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ガルパン みほルートGOODエンド

175名前なんか必要ねぇんだよ!:2016/11/13(日) 22:16:21 ID:s.GaxU5U

【愛里寿ルート GOODエンド】

 家に帰りドアを開けた途端、ガシャン、ガシャンと何かが割れるような音が聞こえた。あわてて靴を脱ぎ中に入ると、キッチンが悲惨な状態になっていた。

 「あ……お、おかえりなさい……」

 蚊の鳴くような小さな声で、割れた食器と食材だったであろうものを前に座り込んでいる彼女―――愛里寿は言った。見ればあちこちに調味料などが散らばっており、ちょっとした事故現場のようである。

 「その……お料理、してて……レシピのとおりにやってたんだけど……」

 彼女の足元にはタブレット端末があった。それを見ながら調理をしていたのだろう。
 とりあえず愛里寿には動かないように言い、物置からほうきとちりとりを取ってくる。まずは食器の破片を片付けなければ。

 「あ、わたしも手伝う……」

 そう言う彼女にはふきんで汚れを拭いてもらうことにした。その陶器のような肌が傷つくのはいただけない。
 二人がかりでキッチンを小一時間かけて元通りにして、リビングで一息ついた。今夜の夕飯は店屋物にしておこう。

 「ごめんなさい。あなたの役に立とうとしたんだけど、かえって迷惑を……」

 しゅん、という擬音がぴったりな様子で俯く。先程まで着用していたボコ柄のエプロンは洗濯機に直行した。キッチンがあの事態であったのにも関わらず愛里寿自身の被弾がほぼゼロだったのは彼(?)のおかげである。それがボコミュージアム名誉館長である彼女の愛に答えたためか、ひたすらボコられ続けるその宿命家なのかはわからない。
 と、そんなことはどうでもいい。対面にいた愛里寿の隣に座り直し、彼女の髪をぐしぐしと撫でる。愛里寿はこんな風に少し強めに撫でられるのが好きだ恐縮した雰囲気が少し和らぎ、おずおずとこちらを見上げてきた。しっかりと目を合わせ、怒っていないことを伝える。

 「……でも、お料理くらいできないとちゃんとした奥さんになれない……。式ももうすぐなのに」

 何も結婚式で手料理を振舞うわけでもなし、それを前に焦る必要はないと思うが、彼女的には譲れないらしい。
 さて、どうしたものか。ここで料理は自分が受け持つからいい、というのは簡単だ。しかし、愛里寿のなかに譲れない「奥さん像」がある以上、それを否定するのと同義のこの言葉は侮辱にしかならないだろう。ならば―――。

 「あっ……」

 その華奢な体をしっかりと抱きしめる。出会った時からその体型はほとんど変わっていない。母似のナイスバディに成長することを密かに期待していた当人は些か以上に不服のようだが、こちらは一向に気にならない。

「ん……」

 おずおずとこちらの背中に手を回してくる愛里寿。小さいが確かな熱を持った手のひらが心地よい。
 そして、優しく、だがはっきりと伝える。急ぐ必要はない、ということを。

 「でも」

 反論しようとする彼女を制止する。これから夫婦になり、長い時間を過ごすのだから、その中で少しずつ上手くなっていけばいい。一応、自分も料理に心得くらいはあるので教えることもある程度はできる。お互いの足りない部分を補い合ってこその夫婦なのだから。

 「……」

 こちらの言葉に聞き入っている様子だが、もうひと押しが必要そうだ。そのヒントを一瞬だけ部屋を見渡して探す。―――よし、あれだ。
 部屋のある箇所を指差し、そちらを見るよう言う。


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