉いのよ!」

 怒られてしまったので、言われたとおりしゃがんで彼女と目線を合わせる。

 「前にも言ったけど、ノンナを泣かせたら絶対に許さないんだから」

 鋭くこちらを睨みつけながら言う。『小さな暴君』の異名を持つのは伊達ではない、と思い知らされる。
 だが、ここで臆してはそれこそノンナにふさわしい男とは言えない。しっかりとその視線を受け止め、絶対に幸せにします、と答える。

 「……それならいいわ。あ、あと、今日は貴方がカチューシャからノンナを取った日だってちゃんとわかってるの?」

 そう、彼女が普段より早く帰ろうとしているのは、今日が我々夫婦の結婚記念日、ということをわかっているからだ。数年前の結婚式の時にも、先ほどと同じセリフを投げかけられてのを思いだす。
 この問にも、もちろんわかっています、と返す。プレゼントも用意済みだ。

 「安心したわ。そういう細かい気遣いができない男はダメなんだから」

 まるでその手の話に詳しいかのようにカチューシャさんは言うが、おそらくクラーラさんか雑誌、テレビ等からの受け売りだろう。

 「な、なによその目は!?カチューシャは恋愛にだって詳しいのよ!?」

 明らかに動揺しているが指摘はしないでおく。せっかく今日は彼女が気を使ってくれているのだ、面子を立てるべきだろう。

 その後。ノンナがハンカチを取ってきたのとほぼ同じタイミングで、クラーラさんが車で迎えにやってきた。クラーラさんはノンナとロシア語で二、三言葉を交わした後、こちらへ意味あり気な視線をとともに「それでは、ごきげんよう」と言葉をかけ、カチューシャさんを連れて去っていった。


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