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ガルパン みほルートGOODエンド
184
:
名前なんか必要ねぇんだよ!
:2016/11/15(火) 21:20:01 ID:AwZbmai2
「あ……おかえりなさい」
島田の屋敷に戻ると、愛里寿がすぐに奥から駆け寄ってくる。ほっとしたような愛らしい表情だ。
「よかった……。迷子になっちゃったか、悪い人に捕まったのか、って心配してたの。買い物って言ってたのに全然帰ってこないから……」
―――悪い人に捕まった、というのはあながち間違いではない。正確には捕まったから帰ってこれなかったのではなく、捕まってしまったから帰ってきたのだが。
「お母様に相談してよかった……。ありがとうございました、お母様」
こちらの傍らに立つ千代さんに向かって頭を下げる愛里寿。千代さんはいつもの柔和な笑みを浮かべている。
「これくらいお安い御用よ。なんと言っても、可愛い娘と、その娘の将来のお婿さんのためだもの」
「お、お母様……!」
頬を紅潮させながら抗議するような口調で愛里寿が言う。これが他人事ならどれほど微笑ましい光景だろう。
「ふふ……。さ、二人とももう部屋でお休みなさい。今日は疲れたでしょうし」
「……はい。さあ、お部屋に行こう?」
愛里寿に手を引かれるままについていく。その柔らかな感触と温もりを振りほどく力は、自分にはなかった。
「今日はボコの放送日だったんだけど、あなたと一緒に観たかったから我慢して録画しておいたの。予告だと今回の相手はニワトリで―――」
楽しそうに語る彼女に相槌を打ちつつ、後ろに視線を向けた。そこには笑顔で手を振る千代さんの姿があった。それはまるで、これまでの日常との絶対的な別れを象徴しているかのようだった。
「―――でも、ボコは絶対に勝てないの。どんなに頑張っても勝てないのがボコだから」
愛里寿はニコニコと笑いながらボコの魅力について語る。それのどこに惹かれる要素があるのかは理解し難いが、同時に他人事とも思えなかった。どんなに頑張っても、絶対に勝てない。絶対に―――。
「楽しみ、だね。二人で観るの。あなたといっしょだと、なんでも楽しい」
……考えてみれば、こうして愛里寿がどんな少女かを知ってしまった時点で逃げることは不可能だったのだろう。この笑顔を裏切ることはもうできそうにない。
だから、せめて守ろう。愛里寿がこの―――島田家の歪みに穢されないように。
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